2017/11/13 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/採掘場」にノーラさんが現れました。
■ノーラ > 平原にある洞窟の中には、良質の鉱石が掘れる場所が混ざっている。
材料を買うことも出来るのだが、材料から極力自分で調達するように教えられて育ったのと現役の祖父の手伝いでも採掘に来る事が少なくない。
実際今日も手伝いで採掘場の一つに足を踏み入れた。
灯りの魔法で生み出した光の玉が、周囲をくるくると回って視界を照らす。
ただの旅人であれば入るのを躊躇う程度には掘り進められた坑道を慣れた様子で進んでいけば、メモと道を照らし合わせて。
「えっと……この辺り、でしょうか…」
もう一人でも目当ての物がありそうな場所の目星をつけるくらいは出来るようになっている。
ありそうだと判断した場所で荷物を下ろすと、背負ってきていたつるはしを握りしめ。
「せーの……」
がつん!と盛大な一撃を皮切りに、女性が出しているとは思い難い音をさせながら採掘を始めた。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/採掘場」にエズラさんが現れました。
■エズラ > 「ええっと……ここで良かったんだよな」
先客に遅れること数十分。
つるはしを担いだ男が洞窟入り口に到着した。
片手に持つカンテラを傍らに置くと、胸元から地図を取り出し、洞窟前の立て看板と照らし合わせる。
冒険者ギルドからの依頼で、希少鉱石の採掘に来たのである。
「ようし、間違いねぇ……行くとすっか」
採掘用の荷物を背負い直すと、カンテラで行く先を照らしながら、洞窟を進んでいく。
程なくして、採掘音が男の耳にも届いて――
「おおっ……先客がいるみてぇだな……――」
ゆらゆらとしたカンテラの明かりが、先客の視界にも入るだろうか――
■ノーラ > 「♪~」
鼻歌交じりにつるはしを振るい続ける。
その視線は真っ直ぐに目の前の土壁に向けられ、見つけた鉱石を変に砕いてしまわないように細心の注意を払っていて。
自身も光源の近くにいれば、横から光が指した所で気がつかない。
気がついた所で、他の鉱夫が来たのだろうと思うだけだろう。
「…あ、今日の読みは当たりですね♪」
程なくして、鈍く輝く鉱石の姿を認めれば手で数回土を払って。
注意深くその鉱石の周囲を調べ始めた。
■エズラ > 段々と採掘音が近付いてくる。
しかし、そこで採掘を行っている者の姿は、男の予想外――
「……コリャ驚いた、こんなとこに女の子がいるとはよう」
鉱石の周囲を調べていたのは、まだ年若そうな女。
およそ炭鉱には縁がなさそうに見える可憐な容姿であった。
背負った荷物を下ろしながら、まじまじとその姿を眺めていたが、女が調べている鉱石の方に視線が移動する。
「……なあ、あんた――その鉱石は、ここいらでたくさん採れるのか?」
それは、自分が受けた依頼にあった鉱石の輝きに――サンプルとして、小さなかけらを渡されていた――酷似していた。
■ノーラ > 「あら…?こんばんは」
横から聞こえた声に、新入りの鉱夫でも来たのかと視線を向けた。
ここに来る馴染みの鉱夫であれば、彼女がここにいることは珍しくもなんともないからだ。
「これですか?
うーん…出るには出るんですが、これは少し珍しいですね。
集めて剣を一本打つにも少し苦労する程度には…」
眉尻を下げながらそう返した。
この採掘所は様々な鉱石が入り混じり、ある程度固まっているとはいえ確実とも言えない。
今出たからと言って近くにあるとも一概に言うことが出来ない、と続けて説明しようか。
■エズラ > 「ああ……挨拶が遅れたな、こんばんは、お嬢さん」
この場所に来るのは初めてのこと。
ましてや炭鉱を専門としているわけではない。
そういうわけなので、彼女の丁寧な返答をふむふむと肯きながら聞いている。
「なるほど……安請け合いしちまったかな――ま、とにかく出ねぇということはねぇ、と分かっただけでもありがてぇ。しばらく、一緒させてもらうぜ――」
そっちの邪魔はしねぇからよ、と一言付け加え。
カンテラを相手とは少し離れた場所に置き、つるはしで岩を掘り始める。
岩を掘る音こそ勇ましかったが、男の動作は熟練の炭鉱夫のそれに比して明らかに劣っており、一目で素人と知れた。
しかしながら、腰が入っていないわけではなく、むしろ力みが強く、欲している鉱石の硬度では、砕いてしまいかねない動きである――
■ノーラ > 「はい、お探しの物が見つかるといいですね」
どうやら今自分が掘り当てたものを探しに来たらしことは察しつつも、これを初対面の人間に譲ったなどと言えば間違いなく祖父にどやされる。
まして商売をしていて鉱石の価値を知っていれば余計に譲ることは出来ず、僅かに申し訳なさそうにしながらそう告げて。
男が少し離れた場所で採掘を始めれば、自分の鉱石へと向き直ったのだが…
「…………?」
男の採掘音に、小首をかしげた。
手慣れた鉱夫の出すそれと、男のものとでは全く違うのだ。
まさに、力任せに叩き壊しているような音。
「あの…!
