2018/11/02 のログ
ご案内:「◆メグメール(喜びヶ原) 自然地帯(イベント開催中)」にアバドンさんが現れました。
アバドン > ――喜びヶ原に存在する極々有り触れた深い森。
昨今色々な噂も耐えぬ場所ではあるが、今宵の森はただただ不自然なほどの静寂に満ち溢れ、獣も鳥も虫すらも只管に息を潜めて何かから身を隠す。

ズシン……ズシン………ズシン…………。

静寂を掻き乱すよう時折吹く生ぬるい夜風に吹かれ獣達の代わりに擦れあいざわめく木々の葉達のその声に紛れ、何かが重々しい足音を響かせ、土煙を巻き上げて歩く音が響く。

音の主は巨大な……と言っても伝説級でも神話級でもない、遭遇する率がドラゴンの中では比較的に高いと言われている地竜であり、彼の者が大地を踏みしめる音であるのだが、それだけでは静寂を生み出すのに「足りない」だろう。

夜の闇、星空に向けて聳え立つ木々、その合間に見える巨躯はドラゴンにしてはヒトに近しい体躯をしたドラゴンであってドラゴンで無いもの、正しい有り様ではなく無名遺跡の魔性に歪ませられた唯一無二の亜種のドラゴンの姿であった。

「グルルルルル………。」

夜空の月を剥ぎ取ったような金色の眼に幾筋も赤い線を血走らせ、顎の短い頭部は竜の名残が残るがドラゴンと呼ぶに歪で、唯一強くドラゴンであった事を証明する鼻筋から夜空へと伸びる一本角も性質が螺子ている事を証明するかの如く螺旋にゆるく捻れている、そんなモノが闊歩しているだ……獣も何も姿を隠してその「貪欲」さから逃れようとして当然で。

ドラゴンの亜種、アバドンと冒険者ギルドや王都の騎士団に呼称され、危険視されているそれは何かを探しているのか血走った眼でしきりに左右に視線を向けながら、ゴリゴリと何か硬いモノを噛み砕き咀嚼する音を奏で、音が響くたびに鉄錆の香りを森に広げ、森の中を彷徨い歩いている。

まだこのドラゴンと遭遇するといった情報の無い森の浅い部分、一般人も踏み込むような場所に今宵は危険なドラゴンがさ迷い歩く、それに触れてしまうのは冒険者か騎士かそれとも不運にも森に這入りこんでしまった力なき者か、それは誰にも判らない。

アバドン > 巨獣が地竜が足を踏み出し地面を踏みしめる度に闇深い森に重々しい音が響き、土煙が巻き上がり、その音に眼を覚ました動物たちが沈黙を保っていた動物たちが慌てて地竜の進路から逃れていく、それを彼の竜は金色の眼を細めて何処か満足げな風を見せるのだが、探しているモノではない様で歩みを止める事は無い。

「………………………………。」

短くも唯一竜鱗が逆さでも生えている首を仰け反らせ、鼻先を夜空へと向けると大きな鼻腔をヒスヒスと動かし、今宵求めて止まない匂いを探そうと、歩きながら嗅覚の研ぎ澄ませるも今だ獣の香りしかしない、八つ当たりに近くの大木を圧し折ろうと、太い尻尾を高く振り上げて……止めた。

取り合えず普段歩かぬ森だからこそ、なるべく開けた場所にそれが居そうな場所を探して鼻腔を動かしながら、時々木々の合間から顔を覗かせて低い木々の茂みなどもくまなく覗き込み、何とかそれを見つけようと……。

腹は満たされている、喉の渇きも無い、今餓えているのは食でも睡眠でもなく、満たされたモノを吐き出すための玩具である、さらに言えば巣に連れ込んで好物の栽培にする肉も欲しい所で、先程からそれを探しているのだが、場所が場所だけに出会える確率など皆無に等しい事を理解するだけの知性は無いので、本能が赴くまま気の向くまま彷徨っていた。