2019/01/11 のログ
ご案内:「◆メグメール(喜びヶ原) 自然地帯(イベント開催中)」にプレデランターさんが現れました。
プレデランター > 人の手により整備された街道を逸れればそこは人を餌食とする魔物の巣窟がそこかしこに点在する。鬱蒼と茂り、天蓋を覆い隠すように伸びた背の高い木々と緑によって光さえまともに射さない名も無き森。獣、魔物、植物、様々な種族が生息し、弱肉強食の摂理に従い強者が生き残り、弱者が糧となるその森の奥深くにて一本の花がちょこんと伸びていた。花咲く時を待つようにひっそり、一本だけ。しかし、この森に住まう、生き延びている者は知っている。この花こそがこの森でも指折りの命が惜しくば近づいてはならない魔物であると。注視すれば、岩場に溶け込むように緑の巨体を偲ばせ、単眼の触手たる花の正体を伸ばして何も知らぬ獲物が訪れるのを静かに待ち。周囲には大小様々な、この植物の餌食となって骸となった獣、蟲、魔物、人間等の消化を終えた残骸が生気を失い枯れた地面の下に眠っているが、それを察する事は難しいか。尤も、不幸なのは掘り起こせば見える残骸よりも、養分として捕食された者よりも苗床として凌辱され、魔物の仔を宿す蜜壺として捕らわれた雌達なのだが。
ご案内:「◆メグメール(喜びヶ原) 自然地帯(イベント開催中)」にシシィさんが現れました。
シシィ > 旅の道程。何度も往復した街道であれば、そこがどのように整備され、また自警団や、時には騎士団たちによってモンスターの掃討が行われているかも知っている。だからこそ、といえるのかもしれない。慣れた道のりは、わずかな心の緩みをもたらし、知らず街道をそれていた。何時しか歩いてきたはずの道程すらわからぬほど森の奥深くへと足を踏み入れている。
時折足を踏み入れる森のごく浅い層の景色などとうに消え、うっそうと茂る木々は、人の侵入を拒むようなおどろおどろしい様相を湛えていた。

「これ、は───」

戸惑った声音が零される。途方に暮れたような、だというのにどこか間延びして緊張感が低い声音なのは、本人の性格がものをいう。
実際焦ってもいるし、恐怖を感じてもいるのだが、それがわかりにくいだけだ。

藪をかき分ける手指に小さな傷ができる。しくしくとした痛みに指の腹をぺろりとなめて。せめて野宿できる場所を探すための行動へと変わりつつある中、ふと、蕾を膨らませる花があるのに気が付いた。
──気づいてしまった、というべきだろうか。

「……?」

何の気なしにそちらへと葉をかき分けるようにして歩み出ていた。
彼の餌食となったものを覆い隠す朽ち葉が、その危険に気づかせなかったのかもしれない、あるいはその美しさに一瞬見惚れて───、どちらにせよ、近づき触れようとその指先を伸ばしてしまっていた。

「きれいな…花……?」

そんな呟きと共に。

プレデランター > 数多の命を糧にし、養分とした植物型の魔物。その擬態たる花に見せかけた単眼は閉じられ、蕾の如く開花の時を、開眼の時を待っていた。即ち、新たなる獲物の到来を。
これまでにも冒険者や騎士団が被害者数から討伐の対象としてこの森に踏み入った事があるが、彼らの殆どは冷たい土の下で原型の無い絞り粕として骸を晒しているのだ。
或いは、雌であったならば死ぬ迄苗床にされるか、種付けされて遠方にて出産させる事で新たな生息地拡大させる意図で利用されているかのどちらかである。

森の中にはそれこそ捕食者への対策に様々な頑丈な体、猛毒、棘、集団行動等進化や行動をとっているが、捕食者とは獲物のささやかな抵抗等意に介する事なく蹂躙する上位の存在。
この植物型の魔物の糧となった者達にどのような人生、目的、理念があったか等ただ喰らい、ただ犯すだけの存在には関係ないのだ。

だから、魅入られたようにこの蕾、単眼の触手に近づいてしまった美しき褐色肌の旅人がこれまでどのような旅を経て来たのか。何故このような女性にとって過酷な国へ訪れたのか。この森へ入ってしまったのか。この植物型の魔物の許へ、どうして近づいてしまったのか。様々なものを知る由もなく、知る必要もない。

しなやかな指先が蕾に触れようとした刹那、ぎょろり、と蕾が、蕾のようであった瞼が開かれた。

縦に裂けた瞳孔。

爬虫類にも似た冷たい瞳が彼女を捉えた。獲物を見つけた。

声帯等持ち合わせていないが、植物型の魔物が覚醒し、巨体が起き上がり閉じていた大口が開かれ、単眼の触手が彼女を捉えながらに本体から伸びる無数の触手が一斉にそれまでの静けさが嘘のような機敏さで鞭のようにしなり空を切って獲物に迫り。

油断していた彼女の四肢へと伸び、逃げる事が叶わないならばその時は――彼女の末路は、苗床にされる運命となろう。

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