2017/08/14 のログ
チルユキ > 「………―――」

ひく、と鼻を動かす。
五感は効きやすいのか、腹の音が鳴ったような気がした。
男の躯、も。男の手の中に在る干し肉、も。

命が無いという所では同じなのに。
食欲をそそられる、のは。
食欲がかき消される、のは。忌避する、のは。

ひとだった頃の名残かもしれない。

――ゆらりと身を起こし、無造作に歩み寄る。
止められなければすぐ傍まで距離を埋め、じ、と見上げてから。
口を開ける。頂戴、と。

ファントム > 手元は籠手で守られている為、万が一が起きても問題ない。
その担保があるから出来るのだが。

「ほら、喰え。」
開いた口に干し肉を入れる。
入れ終わると直ぐに手をひっこめた。

「水は手元にないから川か池から調達してくれ。」
ただの干し肉、味は期待できないだろう。
おまけに水気のあるモノも用意していない。

チルユキ > あぐ、と干し肉だけにかじりつく。
ぼそぼそとした味が口腔に拡がり、
不味いような―――懐かしい、ような。
ずっと薄くてずっとカサカサだったような気が、する。
ごくりと咽喉を鳴らすと、幾らか腹が満たされたような気が、した。

「ありが、とう、

―――お前、も――――
私に食いつかれること、を。警戒するんだね―……

血肉を失ったのだと、しても。
奪われることは、こわい?」

数日前には一度満たされた、腹。
理性が崩落するような飢えでは、無い。
貰い終えると、如何も男の脚元、が。気になるようで―――。
ギルドの方向を指さして、行こうとばかり歩きはじめる。未だ距離は遠い

「人を満たす、の、…… なんのために」

自分の為とも思い難い、他人のための食事。其れを指し、

ファントム > 喰い終わり、口を開くまでをじっと見下ろす鎧。
食事を取らなくなってからどれだけの年数が過ぎたか。
最早、味すらもあまり覚えていない。

「俺は不死だが、実体化している間は痛みも走る。 あまりダメージを与えれると実体化そのものが出来なくなる。
それと、戦場では用心するのは当たり前のことだ。」
足元に転がした死体を背負い直す。
肩に重みがかかる。

「人の中に交じって暮らすのならば、余ってるものを分けてやってもいいだろう。
今の俺は腕試しに依頼をこなすこと位しかすることがないからな。
お前も付いてくるか? 来るのならば報酬を受け取った後で何か食わせてやろう。」

チルユキ > 機微に疎い、のか。
のろと視線を上げる。目が合ったら其れを鏡映しのように見返す

「不死……

痛いのは嫌だ、ね。頑丈でも……… なんであれ、」

痛いのは嫌だし、刃を交えて高揚することもある。でも矢張り痛い物は、痛い、帰結。
戦場、と聞けば首を傾げる。
野盗が出ても、直ぐ傍で何かがあったとしても、目隠しの膜を張って眠る寝床だった為に。
担ぎ上げる様に、びく、と肩が揺れて一歩退く。図太いような臆病なような矛盾だらけ

「……紛れてるけど、べつにひとにやさしい生き物では無い、よ……
お前はひとの側にたつ、 ひと、だったのか、

…………ついて、く

ギルドは、入らない………」

目の毒そう。

ファントム > 「お前こそどうなんだ。
吸血鬼ならば簡単には死なんのだろう。」
荷物を背負えばその動きで身構えているようだ。
最初の印象よりも臆病なように見受けられた。

