2018/03/09 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にグレヌアンギュさんが現れました。
■グレヌアンギュ > 水深は浅く、流れもゆるく、比較的水浴びをするのに丁度良い川は今宵は妙に水面がキラキラと月明かりを弾き輝きを見せている。
夜空が黒いカーテンであるなら、今宵の川は深く青いビロード。
星の輝きが小さな明かりであればその光すらも弾く水面に映る輝きはビロードの艶……か、不自然なほどに川の流れが揺らぐ度に輝きの色合いを変えて輝き続ける。
その現象を引き起こしているのはグレヌアンギュと言う透明な肉と身体をもったウナギか海蛇に近い形状の魔物である。
それは川の流れに身を任せるようにして身体をくねらせ、その身から滲む体液を川の水に練り込み、混ぜ込み、滑り重たくする事で自然の罠を作ろうとしている。
耳を澄ませば聞えるだろう、何かが川の中で暴れ、水面を乱すパシャパシャと言う音。
だが夜目が効くか眼を凝らして眺めない限り、その音の源は決して人の眼に映る事は無い。
透明な肉、透き通る皮膚、まるで硝子細工に見える魔物は獲物が流れる川に近づくまで、足先を入れるまでただただ泳ぎ、川の水を侵して汚して、自らの領域へと変えていく………。
その光景はおぞましく、美しく、川のせせらぎに艶を与え、それが罠である事を覆い隠し、近づくものを不可思議ながら美しいその川べりへと誘うだろう……。
若しかしたら、それが何か知り、それを掴まえる為に寄るものもいるかもしれない、だが今宵乾いた透明な海蛇達はそれすらも飲み込もうと、犠牲者の到来を待ちわびている。
■グレヌアンギュ > ――川の水面を何か生物が跳ねて叩く音が静かに響く……。
パシャ、パシャパシャ……パシャパシャ……と。
だが音がする度に波紋が水面に広がるだけで音を奏でる主の姿は見えないし、捉える事は難しいだろう。
それでも一瞬だけ大きく跳ねた海蛇が月の輝きに煌いて、硝子細工の様な身体のシルエットを浮かばせる事がある。
それだけ見れば美しい生物にしか見えず、それを何かと知る者が見ればその美しさには毒に満ちた棘が隠れている事が判るだろう。
その生物は同族だけで繁殖する事は出来ない。
故に他の生物の胎を借りて種を増やしていく特性がある。
それも獣等ではない、人のミレー族の亜人のその湿って潤いぬくもりある胎内を好んで借りて増えていくのだ。
だからどれだけそれに価値があろうとも近寄ってはいけない。
跳ね除ける術を持っていても誘われてはいけない。
餓えたグレヌアンギュの群れはそれすらも食い破り、その胎を己等の子種で埋め尽くし、犠牲者を苗床にしようと力を蓄え、その姿が見えづらい川の流れに身を委ね泳ぎながら、触れ合う瞬間を求めて牙を磨いているのだから。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にハクさんが現れました。
■ハク > 「ぐ、ぐれあん、ぎゅぬ……でござったか……」
左手に魔力を糧に輝く小さなランタンを、右手に抜き身の大太刀を構えた狐獣人の娘が一人、喜びヶ原の川沿いを歩く。
一人こんな場所にやってきた理由は一つ。ギルドの依頼で、割高なモノを請け負ったからだ。
――川に生息する魔蛇グレヌアンギュの捕獲。
1匹あたり1000ゴルドという非常に割のいい魔物捕獲依頼だった。
何故か女性限定、子供禁止、という但し書きがあったのだが……
ギルド職員に話を聞くと「主に大人の女性を狙う魔物なので」としか説明ももらえず、代わりにこのような小型魔力灯を貸し出されてこの川べりにやってきたのだった。
「……むぅ、しかしこの灯、いいでござるなぁ……それがしも、このようなものを常備できればよいのでござるが……
いやいや、今回の依頼で、ぐれあんぎゅぬ、を10匹も捕まえればこの程度……!」
所詮は水辺の魔物、一掃すればしばらくは金子にこまる事はない、と意気揚々と浅い場所に足を踏み入れて魔力の光で水面を照らしながら魚の様子を探る。
■グレヌアンギュ > まだ暖かい季節と言い切るには寒さがねとりと残る頃合。
穏やかに流れる川の水は聊かひやりとするものだろう。
だからこそ、その川に水に人肌のぬくもりが触れると透明な肉を持つ海蛇達は来訪者に感付き、悦びに戦慄く事で水を微細に震動させ、我先に獲物に喰らい付こうとするのか水の中で互い絡みあい、邪魔しあい、束縛しあう。
ギ、ギギ………キチキチ………ギギギ…………。
悲鳴か雄叫びか、透明な肉を持つ海蛇達が鳴きながら体温だけを目印に獲物に向かい泳ぎ蠢き這いずり回る。
その姿は月明かりよりも魔力の明かりに良く照らされ輝き、一層艶やかに硝子細工の如き姿を光の下に曝け出す。
――我先に競い合い、己の種を犠牲者の胎に残さんと暴れ狂う姿、水面は穏やかな姿などとうに消え、何かが水面を泡正せるほどに足掻き、その水自体が興奮したグレヌアンギュたちの粘液で重たく滑りを増すだろう。
その中で1匹が運よく絡みあいから抜けたか、浅瀬に足を踏み入れた狐獣人の娘の足首にヌラリと螺旋に絡みつき、その身に纏う何かよりも素肌に触れようと、ヌルヌルと滑る体で何度もその足を締め付け、丸み尖る頭部で足首辺りか脛辺りか中に入れないものかと、ぐりぐりと頭部を押し付け始めた。