2018/06/08 のログ
ご案内:「喜びヶ原 月獸ノ森」に紅月さんが現れました。
紅月 > ーーーかつ、かつ、パタパタ。

今日の紅鬼は森の中。
今はまだ名も無き小さな緑を連れて、のんびりと。

名も無き緑…即ち、つい最近友人と共に王城内の廊下で拾った飛竜の赤子である、が。
何故すぐ名付けぬのかと問われれば、至極簡単『優柔不断であるから』で。
竜とは永きを生きる者…なればこそ先々、大人になって大きく育ってからも笑われないような迫力と美しさを備えた名をつけてやりたかったのだ。
…と、なると、少々自分の名付けセンスの疑わしさに心配になり尻込んでしまっては決定に至らずにいた。

「これ、擽ったいよぅおちびさん」

子竜は、背中に引っ付いて羽をパタパタさせながら髪にじゃれついている。
本日も実にヤンチャで元気、微笑ましい限り。

…とりあえず、だ。
まだ成猫サイズの飛べない飛竜ではあれど、室内ばかりでは良くなかろうと思いきり遊ばせてやれそうな森の中に来てみた。
ここであれば、すくなくとも一般人を驚かせる事は無かろう、と。

紅月 > 暫し歩けば、開けた場所に出る。
大きく澄んだ湖…美しい。
こういった場所にログハウスでも建てたら、理想の引きこもりライフを満喫出来そうである。
実際…昔、人間嫌いになって引きこもっていた頃の隠れ家もこんな感じの、ただしアレは樹海の奥地であったか。

…閑話休題。
とりあえず、ここならちょっとやそっと暴れる事があるとしても問題なかろ。

「ほぅらチビすけ、遊んでおいで?
でも、あんまり離れちゃあ…そうだ」

ゴソゴソと虚空の収納空間を漁る。
そうして取り出したのはマジックアイテムで、白いバンドに青紫の長菱形の石がついている。
それを子竜の首にかけて、魔力を流し込んでやり。

「良し、これで何かあっても辿れるな。
…ん、いっておいで!」

迷子札の準備完了、いよいよ子竜の自由時間である。

紅月 > 「さて、と…夜営の用意でもしますかね」

伸びをひとつ、欠伸ひとつ。
まだまだ全然明るい日中であるが、まぁ、準備はいくら念入りにしてもいいからなぁ。

ここいらは魔獣もちょくちょく出るし、ひょっとしたら腕試しの冒険者が来るかも知れん…し、採取にもなかなか良いからソチラ方面と出会す事もあり得る。
どうでもいい支度は早めに済ましてしまおう。

「んじゃあ、今日は…久々にテント使うか。
ちょっと広めの…あっ、あれっ、どう組むんだっけコレ。
…いかんなぁ、いつも独りで木ノ上寝だから使い方忘れてら」

後頭部をかき、思わず苦笑する。
難しいものではないし、どうせそのうち組上がるだろう。

完成すれば4人位が雑魚寝できる広々としたテント…の、骨組みとにらめっこ。

紅月 > 「……足元を地魔法で固めたら…と。
ふはー、出来た出来た!
…ん、地震くらいじゃあグラつかないな、良し良し」

軽く力を加えて揺らしてみる。
紅月視点で言うならば、ちょんちょんと突っついて、であるが。

次いで、骨組みに布を被せる…丁寧に丁寧に、何度か作製に失敗して結局5匹目でようやく成功したベヒーモスの一枚皮は、丁度いいサイズ感。
そしてテントの中に撥水性の鞣し革…海魔から剥いだ皮を継ぎ接いだ物だったかな、それを敷いて。
その上にちょっとしたラグを敷く…これは女郎蜘蛛の姐さんに頼み込んで織って貰ったヤツだ、懐かしい。

「後は寝床、なんだけど…普通に用意したらつまらんなぁ」

既に全く普通ではないが、そこは気にならないらしい紅鬼…首を傾げる。

「……、…狩る、か、手懐けるか」

紅月 > 「あ、否、待て待て…まず魔物避けか。
せっかくの力作、ダメにされたら敵わんもんなぁ」

腕組みを解き、取急ぎ調合の準備を。
道中で必要な薬草・香草の類いは採取済みだ。
後は乾燥木の実と花の蜜をストックから足して、これでもかっ!と浄めに浄めた聖水も…後は乳鉢、これは実家で使ってた物だけれど何を潰しても壊れない金属製の物だ。
…オリハルコンでも使われてるんだろうか、不思議。