「人も人に優しい者とそうでない者がいる。
俺はこの姿になる前はそれなりに立場のある人間だったものでな。
故に無暗に危害を加える気はない。

付いてくるのは構わんが、街では暴れるなよ。
知り合いを狩る依頼は受けたくないものだからな。」
街に向けて足を進め始める。
ガシャンガシャンと重たい金属音が響く。

「俺はファントム。 
お前は名を何て言うんだ?」

チルユキ > 「治りは、早い………。
血があれば、眠れば、特に。無暗に痛いのは好きじゃない、けど…――時々荒いの、は、悪くない…」

流れ任せで生きているから一貫性が無い、 言い切れない。
後者は意味不明だっただろうが、

「それなら街の入口に、いる……。
どうして生者をはずれた、の………。
其れは其れで仕方ない……―――わたしの糧は、ひとだから」

金属音の足音をじっと見下ろしながら少し遅れて歩く
ふらりふらり。軸の無い適当な足取り

「かめんのおとこ?……チルユキ。」

ファントム > 「荒いとはなんだ。 何を言っている。」
兜の中からくぐもった声が出てくる。
何のことだろうか。

「なら、大人しく待っていろ。
理由は知らん。 魔王を殺したが、その後残党に殺されてな。
気付いたとこにはこの姿だ。
おかげで女も寄り付かん。

そうか、ならば依頼が来たときは俺が狩ってやるとしよう。」
この吸血鬼がどれほどの強さかは知らんが、戦うのならば楽しめそうだ。
兜の中から笑う声が聞こえる。

「なんだそれは。 亡霊と言う意味だ。」
二人揃って草むらを歩いていく。 急ぐでもないので足取りはゆっくりだ。

「疲れたのなら早めに言うんだぞ。 俺のペースに合わせることもあるまい。」

チルユキ > 「……―――……」

頭を緩く揺らした、
良い言いようが浮かばなかった、結果、答えが返されない、と言う程の沈黙の後

「揺さぶられるのが、(益々意味不明だろうが、)

敵討ち、に、遭ったの………。
鎧の下にひとがいるの、
…………。お前、欲情するの、」

何もかも真顔で、

「………かりたくない、から、積極的に狩るの……
何にそんな、はりが振り切ったの……」

好戦的、なのだろうか。男の根は。

「……本心を仮面の下に隠した男、じゃなかったっけ……。ほんとうのなまえは?」

虫の音がリーリーと涼やかな音色を立てる。
気遣いに緩く頤を上げる

「疲れては、無い。省エネもーど。」

ファントム > 「全くわからんな。」
それ以上追及する気もないのでこの話は触れないことにした。

「こんな身体になって
男は男だからな。
吸血鬼はそういうことはならんのか。」
真顔の顔に対し、兜の中にある二つの光の塊を向ける。

「うん? 強そうな相手にはとりあえず挑みたくなる性分でな。
この間は鬼とやりあったぞ。」
楽しそうに思い出話を始める。
多分に好戦的だったのだ。

「そんな奴が居るのか。 
元の名は忘れたな。
恐らく、この姿になった影響だろう。
思い出せんのだ。」
過去のことはどうにも断片的になってしまう。
元より、生前の事を知った者も最早いないが。

「そう。 もう少しで街につく。
換金を終えたら食わせてやろう。
入る前に何が欲しいかをちゃんと言うんだぞ。」
のんびりした足取りでそのまま街へと向かって行く。
この後はすんなりと金を手にし、欲しい物を予算が許す範囲で振る舞ったことだろう。

チルユキ > 首を傾げ、

「…身体と言うよりも…お前、が。……僧侶のように、見えた。
高潔で、寛大で、公正な……。

……剥き出しで、どろどろしてる、お前…って、チガウ気が、した

――血を貰う時に。とても酔う……気は、する、」

聞かれなければ答えない。覗こうとしても、光の奥に何があるかは、眩しくて良くは見えなかった。
光、に、よわい質だからかもしれない。

「強そ……う…?わたしが……?
お前は強そうだね…力、も…」

敗北の記憶が最近過ぎて思わず眉間に皺が寄った、
鬼と対等に戦う男、に。手傷を果たして追わせられるのか。物理系に偏る身が鎧を見上げ、更に沈黙、した。

「寝物語に聞いた気がするけど、古い記憶だ……。
お前は 亡霊の名前を冠するには、 地に足がついてる……」

欲しい物、が思いつかなかった故に。
甘いものをひとつ強請って、後は入口手前の茂みに座り、要求するようなことはもうなかった。
飢餓を埋める様、うとうと眠りながら待っていたのだとか。飢餓は埋まらず、違うところが少々満たされた、

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からファントムさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からチルユキさんが去りました。