もしかして…鉱夫さんじゃ、ないんですか…?」
鉱石の知識がある鉱夫であれば、力に任せるようなことは絶対にしない。
まして、割合柔らかい部類に入る鉱石を掘ろうというのなら余計に。
それでは見つかるものも壊してしまうと、半ば慌てたように声をかけてまずは手を止めさせようと。
■エズラ > 「……んん!?」
しばらくは、自身の出す轟音のせいで相手の声が聞こえていなかったが――何やら慌てている女の様子に気付き、手を止める。
軽く額の汗を拭いつつ、つるはしを肩に。
「あ、ああ――いや、敵陣に地下から近付くためにトンネルを掘ったことは何度かあるんだがよ――そうだ、オレは鉱夫じゃねぇよ」
それ故に、ともかく相手の探し当てた鉱石に似たものが出れば、それを確かめてもらおう、という程度に考えていたのである。
しかし、彼女の慌てっぷりから察するに――
「……やっぱ、今の感じじゃまずかったか?」
■ノーラ > 「あれを掘りたいんですよね…?
でしたら、力のかけすぎです…下手をしなくても砕いてしまいますよ」
男が削った岩盤を確認して、万が一にも砕けていないか確認していく。
壁は変わらない岩が広がっていれば、安心したように息をついて。
「そうですね……じゃあ、こうしましょう。
私は、こっち側を掘ります。
代わりに、あちら側を掘って頂けますか?
あちら側は硬い鉱石が混ざっていますので」
それでもし何か鉱石が出れば、それと交換しようと。
それなら損にはならないし、堂々と家に帰ることが出来る。
■エズラ > 「フムン……なるほどな。鉱石っつうもんは、どれも硬いもんだとばかり思っていたぜ」
やはり、安請け合いであった。
粉々に砕けた鉱石を持って帰っても、一文にもなりはしなかったであろう。
続く提案に、男は目を丸くして。
「そいつぁありがてぇぜ。それにしてもお嬢ちゃん詳しいな――なにか、専門的な仕事をしてるのかい」
指された方へ歩み、上半身を露わにしながら問う。
その肉体は、鉱夫同様に発達した筋肉を有していたが、数多くの戦傷も刻まれた歴戦のもの。
そうして、先ほどと同様につるはしを振るい始める。
一振りごとに岩が砕き、削られていく度、汗ばんだ背筋が軋む様子が、カンテラの灯に照らされる――
■ノーラ > 「普通に触ると硬いには硬いですけど、色々ありますよ?」
言いながら、再び先程自分が見つけた鉱石へと戻って。
「私ですか?
