2018/07/28 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にエンデさんが現れました。
エンデ > 街道よりほど近い森の中。
先ほどまで差し込んでいた木漏れ日が雲に隠されはじめた昼過ぎの刻限。
夏の日差しの中に立つには、その恰好はあまりにも不似合い、だろうか。
黒い衣服を頭から爪先まで確りと纏った医師はそこにいた。

「……一雨来そう、かな?」

黒い鏡のような仮面に包まれた顔に似つかわしい、感情の色合いの薄い声。
そんな独り言を零せば、空に向けていた視線を落す。
仮面に刻まれた十字のスリットから地面に向けられる視線。
まるで何かを探るように、一歩、二歩と歩き始める。
此処に来た目的は、探索。治療薬に使う薬草を探しに来た。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にマーナさんが現れました。
マーナ > 様々な薬草や香草などが手に入る自然地帯。
草原かそれとも森林か、男が目的の場所へと着いて雨の予感を感じ、目的の品を集めようとして半刻。目的のものは充分集まったか不作か…ポツポツと雨の気配が感じ始めた頃の事。
突如、身の毛のよだつような叫び声が聞こえた。
少し離れているだけでぞわっとした感触を覚えるだけか、あるいは屈強な男であれば平然としているかもしれない。
もし興味がありその方を見に行くなら、木陰でピクピク痙攣しながら、片手に人面人参…マンドラゴラを持っている人狼の少女が倒れているのがわかるだろう。

エンデ > 下生えを視線がなぞる。ここは、と思う場所に黒い指先が伸びて探る。
そして、成果があれば、丁寧に薬草を採取し、胸元から取り出した透明な袋に入れ、トランクケースにしまう。
成果がなければ、できる限り丁寧に下生えを元に戻すようにする。
それは丁寧、あるいは細心というよりは、無機質、という言葉が似合う所作。
まるで歯車仕掛けのように、動いていた手が、止まる。
最初は、ぽつりと落ちる雨の気配を感じたから。
そして、上げた視線の先で、叫び声が聞こえた。

「………ああ、こんなところにもマンドラゴラが生えていたんだな。」

そんな感慨めいた声が響く。
そのまま、見た目にはマンドラゴラの叫声を聴いたとは思えない平然とした足取りで音の発信源へ向かっていく。
できるだけ急いで、どれくらいだろう。
いずれにせよ、痙攣する娘がそこから立ち直るには時間が足りない程度。

「――君、大丈夫かい?意識は?」

そして、木陰に倒れる人狼の娘を見つければ、そんな一言と共に傍らに駆け寄るだろう。

マーナ > 「うきゅう〜」

男がたどり着いた先に倒れているのは、15、6くらいの若い少女。
風貌は冒険者のようだが…それにしては軽装で、少々不用心かもしれない。
特徴らしい特徴としては、獣の耳と尾、そして幼い顔つきの割にでるところは出ている体型くらいだろうか。
少女はまだ目を回しているのか、声かけには応えないが、幸い致命傷ではないようだ。

エンデ > 辿り着いた場所で耳に届いたのは、完全にのびている声。

「聞くまでもなく、大丈夫ではなさそうだね。」

――意識混濁。
胸中で彼女の症状を確認する。
言葉と同時に、薬草採取で汚れた手袋を取り換えながら、傍らに膝をついた。
「失礼」と返事を待たずに声をかければ、手首、次いで首筋に指先を触れさせて脈を確認。
――異常なし。
確認すれば、トランクケースから取り出したのは傘のような防水道具と大きめの布。
いくら夏の雨とは言え、濡れ続けるのは身体によいとは言えない。
だから、彼女を雨粒から守るように傘をさして、そして布で、濡れた身体を拭ってやろう。

「マンドラゴラの採取犬のようにならなかったのは幸いだね。」

独り言を呟いている間に娘の意識が戻るのならば幸い。
そうでないのならば、防水の下敷きを出して、その上にその身体を寝転ばせよう。
これ以上雨に濡れないように。

マーナ > 「んっ…」

雨がポツポツと頬に当たる。
傘の隙間から抜けてきた雨が、覚醒を促すように少女をノックした。

それに導かれるように薄っら目を開けて、ぽーっとした表情で男を見る。
あどけない、無垢と言った幼い視線。怖がるわけでも感謝するでもなく、ぽやっとしたまま見上げていて。

「…ごしゅじん、さま?」

少女は男を見上げながら、そう呟いた。マンドラゴラの悲鳴の後遺症だろうか、まだ意識や精神が混乱している様子。
少女は男に擦り寄るようにすると身体を押し付け始めて。

エンデ > 零れた雨粒が少女を叩く。
それが覚醒を促したのを確認する。薄っすらと開く赤い瞳。
目の前に膝をついた黒衣の男に焦点を結んで、零れたのは「ごしゅじん、さま?」という問い。
すり寄るように身体を押し付けてくるのを――けれど、黒革に包まれた指が止める。
彼女の両肩に柔らかく手を触れて。

