2023/07/21 のログ
ヴァリス > 「面倒か、そりゃ結構モテると見た。いやはや、そんな娘と巡回とはいえデート出来るわけだから、約得ってもんよ」

その一人になりかけていた自身もいるわけだから、とても納得がいく。
やめておくとすんなりいっておくのは、やはり大事だったな等と思いながらも草地を進み続ける。

「冗談だよ。だからアイツ等も流石に酒は飲まないわけだが……男には酒か博打か女ぐらいしか、楽しむモンがねぇっていうのも一定数いるのさ。まぁ動くのは眠気覚ましにはいいな、ついでになにかに集中できると尚いいんだがね」

彼女の視線の動きに合わせるように、彼女が見ていない方へ自然と視線を向ける。
雨避けの木々の下に陣取ったとはいえ、周辺は開けている。
目につく障害物の裏には気配は見当たらず、やはり地形の起伏のほうが気になった。
こちらを見たなら、その視線が少し遠くを見るような、下を見るような妙な向け方になっているのが見えるかもしれない。

「全部持ってかれて大損よりは、多少費用が嵩んでも安牌を取るってのは悪くないさ。もしかしたら積み荷は結構重要なモンで、依頼主にとっちゃ一世一代の大勝負……なんてこともあるかもしれないしな?」

ここさえ成功すれば、後のリターンでマイナスは取り戻せる。
そういう計算であれば、頭数合わせでも手勢を率いるのは悪くなかろう。
そんな考察を重ねながら告げられた可能性には、ご尤もと苦笑いをする他無い。
その時に頼りになるのは、この姫君と己しかいないのだから。

「勇ましいねぇ。だとしてもだ、俺が馬鹿な盗賊だったらお嬢さんをみたら襲う。お嬢さんは自分の価値を知っておいたほうがいいね」

少し前へと踏み出すと振り返り、後ろ歩きになりながら、すっとその顔を指差す。
人差し指がすすすっと下へスライドしていけば、喉元から胸元、腹部に腰へと指し示す部位がなぞるように宙でスライドする。

「ぶっちゃけ、歴戦の女冒険者というよりは、深窓の令嬢みたいに白くて綺麗だ、その上可愛い。だからナンパもされるのさ。こんな上玉を逃すほど賊も馬鹿じゃないし、こっぴどくやられるほど元取るために躍起になって厄介になる」

さらりと告げる言葉は偽りではなく、本気なのだろう。
酔狂ならここでメッキが剥がれるところだが、揺らぎのない彼女の真実だと分かる。
けれど、真実はそうであろうと、相手の無知と愚かさの前では関係ない。
考えなしの恐ろしさを教授するような物言いになったと気付き、はっとした表情をした後、そんなもんさと冗談めかして誤魔化す。

「いいねぇ、ご期待に添えるよう頑張るよ。さて、そろそろお嬢さんって呼ぶの何だし、名前ぐらい教えてくれよ。俺はヴァリス、運だけで生き残ったラッキーガイだ」

胸に手を添えて、軽く会釈を添えながら自己紹介の後、再び隣へと戻っていく。
彼女の進む先、少し離れたポイントへと差し掛かろうとすれば脳内の地図を広げて周囲のオブジェクトを確かめる。
この先、丁度緩やかな下り坂があり、その先には洞穴があるはずだと。
野営地からは見えない穴であり、不意打ちにこちらを見張るならその坂にでも寝そべって、草を被って伏せていればいい。
野営の火が万が一にも落ちたなら、奇襲チャンス到来。
走るも馬で突撃するにもすぐの距離、不意打ちには絶好の隠れ場所といえようか。
もしそうだとしたら……ターゲットが変わる。
彼女だけでも奪えれば美味しいわけだからと思うと、薄ら笑みは変わらないが口数は減る。
腰元に手を添えて歩いているが、いつでも抜刀できる位置にした臨戦態勢である。

