2018/12/01 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」に紅月さんが現れました。
紅月 > ーーーかつ、かつ、しゃら…

林の中をゆっくり歩く。
時折吹く風は冷たく、冬の訪れを感じさせて…けれど、外套を纏うでもなく暢気に
「いい風だねぇ…」
なんて呟いては、ふわりと揺れる前髪を片手でおさえて緩く笑う。

「何処だっけなぁ…この辺り、だった気がするんだけど」

ゆったりと歩を進めながらも辺りを見回し、思わずボヤく。
以前、アンゲロスと名付けられた魔導機械兵から胸の核石をもいでやった時に落とした愛刀を探しに来てはみたものの…これが、思った以上になかなか見付からない。

紅月 > 「気配はこの辺りにあるんだけど、なぁ…?
……、…あぁ、あったあった」

そのまま暫し歩を進めれば、視界の端に光るもの。
誘われるように近付いてみると…ようやっと、久方ぶりの相棒との再会である。
どうやら機兵に踏まれた訳でもなし、少々落葉に埋もれてはいたものの…地面に突き刺してじっくり調べるも、刀身にも鍔にも傷一つ無い。

…強いて言えば、なんだか凄く……物凄く、拗ねている。
刃の纏う氣がなんともひねくれて、更には哀愁さえ漂わせている。

「いやぁごめんね、なかなか迎えに来れなくてさぁ…悪かったって、機嫌直してよ。
…今度の新月には、いっぱい遊んであげるから……ねっ?」

思わず大太刀相手に平謝り。
さもありなん、妖刀魔剣の類は機嫌を損ねると色々面倒なのだ。

紅月 > そんなことを続けていれば、太刀から感じる刺々しい氣も怨めしさを感じる重い圧力もおさまってきた。
どうやら勘弁してくれる気になったらしい。
懐紙で軽く拭い、大事に大事にとっておいた鞘におさめて。

「…いや、それにしても見付かって良かった。
やっぱり御前さんが居ないとねぇ…おちつかないよ」

苦笑しつつ、鞘の上から大太刀を撫でると…亜空間の倉庫に仕舞う。
帰ったらじっくり手入れしてやらねば。

紅月 > 「さて、と…
どうするかねぇ…採取、いやゴハン?」

何の気なしに独り言ち、空を仰ぐ。
木々の隙間から星空…とっぷり日も暮れ、例えば夜にしか咲かない花だとか光蟲だとかを採取するにはもってこい。
夜行性の魔獣を狩るのもイイ小遣い稼ぎになるし、肉はそのまま夕食にできる。

「……とりあえず…汗流したい、な」

思い出したように自身の姿を見下ろせば、所々に土汚れや木の葉。
平原や森を抜けてきたのだから、そりゃあ魔物や獣に遭うし…交戦すれば砂埃くらい被る訳で。
少々げんなりした表情で呟くと、近くの湖に向かい歩を進め始めた。

紅月 > 「……、…あった」

道中キノコや薬草を採りつつにガサガサと草むらを分け入れば、眼前に広がる水鏡…映る銀は下弦を過ぎた辺りか、半月と呼ぶには少しばかり欠けているように見える。
辺りには梟の鳴き声が響き、夜の静寂を更に引き立ててる。

「…綺麗」

水面に煌めく天体の美しさに呼ばれるように歩を進めて…数拍、見惚れる。
それから身に付けた鎧を魔石の腕輪に収納し、荷物の場所がわかるようにと魔石の花のランプを置けば…結い上げた髪も解いて、優しい灯りに照らされながらスルスルと衣類を脱ぎ落としていく。

紅月 > 身に着けたままの物は、折れた右の二ノ腕を固定する深紅の大手甲のみ。
"こんな辺鄙な場所なんかにどうせ誰も来ないだろう"と、自らの力を抑え込むアレやコレなんかも全て取っ払い…随分と身軽で、アンバランスな姿。

ひとつ伸びをすれば縁に腰掛け、両足を湖に下ろす。
さすがに冬場の野外ともなれば冷える、が、それも風情とばかりに口許を緩め…パチャパチャと、ささやかな水遊び。

次いで立ち上がれば、水音を鳴らしつつ湖の中央へ向かって歩き出す。
パシャ、バシャ…パシャン……
腰の辺りまで浸かるのに、そうは掛からず…丁度深くなる所の手前で立ち止まれば、まずは顔をすすいで。

