2018/10/19 のログ
ご案内:「◆メグメール(喜びヶ原) 自然地帯(イベント開催中)」に雪緒さんが現れました。
雪緒 >  月明りに照らされ、ぼんやりと野原を彷徨う。その様子は死に装束の様に見える白い和服も相まって、行方のない幽鬼にも見えるだろうか。
 何の目的もなく、理由もなく。ただ、冷たい冬の夜風に導かれる様に歩き続ける。
 
 「…ん?」

何を気に留めたのか本人にも解らないけれど、小さく首を傾げて足を止めれば、歩みを止めた事を咎めるように鋭い風が黒髪を掻き乱して吹き抜けていった。

雪緒 >  乱れた髪を手櫛で適当に掻き上げて耳を澄まし続けていても、鼓膜を震わせるのは無数の晩秋の虫達の恋の歌のみ。
 気の性だったかと思いつつ顔を上げ今にも薄雲に隠れそうになっている夜月に目を向ければ、月光に照らされる顔は浮世離れした容姿とは異なる幼くもそれなりに整った造形か。

 「…月も、違う。」

 そう呟くのも何度目だろう。
 空に浮かぶ月の表に見知ったものを見つけ出せぬ夜にもそろそろ慣れてきた。幾度の朝を迎え夜を超えても知る辺は見えず。足の向くままに進む先にも未知しかなく…。
 何故に我があるのかを自問しつつの旅路もそれなりに続いていれば、最近はようやく不審がられぬ程度に言葉も使えるようになってきた。そろそろ、人気の多い場所を目指してみるべきだろうか。

雪緒 >  月が薄雲に隠れるまで見送ればはふりと小さく溜息をついて視線を周囲へと送って確認する。月明りも随分薄れたけれど、歩くだけなら問題もないだろう。
 黄昏時に確認した街道は彼方だったろうかと適当に目星をつけて止めていた足を再び動かし始めれば、まだ青さを残す草の立てる乾いた音に合わせるように少女の気配が無いかのように虫達の音が空気を震わせる。
 無秩序ながらに心地良く鼓膜を楽しませる秋の音に少しだけ気を良くすれば、そのまま夜闇の中へ姿を溶かしていこうか。

ご案内:「◆メグメール(喜びヶ原) 自然地帯(イベント開催中)」から雪緒さんが去りました。