2017/05/07 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にパッツィノさんが現れました。
■パッツィノ > リンゴの樹が美味しそうな匂いを振り撒いている。水が綺麗な川原のこと。樹から生まれたばかりのリンゴ悪魔が―――生まれるのは何度目になるか―――大きな樹の幹に重なるよう隠れて。葉っぱ一枚をいざそれらしく出現せねばならぬ際に備えて男性器の上に、本当に形式ばかりの大きさのリンゴの葉っぱを、古い絵画がそうしたように宛がって誰かがリンゴを捥ぎに来るのを待ち侘びて。
そうして、小さな声量の少年ソプラノで歌うかのように一人ざわわという葉擦れに混ざってさざめく。
「どうしたものかな。甘い匂いをさせるのは、僕が生まれてからのほうが強く香るなんて婀娜な果実だこと…!」
口の真下に拳を宛がってちょっと悔しそうに奥歯を噛んでみせたものの、都合良く人を誑かすにはよいことなのですぐにさっきの表情を引っ込めて。片足をぶらぶらさせながら、樹木に凭れて夜の微風を受けて。
■パッツィノ > そうやってどれくらいの時間を過ごしただろう。身に纏うやさしくあたたかい樹から受け取ったヴェールのような体温がゆっくりと剥がれてゆく。
肌寒さほどのものは感じないが、リンゴなので冷たい気温には慣れているが、これだけの果樹の匂いを撒いていて人をじっと待つことは寂しかった。
果樹のリンゴを掌で捥ぎ取って歯を立ててあふれ出す蜜汁を舐めて取り。
それから暫しして冷や水を果蜜で染めて顔を洗い、自然道のわきを通って時折服を一切身に着けていないことに振り返られながら、目的地を探して。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からパッツィノさんが去りました。