「……ぷはっ!
あははっ、やっぱり冷たいや」

暢気に笑いながら、左手で髪を掻き上げた。

紅月 > 月光を浴びた髪が水中に揺らめき、淡く光を纏って…キラキラと、優しく湖に明かりを灯す。

月の魔力と自然界の生命力…半ば魔導生物である己にとっては、どちらも御馳走のようなもの。
例えば人里の温泉にも火の氣と地の氣が溶けている為、とても安らぐのだが…やはり天然の其れとでは差が出てしまう。
鬼神の血が血肉を求めるように、あまり人里に居すぎると…どうしようもなく、精霊の血が自然を求め始める。
"他者の氣にあてられて疲れてしまう"というのもあるやもしれない…何せ同種の居ない世界、魔素の質すらも違う世界。
…故郷ですら深い深い自然の中で暮らしていたのだ、思い返せば思い返す程に
「是非もない、か」
と水鏡を眺めて困ったような笑いを零す。

「やれやれ、だなぁ…」

ゆるりと空を仰ぎ見て、ゆっくり目を閉じれば…とぷん、と、深淵に身を投げた。

紅月 > 「……ぷぁっ。
はー、さっぱり…」

暫し水中に揺蕩って、後…バシャン、と、大きな水音をたてて浮上する。
砂埃も粗方取れただろうか…頭の中の黒い靄も清い水に流れたか、随分とスッキリしたような気がする。
立泳ぎからバシャバシャと音をたてて浅い所にのぼれば、濡れた髪を手櫛で軽く纏め…軽く絞り、プルプルと首を振り水気を飛ばして。

やはりのんびりと岸に向かい、髪を肩にかけ腰掛けて。
もう一度…濃紺に白銀の煌めく空を見上げた。

「…さぁて、月見酒でもしに帰るかね」

まるで、飲まねば月に失礼だとでも言いたげにケラケラと軽くわらって独り言ちれば…後、思い立ったが吉日とばかりに着替えを済ませて王都へ向かうんだろう。
また気紛れに何処かへ立ち寄るやも知れないが…それはまた、別のお話。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」から紅月さんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森」にエルスさんが現れました。
エルス > 「どこへ行ったの?それは食べ物ではないから、返しなさい」

深い森に響く、抑制のきいた女の声。
時刻はまだ昼過ぎであったが、鬱蒼とした森の中は小暗く、方向も見定めにくかった。

事の始まりは三十分ほど前。
街道を歩いていたところ、持っていた巾着を、猩々のように敏捷な生き物に奪われた事から。
奪われたものは相手のものになるから、取り返しに行くべきではないと知ってはいるのだが
巾着の中には弟のブローチが入っており、彼を捜している現在では貴重な手掛かりになる。
故に、少々危険を冒しても森の中を歩く事にした。
だがそろそろ遮二無二踏み入るには深くなってきたので立ち止まり、逡巡。

「……迂闊だった。惜しいけれど、何も調べずに歩くにはこの森は深すぎるわね」

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森」にディールさんが現れました。
ディール > 自然豊かともいえる暗い森。自生している植物から、自分にとって有益な物を選び摘み取る。
―― 一頃前に比べれば落ち着いた自然地帯であり、こういった薬草。ないしは毒物等の採取には適していた。

草地を踏み、毒の強い花や果実は鞄の中に。
薬効の強い草花は無造作に白衣のポケットに分けて捻じ込んでいく。
そうして暫し歩いていた頃合。どこか遠くから声と。
その声から逃れるように走り去る音が自分の近くで聞こえた。
一先ず声の方に向かう事にしたのは、危険性が薄いと感じられた為。何より女性の声音だった事も大きい。

「このような山中で、どうかされましたか?先ほど何か呼びかけていたようでしたが。」

厚底の登山靴に鞄。――白衣。アンバランスな服装が普通の人間の類に見えるかはさておき、だ。
友好を演出する意味で笑みを浮かべ相手を見遣る。――武器は自分は携行していないが、相手にそのまま近寄れるだろうか?

エルス > 自然豊かな森の中で生き物の気配は多く、そのどれもが各々動き回っている。
危険なものは近くにいないと判断し、このまま進むか迷うところであったが――
思わぬところから声が掛けられ、ダークエルフの女は振り向いた。

そこにいたのは人間――正確には種族は様々だろうが、少なくともヒト型の男。
驚きと警戒に一瞬表情を強張らせたものの、友好的な面差しに緊張はわずか緩まる。
右手に構えかけた杖を下ろし、困ったような表情を見せて。

「騒がしかったですね。申し訳ありません」

冒険者や狩人には見えない男の姿だが、このような深い森にて堂々としているのだから歩き慣れているのは分かる。
いずれにしても彼の用を邪魔してしまった事は自覚し、一礼して後。