「残念ながら、違うよ。私は医者だ。」

見下ろす仮面。
赤い十字のスリットの奥の瞳を一度閉じて、ゆっくりと首を振る。
そして、視線を向け直す。まだ茫洋としているだろう娘の赤い瞳を赤い光が見て

「わかるかな?ミレー族のお嬢さん。
 君はマンドラゴラの採取中に悲鳴を聞いてしまったようだ。」

そして、語り返すのは落ち付いた声音。
混乱する精神に呼びかけるようゆっくりと、言い聞かせるように言葉を響かせていく。

マーナ > 革手袋の手で身体を止められ、ポーッとしたまま見上げる。
ゆっくりと状況を説明されれば、ズキズキとする頭痛が沸き起こり。

「つぅぅ…! あ、っ、そっかアタシ…」
こめかみを抑えながら少しずつ思い出して行く。
仕事の依頼でマンドラゴラを取りに来たが、思った以上に叫び声が強く昏倒してしまったと。

「…あ、ありがとう…これも、君が…?」

毛布に傘、何から何まで迷惑をかけてしまったようだと、頭を下げて。

エンデ > 「あまり動かない方がいい。
 マンドラゴラの悲鳴を聞いてそれで済んだのは運が良い方だが、そう甘くみていいものじゃない。」

苦痛の声を上げる少女に言葉を返す。
こめかみ抑えるのを見れば、もう問題ないだろう。
「失礼した。」と言葉を添えながら肩から手を離すだろう。
そして、次いで礼を述べられれば

「エンデだ。気にする必要はないよ。
 たまたま倒れていたのを見つけたからおせっかいをしただけで
 私がいなくても大事には至らなかっただろう。
 ただ、マンドラゴラはそれで諦めて今日は街へ戻った方がいい。
 それに、次からは耳栓を忘れないことだ。」

返したのは自分の名前。それから落ち着いた言葉。
頭を下げる所作には、そんな必要はないと軽く右手を振ってみせて。
そして忠告めいた言葉をひとつ添える。
深刻な様子、というよりは最後の言葉は僅かに冗談めかした響きを帯びていたが。

マーナ > 「うー…はい…」

自分の未熟さを露呈した結果となった。男からの忠告を受け止めて、がくりと項垂れる。
ダメージこそ抜けたし、確かに大事には至らなかっただろうが、魔獣などの危害はあったかもしれない。
次は耳栓を忘れずに、と心の中で反復し、ふぅっと一息。

「…そろそろ雨、止むかな?」

夏の通り雨、ザァザァと降り出した雨も時間と共に弱くなり、また暑い陽射しが顔を覗かせるのだろうか。

エンデ > 「気にすることはない。
 生きている限り、次はある。」

項垂れる娘に、仮面の奥で少しだけ笑ってみせた。
揶揄するようなそれではなく、軽く励ますような色合いの声。
そして、膝をついた姿勢のまま、雨の空へと視線を向けて。

「ああ、そろそろだろう。雨が止んだら街まで送っていこう。
 頼りにはならないが、囮くらいにはなる。」

いくら冒険者といえども、今の状態なら護衛代わりは必要だろうと。
と、そんな話をしている間に、雨が止んで、雲が途切れていく。
そして、夕刻に差し掛かろうとする日差しが覗いてくるだろう。

マーナ > 「次、か…そうだね」

真っ直ぐと晴れた空を見上げて、毛布から水気を払って返し。

「ありがとう、まだ少しクラクラするから助かるよ…帰ったらご飯でも一緒に食べない?」

それくらいしかしてあげれないけど、とやや申し訳なさそうに立ち上がり、街へ向かって一歩踏み出す事だろうか。

エンデ > 少女の言葉に頷くと傘を閉じて、返された毛布を受け取る。
そして二つとも畳んで、トランクケースにしまってしまおう。
大きめの二つがあっさりと魔法のようにケースにしまわれてしまって。

「良ければ肩くらい貸すが、その必要もないかな。
 せっかくだが、食事の誘いはまだ今度。
 この後、仕事があるし、あまり人前に晒せる顔をしてはいないのでね。」

申し訳なさげな少女の様子に返す言葉。
滑らかな響きの声。事情の説明と、冗談めかした響きの色合い。
そして、歩きはじめれば二人ともに街へと向かっていくだろう――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からマーナさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からエンデさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にタマモさんが現れました。