2016/08/31 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 小川」にサヤさんが現れました。
サヤ > 「せぇ!やぁ!は!」

小鳥と川のせせらぎが心地よく響く静かな森。
その川の近くで鋭い声を響かせ、鋼の刀を手に素振りを繰り返す。
額にはうっすらと汗が滲んでおり、その目は真剣なもので。

「やぁ!……ふぅ……」

何度か動きを確かめるように刀を振るった後、ゆっくり息を吐き出して息を整える。
ここ最近の敗北で受けた屈辱。
じっとしていれば肉体と精神に襲い掛かるその感覚を忘れようとひたすら訓練に集中していて。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 小川」にジブリールさんが現れました。
サヤ > 「もっと、強くならないと。
この国の猛者たちに勝つなんてできないな」

乱れた呼吸を整え、刀の刃を木漏れ日に光り輝かせながら誰かに言い聞かせるように呟く。
この国に来てからたたきつけられた敗者としての屈辱。
そして同時に教え込まれた雌としての快感。
それらは刀を振るっているときだけ忘れることができたため、ただ一心に訓練に励んでいて。

ジブリール > 夏にしては過ごしやすい今日この頃、久方ぶりの遠出は喜びヶ原の川岸だった。
目当てのものは川底に沈んでいる石の数々。丸みの帯びたものであればなお良いと言った具合だ。
一つ二つと採集し、目ぼしい物がなくなれば少しずつ川を上り、を繰り返す。
やがて十ほど集まった頃合い、聞こえてくるのは気合のこもった声だった。

(――声からするに女の子ね。ちょーっと悪戯してみようかしら?)

さらに進んでいけば、やがて女性の姿が見えるようになる。
凛とした、可愛らしい美人――それが彼女に対する第一印象だった。
彼女が剣を振るたびに木漏れ日が反射し、中には閃きが幾重も生まれる。
さて、どうするかと少し悩んでから、周囲を眺めて、ぽん、と小さく手を打った。
そして、悪戯っぽく笑いながら近くの草――ツタ状のそれを撫でると共に、小さな声で呟く。

「深緑よ、疾く育ちて、指運の先を絡めるがいい」

そのまま、撫でる指の先を彼女に向ける。
するする、と蛇のように伸びたそれは、ゆっくりと近づいていくだろう。
そしてそのまま、彼女が気が付かなければ、その足を食いと絡めとるだろう。
そしてそのまま、怪我を負わさぬ程度にくいくいと、川岸に引っ張っていくことになる。
悪戯の元凶たる、少女のもとへと導くかのように。

サヤ > 「はぁ……これくらいでいいかな」

何度目かわからない素振りの後、息を吐き出すように小さく言いながら空を見上げ、木々から見える空を見て時間を図る。
しかし、一方でこのあたりの魔物は少ないうえに弱いこともあったのか。
訓練あとということもあり普段より気が抜けており足に蔦が絡まるまで気が付くことはできず。

「っ!な」

足に違和感を感じてみてみれば自身の足首に絡みつく蔦に驚き。
足を引っ張られるとバランスを崩さないようにそれに従いながら刀で蔦を切ろうと振るい。

「くそ、なんでこんなところでこんな魔物が!」

油断していた自分を呪いながら刀を振るい何とか切り落とす。
だがそこでふと自分を見るような視線を感じてそちらに顔を向ければ一人の少女の姿が目に留まり。

「だれ?あなた。
もしかしてこれも貴方の仕業?」

少女を見やりながら今度は隙を見せないようにしながら刀の柄を握る手に力が入る。
この国では相手の強さが見た目で判断できないことは経験でしっていた。

ジブリール > しゅるん、と絡んだツタは、そのまま彼女を川岸にまで導いた。
近くで見ると、均整の取れた肢体は程よい女性的な肉付きを帯びているのがわかる。
これはまた何とも、可愛らしい声を上げてくれそうだ、と内心で想像しながら手慰みに励む。
少女の悪戯はツタを切るまで続き、問いかけを受ければ素直に頷くと、微笑みを浮かべた。