さて、完成するのは獣避けというよりは悪意避けに近いもの。
害意を持ちにくくしたり、悪意を持てば持つほど悪臭に感じたり…結果的には味方か中立の者しか近寄れないから効果は変わらんのだが。

違いを述べるとすれば、普通に嗅ぐなら爽やかなイイ香りである事。
害意のない温厚な魔獣や魔族なら普通に近寄れる事。
逆に害意を持つ人間も退けてくれる事か。

「…これ、レシピ完成させるまでに何年かかったっけ。
きっつかったなぁ…」

それこそ竜の糞から秘境の植物まで片っ端から試した。
ゆっくり休めるイイ香りに仕上げる為だけに。
何故そこに情熱をそそいでしまったのか…むしろ、今となっては私が知りたい。

紅月 > 「ここに、守る対象の血液を1滴、っとと…
おチビちゃーん!戻っておいでー?」

子竜に声をかければ、紋白蝶を追っていたそれは意識を逸らされた為か躓いてコロリコロリと転がっている。
…やれやれ、仕方のない子だなぁ。
ふふっ、と笑って立ち上がると子竜に近付き抱き上げれば、胸元に引っ付いて懐く…あぁ可愛い。

「ちょっぴり痛いけど、ごめんね…ああっ、うんうん痛いよね、そうだよね、ごめんねっ!」

まだ赤子である子竜を傷付けるのは非常に心が痛むが、致し方なしである…直ぐ様氣を注いで治癒力を上げてやる。
過保護と笑いたくば笑え、可愛いんだから仕方あるまい。

痛かった事に大層ビックリしたらしい子竜は、よちよちよたよたと、軽く傷を付けられた尻尾を気にしている。
でも、呼べばやっぱり近付いてくる。
…そんな所も可愛いのだから、親バカも極まっている。

「さて、お薬撒いて来なきゃね?
お散歩だよ、おちびさん」

紅月 > さっと一周、テントを円で囲うように聖水で希釈したそれを撒き…更に、周囲に途切れさせる事のないように撒いて。
薬液に魔力を流せば安全区域の完成である。

途中、オニグルミやクサイチゴ・ヤマグワなんかの木苺を摘まみつつ。
ハコベにナズナにハハコグサ…いい山菜お浸しが作れそうだ。
それから、そこらの乾いた木片…キャンプに焚き火は付き物、しっかり薪集めはせねば。

鼻唄混じりにテントに帰れば、テント内に薪置き場を設置。
お鍋に飯盒、水は目の前の湖から分けて貰って…まずはお米を炊こうか、お握り食いたい。

「…この辺の美味しい魔獣、何だったかなぁ」

焚き火を木の枝で突っつきつつ、空を仰いで呟く。
鳥系かキラーバニーであればまず間違いない、オークであれば大当たり。
ウルフ系はテイムしてもふもふ寝床が理想だから倒せないし…ふむ。

「普通の動物狩るのは、人間の分が減るからなぁ…ま、おちび様の為にも頑張るかね」

紅月 > 子竜を背中に引っ付けて、トントンと木の枝を跳ぶ。
空を飛ぶ疑似体験になっているのか、背中の子竜は実に楽しそうに翼をぱたつかせている…が、その翼が掌サイズでは浮力も風圧も大した事にはならない。

下方にフォレストリザード発見、サイズが人間の青年程度って事はもう立派な生体…しかもソロか、しめた。
対バケモノ特化の紅月、腕の見せ処である。
…と、言っても、だ。
トカゲ相手なら真上から首を狙い全体重をかけて突き刺し、それで生きているようなら焼き切ってやる程度だが。

「うぅん、呆気ない。
やっぱりマンティコアとかコカトリスくらい出てくんないと味気ないなぁ…」

パッと太刀についた血を払う。
最近また血に餓えてきた…月は下弦を越えたところだったか。
新月までには誰かに血を分けてもらうか、それとも…否、今はまだ、考えないでおこう。
気が滅入る。

紅月 > 必要のない中身はその場で捨て置こうと開けば…あら、まぁ。

「牝か、ラッキー♪」

貴重な蛋白源、卵を入手である。
まさか現地調達で目玉焼きが食べられるとは思わなんだ。
ひとまず卵以外の中身は棄てて、テントに向かう。

テントについたら、今度は釣りでもしてみようか。
あまり得意ではないのだが、運があれば1尾くらいは釣れてくれるだろう。