2016/01/28 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にルーキさんが現れました。
ルーキ > 誰の人目につくでもない場で、今し方丁寧に剣を鞘に収めた女が一人。
傍らにはごろつきとも呼べる、汚らしい男が横たわっている。

「―――、一々、道を歩くだけでも一苦労だな」

吐き捨てるように小さく呟けばさて、辺りを見渡してみた。
特に何が見えるわけでもなし――聞こえるのは虫やら動物の声ばかり。

「目印でもつけておくべきだったか」

しまったな、と言いたげに頭を掻く。ショートヘアの毛先が微かに震えた。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にリーゼロッテさんが現れました。
リーゼロッテ > 何時もなら王都から九頭竜山脈へ戻るときは、使役獣の大きな隼にのって海を跨ぎ、直線距離で帰ることが多い。
しかし、今日は陸路を沿うように飛んでいた。
理由はあまりにも簡単で、海風が寒い…それだけ。
背中を貸してくれる隼は、表情こそ作れないが呆れていたのはよく分かる。
むすっとしながら隼の背に乗り、空を飛んで行くと…不意に隼の挙動が忙しくなっていた。

「どうしたの?」

何か嫌な感じがすると、思念の声を返す隼。
なんだろうかと思いつつ、ちょっと降りようと提案し、暗闇の空から大きな影が降下していく。
そうして…戦い終えた彼女からそれほど離れていないところへ、地面を叩く突風とともに巨大な隼が降り立つだろう。

「それで、嫌な感じって何なの?」

きょとんと小首を傾げつつ、すとんと地面に降り立つとあたりを見渡す。
深夜に薄茶色の髪を揺らし、制服らしい整いに身を包んだ少女がやってくるのは些か奇妙かもしれない。
当の本人は、そんなことを気にせず子供っぽい顔で辺りを確かめ、視野に入れば彼女に気付くだろう。

ルーキ > 事切れた男を足元に、さて歩き出そうと思った矢先。
近くに降り立った隼の姿に瞬いた。驚いたらしい。

相手が此方に気づくようならば其方に足を向けて――勿論、剣は収めたままで。

「………どうしたんだ。こんなところに降り立って。…ここらには何もないぞ?」

よく目を凝らすでもなく、己を見たのであれば転がる死体にも気づくかもしれない。
しかしそんなことは二の次と、子どもっぽさを多分に残す少女に話しかけている……。

リーゼロッテ > なんとも言えないけど嫌な感じがするとだけ、思念で答える隼は大きい割にちょこんと止まったまま大人しくしている。
そんな隼をみやりながら、少女はガクッと肩を落とす。

「…ぁ、こんばんわ。えっと…ちょっと、この子が嫌な感じがするからって」

自分よりも年上に見える女性に気づけば、微笑みながらご挨拶すると、ぽふっと隼の体に触れながら答える。
それから視野の片隅に写った死体に気付くと…びくっとして青ざめる。

「ぇ、ぁ、あの……それ…」

自分とて襲われたことはあっても、命を奪ったのは戦争の時にほんの少しだけ。
未だに死体というものに慣れぬ少女は、殺しを終えた彼女がすこしばかり恐ろしく見えてしまう。
瞳が不安に揺れて、ひしっと、隼に触れた手が柔らかな羽を掴んでいた。
掴まれている方は、猛禽類らしい静まり返った瞳で彼女をじっと見つめるだけ。

ルーキ > 大人しく此方を見つめる隼を一瞥し、少女へと視線を戻した。

「……嫌な感じ、か。もしかしてあれのことかな」

言うと死体を示し―――先に勘付かれてしまったようで。
怯えた表情を浮かべる彼女に、少し困ったような顔をする。

「………道を歩いていると襲われてな。全く困ったものだ……」
「わたしはルーキ。まぁ……一応、冒険者というか。そんな身だな」

リーゼロッテ > 「多分…そうかなと」

小さく何度か頷くも、隼は少女に肯定しなかった。
怯える少女に、困り顔を向けられると何故そうなるのかが分からず、困惑したままに彼女を見つめている。

「…そう、ですか」

襲われた、とはいえ殺す必要は有ったのだろうか?
いや、殺さなければならないほど逼迫していたのかもしれないと、思い直して怖いという気持ちを押し込めるようにしてしまっていく。
名を告げる声が聞こえれば、少しだけ緊張の溶けた表情となっていき、どうにか先ほどのように微笑むぐらいにはなった。

「ルーキさん…私はリーゼロッテです、この子はザムエール、私はザムくんって呼んでます」

簡単な自己紹介をするも、紹介された隼はなぜかそっぽを向いた。
ちゃんと彼女の方を見るようにどやし、ぺちぺちと体を叩くも反応はない。
小さくため息をこぼすと、彼女の方へと振り返り。

「ごめんなさい、無愛想な子で…あの、ルーキさんはこれから何処かにいくところでしたか?」

とりあえず、血の気の多い話はやめようと、彼女の行き先を問う。
この時刻に街道を歩いていたのだから、急ぎのようでもあるのだろうかなんて思うところで、先ほどのように小首をかしげて問い掛けた。

ルーキ > 「……ここらをよくうろついている物盗りだ。わたしが初めてじゃなかったらしいな」

問われれば、つい、な。と答えるだろう。
命を奪うことに躊躇いは無い。自分に害を及ぼすならば殺すことも辞さないという心地。

「リーゼロッテ、と。ザムエールか。……まぁ、ここで逢ったのも何かの縁だな」

そっぽを向く隼に苦笑して、いいんだ、と声をかける。
問われれば一度瞬き―――

「王都に戻る途中でな。……まぁ、少し油断していたかもしれない」