私はただの工房の娘ですよ」
ただの、と本人は言うが実際は物作りと呼ばれることなら大抵触っている。
鍛冶・錬金・細工・木工・料理・裁縫…それぞれ専門職である親族達から学び、誰からも認められる腕には達している。
こちらもまた、言いながらつるはしを握り直し、鉱石から少し離れた場所を削り始めた。
周りから削り出そうというのだ。
■エズラ > 「なる……ほどっ!工房のっ……娘っ!納得したぜっ……!」
返答の最中にも、つるはしを振るう。
その動きは相変わらず激しかったが、先程までに比べて幾分リズミカルなものになっていた。
やがて相手の細やかなつるはしの音がそれに混じり、洞窟内に炭鉱特有の不協和音が響いて――
「……ふっ、ふっ、おおっ?」
そんな中、男のつるはしが不意に硬質な層を叩く。
細かく砕けた周囲の層を払ってみると、その向こう側に色も硬度も異なる鉱石が顔を出していた。
「おうい、ちょっと来てくれねぇか、こいつは、少しは価値があるかよ――?」
■ノーラ > 「はいー?」
呼ばれれば、こちらはもう少しで削り出せるかというところまで掘っていた。
つるはしをその横に立てかければ、男の元へと歩み寄って。
「あらあら…今日は随分ご機嫌ですねぇ…」
一攫千金を狙うこともできるこの採掘場とはいえ、1日で2つも希少なものを見るなんてと。
これであれば、男の目当てと交換しても遜色ないだろうと笑って告げようか。
■エズラ > 「おっ……その様子じゃ……――」
娘の表情が柔らかく崩れ、その価値を示してくれた。
出会ったばかりではあったが、先程からの態度や、鉱石を眺める表情から、言っている内容が嘘ではないと容易に知れた。
そうと分かれば、男も慎重になる――
「そんじゃ、こいつを掘り出すとすっか……こんなもんでいいか?」
そう言って、今度は周囲の岩を細かく穿ち、鉱石のみを露出させるように掘り進める。
横目で見ていた娘の見様見真似ではあったが、鉱石の硬度も手伝って、どうにか傷付けずに掘り出すことができた。
「ふー……難しいもんだな、しかし、慣れりゃあ面白そうだ――」
手の中で鉱石を暫し弄び――それを相手に差し出して。
「さっ……遠慮なく受け取ってくれよ――」
■ノーラ > 「はい、少し余裕を持って………」
簡単なアドバイスをしながら、慎重に男が鉱石を削り出すのを見守って。
ぐらりと鉱石が揺れ、ぽろりと外れるように落ちたのを見ればホッとした顔をした。
「良かったです…大分コツを掴まれましたか?」
お疲れ様です、と笑いかければ差し出された石には両手を遠慮するように上げて見せて。
「私もまず掘り出させてください。
万が一があったら交換も何も無くなってしまいますから…」
先に自分だけが受け取る訳にはいかない。
そんな意志を見せながら、自分の鉱石の前へと戻って。
数度、周囲に食い込んでいる残りの岩を小突くと鉱石へと手を伸ばし…
「……うん、大丈夫ですね。
それにちょっと大きめですし…恐らく、等価程度の取引だと思いますよ」
言いながら今度こそ、と鉱石を差し出した。
■エズラ > 「……律義だねぇ、そっちの腕を疑ってやしねぇさ」
丁寧な指導のお陰もあって、無事に鉱石を掘り出すことができた。
そして、そんな指導が可能ということは、娘の技の冴えも推して知るべしと言ったところであろう。
案の定、柔らかな手つきで綺麗に鉱石を掘り出した――
「すげぇもんだな――穴掘りっつぅのも、奥が深ぇ……――」
時には敵陣目指して、時には捕虜になって――穴掘りといえば、無心に岩を砕く作業と認識していた。
しかし、採掘はそれとは違う――
「そんじゃ、改めて……っと」
鉱石を交換し、自分のポケットにあったサンプルと見比べ、相違ないことを確認する。
「そうだ――まだ名乗ってもなかったな。エズラってんだ。ま、兵隊崩れの何でも屋ってとこだ――どうだい、街へ帰るってんなら、その後飯でも奢らせちゃくれねぇか――色々教えてもらったしな」
■ノーラ > 「絶対、なんて誰にもありませんから」
にっこりと笑ってそう言ったが、取引のことを考えれば慎重にもなる。
一人であればもう少しざっくりと掘り出したかもしれないが、大分注意を払って掘り出した。
「はい、ご確認くださいね」
何しろ暗い坑道だ。
微妙な光の加減で違った、なんてことがあっては大変だと。
「あ…そういえばそうでしたね、失礼しました。
私はノーラと申します、お見知り置きくださいね。
ご飯ですか……」
うーん、と悩んで見せる。
時間が時間なので、親が心配しないか気にしているのだ。
■エズラ > 鉱石を大切に布で包み、背負っていた荷物の中へ。
汗ばんだ身体を拭き清め、服を着る。
「ノーラちゃんか、憶えておくぜ」
工房の娘――と言っていた。
それなら、採掘以外にも世話になることもあるだろう。
「なに、気にしねぇでくれ――だがよ、夜道ぐれぇは送らせてくれよな?」
街までの道中、その身を警護する程度の礼はさせてくれ、ということらしい。
彼女が了承すれば、採掘のコツなどについてもう少し問いながら、街までの道程を歩き始めるだろう――
■ノーラ > こちらも大切そうに鉱石を籠ではなく、鞄の中に入れた。
籠の中身はいつもより寂しいが、男と交換した鉱石を持ち帰れば怒られはしないだろう。
「一緒に来てくださるんですか?
ありがとうございます」
一人で帰るのは慣れているとはいえ、やはり寂しいしつまらない。
男があれこれと聞くならば、それに丁寧に答えながら街に向かって歩いていこうか。