2022/10/30 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にダークネスさんが現れました。
■ダークネス > ――…現在地は王都マグ・メールの先、ゾス村を経由しタナール砦や港湾都市に向かう道と、神聖都市ヤルダバオートに向かう調度分かれ道付近。
行き交う人々は各々様々な理由を抱えて王都より各地に向かい、逆に王都へと足を運ぶ人々が交わる街道でも一際賑やかになる分かれ道であり、本日はその分かれ道まで案内して欲しいという依頼で其処まで依頼人を案内し、特に危険な事も無かったので無事仕事を終えて王都に帰還する途中である。
常日頃からこんな簡単な仕事ばかりであると助かると思いながらも、多少の危険があったほうがある程度の手当てを依頼人に請求できるので、何とも難儀な仕事についているなと、自分の行動に苦笑いをしながら、王都への道を行きがそうだったからと警戒も無く歩いている、ふわりと薔薇の香りを撒き散らしつつ。
「……距離が短いと楽っていえば楽ですけども、実入りが少ないのが難点……では長距離で拘束日数が長い仕事は?と問われると、それはそれで依頼人次第で天国にも地獄にも……。」
薔薇の香気を仄かに香らせながら、本日の仕事の反省点をそんな苦笑いの笑みを浮かべたままの表情で独り言を言いながら振りかえる、いうほど反省点はないので、仕事選びを今後いかようにするか、生活費や貯蓄は大丈夫か?と諸々を考えながらの歩きであり、前を見ているようで見ていない。
魔物にでもぶつからない限り、大怪我も無い吸血鬼の身であるから、と慢心してもいるので、馬車や行き交う人にぶつかる可能性も有るが、その辺の考慮はゼロであった。
――…吸血鬼だから日差しは?と自分の正体をしった依頼人は誰しも聞いてくるのだが、大丈夫、吸血鬼としての生命力がガリッガリに削れるだけで、死にはしないし、苦しくも無い、言わば呼吸できる水の中にいる感じに近い。
鈍るけど、問題なし、という感じ。
それを跳ね除けるだけの魔力をまとう事も可能であるが、安全だと思われる帰路でそんな魔力を使う理由も無い、疲れるだけ無駄だと思って、日差しに対して何の対策もなし。
■ダークネス > ……日傘をさすという手段もあるではないか。
日傘ならいざと言うときに身を守る武器にもなり得る。
突然の雨にも対応、も考え続くが視線をチラと空へと向けると、東方でいう狐の神様が嫁入りでもしない限り、その心配もないが、日傘くらいさしておくかと一度歩みをヒタりと止める。
「………自分の魔力で日傘作っても微妙かも?」
やると決めたときに限って、ふと疑問が浮かぶが良し。
左手首に右手の親指の爪先をあてがうと、横に親指を滑らせてピっと皮膚を切り裂く――けど、結果傷口から噴出すのは赤い鮮血ではない。
赤い薔薇の花びら
それが傷口からハラハラと噴出し、深紅の花弁の流出が止まると、傷口を覆うように結晶体が生まれ、それもパリパリと砕けると、傷口は一瞬にして消える。
薔薇の花弁だったそれが地面に落ちることなく、地面に触れる前に赤い霧へと変わり、直ぐに左手に収束してパっと霧が晴れたときには真黒な傘がひとつ手に。
それをよいしょと小さな声で気合入れながら広げれば、一瞬にして立派な日傘の完成である、当然鉄錆びの香りなぞしない、するのはまたふわりと高貴なる薔薇の香りのみ。
つくり上げたばかりの日傘を左右に軽く揺すってから、肩にかけるようにして、日差しが程よくさえぎられる事を確認する。
そして傘のふちは当然ふりふりのレース仕様である。
■ダークネス > さて帰ろう、王都へ帰ろう。
足取りはゆるやかに、吸血鬼であるがあくまで優雅に。
今日も結局仕事の中で自分を吸血鬼にした輩の情報は無かった。
だが、慌てる事は無い。
不死者には腐敗はしないが時間だけなら腐るほどある。
良い子にしてれば吸血鬼殺しも来ないだろうとも思う。
次なる仕事はどうするか、先程考えたように面倒であるが実入りの良い長期の仕事に手を出すか、或いは危険地帯に足を踏み入れるか、そろそろ身の回りの世話をさせる従者も欲しいし、と考えながら歩き続ければ、いつの間にか鼻歌を唄っていて。
薔薇の香りと鼻歌と青年は一人歩き続ける。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からダークネスさんが去りました。