「この辺りで巾着を持った動物を見ませんでしたか?一瞬しか見えなかったのですが、猩々のような生き物で……」

大きさを示すように両手で身振り手振り。
巻き込んでさらに申し訳ないが、やはり取り返せるものなら取り返したい。

ディール > 「いや、俺はこっち専門なんでね。騒がしくても問題は無い。
要救助者ならば、寧ろ声を上げた方が良い位だ。どうやら、貴女は健康そうだが」

肩を揺らして笑いながら、こっち専門と言う言葉に白衣のポケットから取り出すのは種々の薬草、薬果。
動物相手の狩猟者ではないので騒音は気にならないと、肩を揺らした後で首を振った。
その後は相手の話を聞く。猩々の様な生物――そういえば先ほど足音の主とすれ違ったか。言われてみれば足音の他にも、何かが草木に擦れるような音も聞こえていた、気がする。

足音の方向とあの手の動物の習性から凡その住処はわかる。
――さて、其処を素直に教えるも良し――もしくは。案内をして背後から。或いは猩々に花を持たせるのも悪くはない。
無論、ダークエルフ――珍しい種族にも見える相手に恩を売るのもありだろう。
となれば応えは決まっていた。

「あぁ――山猩々か。やつらの塒なら心当たりは有る。それと、先程少しだが足音も聞こえた。
 大体ねぐらの方に真っ直ぐに向かったとは思うが――そう、だな。案内は必要か?あまり荒れ事には向いてないが。」

問い掛ける。どれほど大切な物かは判らないが――その辺りは道すがら、売れる恩も含めて打算の天秤に掛けるつもりだった。
彼女にとっての運命の分かれ道となる問いかけだが、どの様に返答するか。
塒だけ聞くか、案内を受けるか。はたまた、諦めるか――。

エルス > 「ああ……それで白衣を。それでは比較的この森は安全なのかしら。
この王国にきて日が浅く……地理も把握しきれていないので、安心致しました」

医者が単独で薬草を採りにこられる森ならば危険な生物は少ないのかもしれないと判断し、安堵。
勿論彼の体格は医者にしては屈強だという事が白衣の上からでも分かるのだが。
人命を重要としている口ぶりに態度が幾分か和らぐ。

そして彼はおそらく、親切な男性である。
猩々の向かった方向でも分かれば御の字であったにもかかわらず、ねぐらが分かるとあれば表情が明るくなった。
尋ねてはみたものの、ほぼ諦めていたから。

「本当ですか?大変ありがたいお申し出です。できれば途中まで……。
 お医者様に無理は申せませんから、場所が分かる所まで連れて行っていただければ後は自分でどうにか致します」

荒事には慣れていないと明言する彼に遠慮しつつ、しかし場所が分からなければどうにもならない。
何が潜むか分からない森に深入りしすぎるのも危険だろう。
己の身はともかく、相手を危険に曝す事はしたくない。
場所が分かる前に、これ以上は危険だと相手が言えば、その後は自身だけで歩いてみるつもりだ。

ディール > 実際には森も安全とは言い難い。危険な動植物や知識がなければ回避できない自然の罠も無数に有るような自然地帯だった。
……だから、白衣姿の男1人でここを歩いているのは奇妙と見られかねなかったが。
相手の、王国に来て日が浅い、と言うのは本当の事なのだろう。

ただ、ダークエルフであれば薬草や毒物、媚薬草や媚薬香等の知識は深いかもしれない。
道案内がてらにそれらを摂取させ――杖を持つなら術者の類なのだろう。
魔力を頂く下準備をしておく事にした。

「そうか、わかった。――こっちだ。山猩々の通り道と同一の道を使うと気取られる。その通り道を、上から観る形で少し迂回するが構わないな?」

通る道は――媚薬の主原料となる山桜の一種が群生する山道。
花粉は良質な効果を持ち、かつ香りの良い山を彩る華々しい色合いを持っている。
其処を歩けば当然、肌に。吸い込めば体内にそれらが巡ろうと言う目論み。

「とはいえ、一人で無茶をさせる訳にもな。――この獣道を見下ろせる丘経由で行くぞ。」

そういって足の向く先は自然の罠が待ち受ける山道、そして山奥。
――彼女の知識と経験。危機管理が試される場面になる事だろう。

ディール > 「――こっちだ。石が大きい物もある、躓くなよ。」

先を進む形を採る己。最初に高台に上がる為に段差を上りながら――後ろを振り向き。
見目麗しいダークエルフがついてくることを――罠の道に嵌る事を確かめながら先導していった

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森」からディールさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森」にディールさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森」からディールさんが去りました。
エルス > 迂回の道まで知っている様子に、この山を熟知している事が見える。
本当に助かった。彼と会えなければ、諦めていただろう。

そう考えながら彼の後ろをついていく。
――――その先に何が待っているのか、は。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森」からエルスさんが去りました。