2022/11/07 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にダークネスさんが現れました。
■ダークネス > ふわりと広がるは薔薇の香気。
ゆらりと揺れるのは夜気満ちる空気。
今夜も夜の使徒が一人、メグメール街道に姿を見せた。
「………絶賛迷子中なんだな、これがぁ!」
開口してまず一言。
絶賛迷子である。
自然地区の森なら兎も角、街道で迷子。
普段歩きなれた道のはずが、街道の一区画だろうか、薄い真っ白な『霧』に包まれてからというものの現在地すら判らない始末である。
吸血鬼の感覚がまったく全て封じられ、魔力を蝙蝠に変えて飛ばすことも叶わず、出来るのは霧が晴れた場所まで歩く事か、霧が晴れるまでその場に留まる事。
幸運なことに吸血鬼の身体は直ぐに餓死する心配はないが、吸血鬼の力さえ抑える霧により不死性まで封じられていたら、アウトだ。
こんな時こそ、笑顔。
にはなれる筈も無い、眉間に皺を寄せながら口元は少し苦いものを噛み締めた薄い笑みを浮かべて、歩く、ただひたすらに……。
今街道を訪れた者は同様に、不死者であれば力が抑え込まれ、そうでなくても、方向感覚を失うほど何かしらの力の洗礼を受けるかもしれない。
ただ濃霧ではないので、視界がまったくゼロではない。
ただ足元が薄っすらと霧に包まれているだけ、なのに霧は街道を進むものを惑わせる……吸血鬼ですら、だ。
■ダークネス > 歩めど歩めど聖者に或いは生ある者に縋る亡者の如く、膝の高さ辺りまで広がる薄い霧が重たく絡み付いてくる、気がする。
夜空を見上げればいつもの星々、位置も輝きも変わらぬというのに、何故か方向感覚だけが見事に狂う。
馬車や旅人の歩みにより踏み固められた街道だから、道を外れるという事はないが、王都に向かっている気も、他の村や町に向かっている気すらしない、あえて言えば霧に魔力的なものを微量に感じるが、一体なんだコレは……。
「……はしゃいだところで、解決する問題でもないんだよな、これ………。」
人差し指で眉間の皺をぐりぐりと押して解し、どうしたものかと悩むのだが、カンテラの一つも吸血鬼だから、夜目なんてバッチリですが?と慢心した所為で持ち合わせておらず、足元の霧を焼き払えるかすら試せないのだった。
吸血鬼特有の眼も効かないとなると霧の正体を見抜くことはできない。
夜を見通す能力、これは能力と言うよりも性質なのか減退もないのが幸い。
見えることには普段と変わらず星の明かり程度でもはっきり見えるし、熱源があればわかるし、生命力を感じれば捉える事が出来るのは間違いないが、それで解決する問題でも無さそうだ。
しかし、本当にどうしようか?
いっそうの事……全部吸うか。
もしくはわざと道を外してみるか。
……さて。
■ダークネス > 「はい、はい降参!無理無理無理……。」
宣言通り降参、お手上げ。
けども……宣言したところで誰かがわかった!消すね!何ていう都合のいい事象が発生する筈も無く、現実的に霧も消えず。
――…吸血鬼は歩く事しかできず。
霧に混じる薔薇の香気。
軽快には遠い重たい足取りで霧の中を進めば、たどり着くのはどこへやら……ただ無事どこかにたどり着けたのは間違いないのだった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からダークネスさんが去りました。