テレサ > 役得とは言うが巡回をデートと言うのはどうかと首を傾げ。
真面目に見ておこうと視線は周囲を動き。

「面白くない冗談ですよ。酒場だと止めないけど、今はそれのどれも困るんです。
何か……何もないですよ」

少なくとも野盗でも来なければ何も起きることはなく。
念入りに確認をして相手の方を見れば視線の先が気になり近寄り。

「そんな事もあるかもしれないですね。
襲う側には判らないですけど」

相手の言葉に頷くが、今回の商隊の荷物は些細なもの。
もし襲っても元は取れないと小さく笑ってみせ。
万が一の時には他はあてになるのかが心配になり。

「そういう仕事、やってますから。
私を襲っても損しかないですよ。
見た目は母に似て綺麗らしいですけど」

相手が少し前にと出ては振り返り、顔を指差されては静かに返し。
その指先が下がり、喉元から胸元、腹部、腰と進んでいけば呆れた目を向け。

「見た目は当てにならないですよ。令嬢なんて生まれでもないですから。
それを聞くとナンパをする人も賊も同じに思えますね」

相手の言葉にはお世辞を言っているようにしか思えず。
しかし実感のあるような言葉には経験が?とあるように見返して。

「添えないときは置いていくだけですから。
……テレサです、今は当てにします、ヴァリス」

会釈をして隣に戻る相手に静かに名前を告げては先を見て。
もし何かいるならこの先のはず。
用心をして近づいてくと緩やかな下り坂に到着し。
そこで剣を抜けば怪しい膨らみや草のある場所を突き刺しては確認していき。
手ごたえも何も無い事に誰も潜んでいないと見れば剣をしまい息を吐き。

戻ります?と相手を見ては問いかけて。

ヴァリス > 「真面目だねぇ、真面目なのはいい事だが、少し肩の力も抜いておいたほうがいい。張り詰めすぎた弦は千切れるもんだろ?」

思ったより堅物なタイプかと把握しつつ、苦笑に歪む。
だとすると、あの有象無象に絡まれ続けるのは相当疲れただろうなんて心の内で労いつつも、心配を口走る。
近寄る姿に気付けば、嗚呼と言わんばかりに少し口を開いて、先の草地を指差す。

「草地とはいえ起伏があるだろ? 意外とこういう高低差って馬鹿にならんものでね。ぴったり伏せると意外と見えなかったり、予め地面を少しほっとけば、潜みやすくなったりする。強襲、奇襲の手口にゃもってこいさ」

だから地面も見ていたと、ニヤッと悪い笑みで答えていく。
そちらの方面をみても、幸い土を掘り返した後や歪な膨らみがないので伏兵がいないのは幸いだが。
彼女の警戒は決して徒労だけになるとはいえない。
暗に肯定しつつも、少しは肩をほぐそうと冗談へと傾いていく。

「喧嘩ならそうだが、色んな国じゃ色変に騙され暗殺される助平な王族貴族だっているんだ。その見た目は人を惑わし、引き寄せる香にも、毒にもなるってね。男なんてそんなもんさ、こう見えて傭兵業長くてね、そんな話、いっぱい見聞きして犯された女の子を回収したこともあるさ」

あれは酷いもんだと乾いた笑い声を溢しつつ、遠くを見るように視線をそらす。
経歴やら汚い話を語るのは苦手ではないが、お前もやった口なのかと思われそうで不安にもなる。
品行方正とまでは気取らないが、品性下劣とまでは汚れてもいないグレーなラインなのは自覚している。

「手厳しいねぇ、じゃあ代わりに頼りになった時は少しぐらい良い思いさせてくれよ? テレサか、あぁ、よろしくな?」

緩やかな下り坂、伏兵がいないか確かめる合間、柄に手を添えながら周囲を警戒。
このタイミングで襲うのは相手の方が不利だが、そういうのが分からん輩が相手かもしれないという念押しの動き。
この先の洞穴までは流石に警戒する必要は……なくはないが、二人で行くにはリスキーかと判断。
戻ろうかと顎をしゃくり、野営地へと踵を返すだろう。

テレサ > 「こういう性分です。街に着いたらゆっくりします」

苦笑をして心配を口にする相手に、感謝するように頭を下げる。
そして何を見ていたのかと地距離、指差された草地に目を向け。

「なるほど……待ち伏せをするにはちょうどいいわけですか。
勉強になります」

その理由を聞けばこれから気を付ける場所が一つ増えたと真面目に頷き。
待ち伏せは考えていても穴を掘ってまでとは考えが及んでいなくて。
そんなこともあり相手の言葉に感心したように頷き。

「どこの王族や貴族もそういうのは変わらないわけですね。
貴方はそんな見た目に惑わされるようには見えないですが……。
見聞きだけでなく経験もありそうですね?」

乾いた笑いと告げれた言葉には少しだけそんな光景を思い浮かべて頬を赤く染め。
しかし直ぐに小さく頭を振ってその考えを追い払えば仕事に意識を戻して。

「その時はお酒の一杯ぐらいはごちそうしてもいいですよ」

良い思いと聞くと一杯ならと軽い口調で返し。
伏兵の確認を終え、姿が無ければいないと判断するには十分と考え。
顎でしゃくられ黍を返し野営地へと戻ることとなり。

戻った後は朝までの時間を不真面目な冒険者たちの相手をすることなって…

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からテレサさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からヴァリスさんが去りました。