「えぇ、お嬢さん。私のちょっとした悪戯よ。貴女に興味があったものだから。
 ――あぁ、その物騒な刃物は収めてくれると助かるのだけど」

くすくす、と笑う少女の表情は、至極楽しそうなものだった。
切られてしまったツタを手の一振りで元に戻すと、彼女の足から解いていく。
最後に一つ、悪戯に付き合ってくれた礼を述べながら撫でると、ツタは元の長さに戻っていった。
そんな、どこか摩訶不思議な光景を見せながら。

「……それとも、一戦交えてみる?
 私としては一向にかまわないわよ?」

頭上に手を伸ばし、わずかにずれた帽子を被り直しながら、問い返すことにした。

サヤ > 「…………その申し出、悪いけど受けられない」

武器を納めるようにと言う相手の言葉に冷たく返す。
いくら魔物が弱いとはいえ街から離れたこの場所まで普通の女の子が来るほどこの国の治安はよくないことは知っている。
おまけにつかれていたとはいえ、自分が気付く間もなく蔦を絡めてきたその能力。
間違いなく普通の人間ではないだろうことは容易に判断できた。

「どうせ、言うことを聞かなければ力にものを言わせるつもりなのだろう?」

こちらの殺気を気にした様子を見せず、むしろ笑顔すら浮かべる相手に軽く恐怖すら感じて。
刃先を地面に向けて下段の構えを取れば周囲に張り詰めた空気を漂わせ。

「…………せぁ!」

気合一声、一気に間合いを詰めれば下から斜めに切り払うように刀を振り上げて。

ジブリール > 「それは残念。私としては穏便にお話をしたかったところだけれど――」

そうそう、こういう女の子はただ仲良くなるより、反抗的なのを可愛がるのが良い。
などと内心の嗜虐欲求を滲ませながら、久方ぶりの"狩り"に向けて考えを巡らせる。
彼女の予想通り、少女は到底普通の娘ではない――所謂魔女というものである。
彼女の言葉を聞くと、少女は立てた人差し指を唇に当て、少しだけ考え込んでから。

「あら、それじゃ先に忠告しておいてあげる。
 魔女に手向かうのだから、敗北は蜜と知りなさい?」

下段からの気合一閃、一瞬刀の先端が見えなくなる程の見事な斬撃が迫ってくる。
弛まぬ鍛錬故に身につけられた速度なのだろう。
その見事さに感服を示すと同時、少女の体に銀閃が吸い込まれていく。
尚も悠然とした笑みを絶やさない少女は、そっと懐から宝石を取り出すと、体と刀の間に噛ませる。
ぎぃん、と硬質な音が響くと共に宝石が砕け散り、代わりに刀を中空へと縫いとめた。

「――ん、良い一撃ね。しゃんと筋が通ってるわ。
 さすがに真っ二つは嫌だから食らってあげられないけども……
 さて、負けを認める?それとももう少し頑張ってみる?
 もう一度チャンスをあげるわ。その間に私を切れれば貴女の勝ち。
 逃げるなら逃げるで、追わないであげる。背を向けるのは剣士の恥だものね。
 ただし勝負を挑んで次に負けたら、貴女を少しの間もらい受けるわ。宜しくて?」

言うと同時に、刀に指をあててそっと押し返す。
そしてそのまま、どうぞ?と声をかけると共に、彼女の選択を見守ることにする。

サヤ > 「く……」

相手の身体を面得たと思った瞬間に剣先が恥から、思わずバランスを崩すもすぐに立て直し相手を鋭くにらむ。
先の一撃、普通の人間なら確実に真っ二つになっていたはずだ。
戦いを前にして、全力を出さないなど恥知らずなことはしていない。
それなのにたやすく一撃を封じられ、おまけに相手はいまだ余裕を持っている。
この状況に額に大粒の汗を浮かべ、本能的な恐怖を感じてしまう。

「ならば………次で必ず、切る!」

相手に底知れぬ恐怖を感じながらも、強くありたいと願うゆえに、逃げるという選択肢を選ぶことはできなかった。
例えそれが絶望的な相手でも、逃げを選ぶのは故郷を出たときに捨てたのだ。
奥歯をぎっと噛みしめ、足を広げてしっかりと土を踏みしめる。

「はぁ!」

再び下段からの切り上げ。
しかし今度は一の太刀をあえて相手にぎりぎり当たらない位置で外し、そこから踏み込み。
一気に上段から二の太刀を相手の脳天に向けて振り下ろす。