2017/06/24 のログ
アインズ > オレンジ色の果実は皮も中身も中々に硬いようで、口のように上下に裂けた触手を使い何時までもモゴモゴと口内で潰し転がしていたが、中々粉々に砕けない。
なので、思い切って丸呑みにする事にしたか、その触手に力を込めると、ゴクリと皮ごと種ごと果実を飲み込んでしまう。
その様子は触手が果実の形に膨れ上がり、膨れ上がったそれが根元に巨大な目玉に向けて移動する様子で傍目からもわかるだろう。
それだけ触手を器用に使えるのだが、他に気になる物が興味を惹く物が無ければダラリと垂れ下げて、また右に左にと眼球を向けて何かを探す様子を見せながら空中を浮遊し続ける。

探し物
非常に単純明快。
彼がアインズが探しているのは苗床である。
健康的で十分に子を孕んで育てる事ができるヒトの女である。
春先から夏にかけて寒さにあまり強くないアインズという魔物にとっては半年に一度の繁殖期である。
それもこの個体はどうにもチャンスを逃しているようで、通常のそれよりも餓えた状態にあるのか、金色の瞳が細かに血走り、向ける眼差しも異様なものを感じるほどで……。

兎に角危険な状態である。
若しかしたら討伐するよう冒険者ギルドに張り紙があるか、見かけた者が周辺に警戒を促しているかもしれない。
だがそれは魔物にはわからない、わからないが故に警戒もせずに獲物を探し続けるのだ。

アインズ > さて、この領域を探っても動くものも熱源も見当たらない。
なので今度はまたあの村のように人里まで下りてみよう、と考えたかはわからないが、巨大な目玉に触手を生やした不恰好なモンスターは川沿いを浮遊し、人里の方向に進んでいく。
それを止める者が現れるか、それともアインズが興味を失うか迷子になるかはわからない。
ただ人里に下りれば間違いなく問題が発生するだろう。

でもそれはアインズには関係がない。
ただ苗床に耐えうるヒトが其処に居ればいい。
柑橘の香りと淡い霧を引き連れて魔物は何処かへと去っていく……。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からアインズさんが去りました。