2019/03/01 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 夜の森」にぼたんさんが現れました。
■ぼたん > 下栄えの草も生い茂る鬱蒼とした森。
まだ夜は空気が冷たい季節。時折夜鳥の声はするものの、夜行性の動物はまだまだ活動を控えているらしく、草木を揺らす音はほんの時たまだ。
その森の一角、背の高い常緑の木と、灌木に囲まれた先にある小さな広場に、これまた小さな泉があった。地中から静かに沸き、またどこか地下から他へと流れ出ているらしく、水面は揺れるもののそれ自体から水音は聞こえない…
その静かな小さな広場へ、忍び込むように微かな足音だけで滑り込む影があった。
「……夜だとまだ流石に、さむいね……」
灰色のフードの奥からほうっと吐き出された息は、白く天に昇っていく。
それを見上げてフードを引き下ろすと、黒髪の女の顔が現れた。黒い瞳の奥からは緑色の光が零れ、その耳は黒い毛皮の獣の耳だ…
■ぼたん > 女はゆっくり視線を下ろすと、泉のほとりへとさくさく密かな音を立てて歩み寄った。上から覗いてその澄んだ様子に目尻の下がった目を細めて、つぎにゆっくり膝をつくと、白くふっくりした両手のひらをそっと泉に沈める。
そうして掬った水を、身を屈めて一口、こくりと音を立てて飲み込んだ。
■ぼたん > (うん…大丈夫、飲める……)
飲み込んだ後、しばらく味わうようにじっとして、一つ頷く。残りを飲み干して、少し冷えた手を吐息で温める様に口元に当てながら辺りを見渡した。
泉は女の足でもひと跳び出来そうな大きさ。それを囲む灌木はごく泉の傍まで近くに寄っていて、一部は枝が泉の中へと差し伸べられている…平らな場所は、あまり大きな獣が侵入しないような狭さだ……女の眼が満足げに細められる。
■ぼたん > 「ここも、候補のひとつだね……」
黒い毛皮の耳が上機嫌にぴこぴこと震える。ゆっくりと立ち上がって、膝を少し払うと顔を上げ、緑の光が零れる瞳で月を見あげた。
零れる白い息が天に霞むのを見ながら、またフードを深く被りなおす。
そうしてきた時と同じよう、微かな足音を立てて広場から姿を消した。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 夜の森」からぼたんさんが去りました。