2018/04/05 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にネコアシさんが現れました。
ネコアシ > 冒険者に憧れていた。

巨大な斧を振り回しゴブリン共を薙ぎ倒す戦士、には腕力足りず。

鋭い剣を閃かせミノタウロスを一刀両断する剣士、には技量が足りず。

詠唱し魔力を集中させ魔法を解き放ちモンスターを殲滅する魔法使い、には知力足りず。

傷ついた仲間たちを癒す祈りと軌跡の使い手のヒーラー、には信仰心が欠けている。

唯一適合しそうなシーフには残念ながら器用差までも欠けていて、出来る事と言えば「ねこあし」をフルに使って危険地帯と安全な場所のギリギリをせめて薬草や鉱石を拾い集める事だけである。

今宵はメグメール自然地帯の草原に居る。
貧民地区ではちょっとやらかした為、暫く帰れなくなり、その上無一文な訳だから稼がなければならなくて、だけど冒険者になる程に能力が足りない自分はこうやって使えそうな草や鉱石っぽい石を集めて、近くの村で売り捌いたり、冒険者に売りつけることだけ……幸い少しだけ夜目が利くので、何とかやっていけるのだが、キケンな事に変わりなく、先程から何度泡を吹いて倒れそうになった事か……。

「………滅茶苦茶帰りたい、お腹空いた………今日に限って寒い……。」

ブルっと全身を駆け抜ける悪寒に身震いするも、それは嫌な予感かそれとも寒さの為かなんて判らずに、両腕で自分の身体を抱くようにし、その場で静かにステップを繰り返す事で何とか体温を維持しようと、だが周囲は安全じゃない、だからもうさっさと金になりそうな何かを見つけたくて、フードを奥で下層に住む人間特有の澱んだ輝きの無い眼をキョロキョロとさせて、周囲を見渡すのだった。

ネコアシ > 遠目から判るのは岩、草、岩、草、枯れた木、倒木、岩、草、草………さっぱり判らない。

薬草の知識なんてある筈もなくて、傷薬程度なら近づいて良く見れば……後は薄荷の類くらいか、それでもお金に換えなくてはいけないくらい追い詰められている身としては一先ずこんなところにまで来て採取するべきモノではない、傷薬の材料になりそうな薬草を求めて、足踏みステップを止めて歩き出す。

「何束か持って帰れば……本とか図鑑とかあればなぁーって………。」

愚痴しかでない、愚痴しか出ない……。
寒さのあまりにほんのりと白い息を吐き出し、掌と掌を合わせて、その白いと息を吐きかけつつ、スリスリ擦り合わせて微弱ながらの暖をとりながら、さて歩きだしてとにかく近くの岩場に隠れて、その付近の薬草を摘もうかなと。

足音も無く、風も揺らさず、得意のネコアシですすすすすっす……とその目星をつけた岩場まで歩き始め、同時に足元を見渡して、その薬草になりそうな草を雑草の中から選別しようとするが、歩きながらでは判らない……。

仕方ない、もう足元のあれこれを諦めて、岩場のほうまで一直線に向うとする。

何だろう、もう、効率のいい稼ぎ方を考え直すとか、娼婦の姉さん方にご教授頂いて王都から出ない方がいいんじゃないかなとか頭の中に過ぎっていく。


でも男として冒険にあこがれ、冒険者に憧れるのだ。
これだって小さな冒険、その筈である。

ネコアシ > 暫く薬草を集めた後、さっさと危険な場所からは去る事にする。

静かに風も揺らさず音も立てず、すすす……と王都の方に向けて逃げ去るように歩いていくのだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からネコアシさんが去りました。