2022/11/06 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にステイラさんが現れました。
ステイラ >  
冒険者が普段は歩くこの街道をただ一人、小さな子供が歩いている。
それも、その頭と尻にはくるりとしたモフモフの大きな耳と尻尾が見える。

「ん~♪」

人通りがそれほど多くない時間や、場所なのもあるだろうが…
一見してミレーの子供とわかる姿が当然のように歩いているのはよく目立つ。

愛らし衣装を纏う小柄な”彼”は、鼻歌を歌いながら道を歩く。
警戒もなく、さりとてお供のような人影も周りには無い。
誰が見ても無用心で、それでいて相応に危険な事をしているのは明白だ。

けれども、彼がそうやってここを歩いているのにも理由がある。
今のこの場所では人目が少ないというのが一つ。
そしてもう一つが彼が精霊の加護によって守られているのがもう一つ。
何より、これから隠れ里へと戻るために森へと進む最中だからだ。

もう暫く先に進めば、怪しげな人影や魔物に襲われる事も無い。
そうした幼い経験則と――油断による選択だった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にフォイアルディアさんが現れました。
フォイアルディア > そんな風に、子供が街道を無防備に歩いている時、近くのやぶからがさがさと音が響き渡れば、
目の前にいる"彼"を驚かせたかもしれない。

「ぶ、はぁ……! あー……し、死ぬかと思ったぁ……。」

騒がしい音と共に黒い影が姿を表す。
それは、全身にスライムと思わしき粘液を帯びながら――恐らく、命からがら逃げ出してきただろう魔物の特徴を持つ少女。

此処に来る前、一応冒険者としての任務を受けたは良いが、炎の耐性を持つスライムだったというのもあり、
物理的に倒したはよいが、思いっきりその粘液を全身に浴びてしまい……
粘液塗れのまま、残りのスライムから逃げてきたというのが事の顛末。

……ここでようやく、街道を歩いている存在に気付いて。

「……おー? おじょう、ちゃ……うん? どっちだ……?
 ……とにかく、一人じゃ危ないぞー?……ここ、こんな風に魔物出たりするし。」

にへら。笑いながら声を掛けてみた。
気化するスライムが放つ濃厚な魔力に当てられ、僅かな熱気を溢れさせる魔族の特徴を持つ少女。
それに対し、恐怖を抱くか。心配するか。はたまた別の反応をするか……。

ステイラ > 「にゃわっ!?」

猫が飛び退くかのように、悲鳴と共にちょっと跳ねて後ろに下がる。
耳と尻尾を逆立てて、視線を音の響いた方へと振り返る。

そうして振り返った視線の先には粘液まみれになった少女の姿。
恐らくは頭一つほど、それでも彼にとっては年上に見えるが。

「あーえと……こ、こんにちはー?」

ともあれ声を掛けられればハッとして、咄嗟に耳と尻尾を魔術で隠す。
もう手遅れかもしれないが、流石にそのままではいけないという認識ではあったらしい。

苦笑を浮かべながらぎこちなく返事を返す。
そうして言葉を返してから、ようやくまじまじと見つめて…少しだけ頬が赤く染まった。

フォイアルディア > 実は、少女というが実年齢はそこそこ年上。
童顔なのと明るい声から、その雰囲気は察せさせないと思うが。

一瞬、驚いた相手が魔術を利用するより前に、そのふわふわとした耳と尻尾は見えてしまった。
幸いなことに、今ここにいる少女は自分がハーフだからか、異種族……ミレー族に対しての嫌悪感などはない。
けど、隠したいなら、特に口出しする必要はない。

「おー、こんにちはー。……やー。驚かせてごめんねー。
 我、ちょっとスライム退治に出てたんだけど……炎、効かなくてさー。
 ……んー? どうかしたー?」

ゆるりとした間延びした口調で話しかけ、自分の惨状を問われてないのに説明したところで、顔を赤く染める相手を見る。
ローブに貼り付き、染み付いたスライムからは過度な魔力が分泌され……近くにいるだけで少しだけ毒かもしれない状況。
そしてそのローブの前留辺りからは引き締まったお腹とか、一枚の護符が貼られた腰回りとかがちらりと見えたり。

