2019/02/26 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/森の中」にアンフィニさんが現れました。
アンフィニ > 木々から木漏れ日のように零れ落ちる淡い月影。
夜の森を彩るのは、夜行性の獣の声か、それ以外の何かか。
自然が作り出す音に混じるのは、下生えを踏むブーツの足音。
散策するような気安さを滲ませるそれが街道より程近い木々の狭間を歩く。
薬の材料となるような野草が多く生えるという其処。

「なるほど、いや、成る程。
 これは、なかなか悪くないものだね。」

感嘆したような台詞が響いた。
丁寧に磨かれた鏡のような仮面の下で声の主の表情は伺えない。
ただ、その鏡面に森の風景を映し出しながら歩いていた。
手を伸ばして野草の類を摘む訳でもなく、ただ、観察するような所作。

アンフィニ > ふと、足を止める。
森の奥と、その手前の境目の辺りだ。
これ以上踏み込めば、獣や、魔物に襲われても文句は言えない。
そんな境界線染みた場所。

「この辺りでいいかな?」

淡く響いた声音は、すぐに音にかき消されてしまうだろう。

――ガギ――ぐじ。

軋むような音。粘着質な音。
左の手首から響いたのを聞いたものはいたか。
拘束具のような金属環。袖口のそれが僅かに開いていた。
どろり――と、そこから黒革の指先を伝って何かが滴り落ちる。
どろどろと黒いタールのような粘液。
光をすべて吸い込むようなそれが下生えに落ちる。

一滴――二滴――。

そして、ぐずぐずと、泡立って、それから蠢き始める。
立ち上がるのは蟲と鼠を出鱈目に捏ね合わせたような小さな生き物。
顔にいくつも開いた黒い目がきょろきょろと周囲を見渡して
そして、六本生えた不揃いな足が、きしきしと下生えを弄るように動いた。
それを映し出す鏡の仮面。その中で、その生き物は森の奥へ向けてじわじわと這いずり始めていった。