ステイラ >  
「あ、うん…冒険者さんかにゃ?
ちょっとびっくりしたけど、ボクはだいじょうぶ…」

若干、驚きと緊張でしどろもどろになりながらであったが、
子供はそうやって平気だとわたわた手を振りながら答えていた。
けれども、赤くなった様子を指摘されれば…

「にゃ、にゃんでもない!
ちょっとその、いっぱいぬれちゃってるから…」

慌ててそう事情を語る。
隠したりはしないあたりは子供らしく素直なようだ。
そうしたところからも、少女に反して年相応なのはすぐに分かるか。

とはいえ、年のわりに”そうした意識”は育ってしまっているらしい。
チラチラと、つい彷徨わせてしまう視線は腹部や腰回りをしっかりと見ていた。

フォイアルディア > 「んー。我はルディだよ。……そうそう。冒険者。……驚かしてごめんねー?」

緊張した素振り。当然。だって、目の前にいきなり見知らぬ人がごろごろと転がってきたのだから。
けど、顔を赤くする理由はあんまり分からない。
どちらかと言えば貧相と言っても過言じゃない肢体。魔族とのハーフなのも含め、女性的に見られる事は滅多に無いというのに。

「にゃん。」 独特な言葉遣いに思わず反応しつつ。

「こほん……あー。そーね。スライムでぐしゃぐしゃ。
 ……んー。じゃあ、さ。君……魔術とか使えたりする?
 ちょっと気になるなら、あっちあたりで……これ剥がすの手伝ってもらえたらって思うんだけどさー……?」

自分に向けられる視線を感じたら、少し蠱惑的な誘いを。
そっちに目が行くということは、こんな可愛らしい外見だけど少年という事だろうか……。
此処だけ見ればただの少女だけど、本来は違う。護符によって隠されている本当の性別。
それを目の前の相手が知ったらどうなるかなんて……ちょっとした好奇心と共に、本来目指している方向とは真逆。人気のない街道の外を指差し。

ステイラ >  
「ボクはステイラ…えーと……と、とおりすがり!」

非常に苦しい言い訳である。
ただの子供がこんな場所を通りすがるわけがないのだ。

「うにゃ…っ」

そんな隙だらけなものだから、返された言葉遣いに息の詰まるような反応だ。
バレてもどうという事はないのだが、隠している以上、やはり気にしてはいるらしい。

「そっかぁ、すらいむ…たたきつぶしたりしちゃったのかにゃ。
……へにゃ?一応、つ、つかえるけど……?」

けれども、続く言葉に明確にピクリと身体を跳ねさせる。
それは意識をしてしまっている以上、致し方のない反応の一つ。
蟲毒的な誘いに、少しだけ生唾を飲み込んで…気が付けば、小さく頷いていた。

フォイアルディア > 「ステイラか。ん、よろしくね。
 ……いやぁ、これが王都とかならともかく街道を通りすがりはちょっとこう……いや、いいかな。」

本当に、とっても、非常に、苦しい言い訳。
けど、別に其処まで気にすることじゃないから、敢えて追求はしない……。
一応、何かを隠そうとしているのは分かる。自分の耳や尻尾。独特な口調による種族バレ。
こっちは気にしないのに、隠そうと必死なのは見てて少し面白い。言葉にはしないけど。

「そうそう。普段なら蒸発させるんだけどさー……今日は出来なくて。こう、殴ってもいで、コアを潰して……って。あ、それは嬉しいかも。風属性とか水属性の魔法とか魔術が使えるならさー。……ちょーっと我の綺麗になる手伝い、してくれると嬉しいよ。」

傍から見れば、汚れに困った冒険者が洗浄を手伝ってもらおうとする日常的な光景。
けど、目の前の子は自分を意識して"ふたりきり"になることを了承してしまった。
このこびりつくスライムにどんな効果があるかも知らずに――。

「じゃ、行こうかー。」

にへ。口元を緩め、粘液を少しだけ拭いた手を差し出し……
その手を取ってもらえたなら、言葉の通り――ふたつの影は人気のない所へ向かっていくはずで……。

ステイラ >  
「にゃ、にゃはははは…
うん、よろしくねルディ…ちゃん?」

笑いながら誤魔化しつつ、一応は年上の様だからさんの方がいいのか…
なんて考えて少し呼び方を迷いながらもそう返す。
その最中でも、視線は相変わらずチラチラしている訳なのだが。

「にゃわぁ…それはたいへんだったねぇ。
…えっとうん、そーいうのはぜんぜん、とくいだよ!」

なので、そういうごくふつうのお手伝いのお願いにも、
ほんの少しだけドキドキしてしまいながら承諾する。

こびりついたスライムのことも、相手の性別のことも…
何も今は知らずに気が付かない彼は、誘われるままにその手を取る。

「にゃにゃぁっ!?」

小さくも暖かな子供の手を引かれて――そうしてそのまま、人気のない場所へと消えて行く。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からフォイアルディアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からステイラさんが去りました。