2022/10/09 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) まれびとの道」にユーダリルさんが現れました。
■ユーダリル > 天気は曇り、日が昇って間もない午前。
人々から「まれびとの道」と呼ばれる街道沿いに。
一人の青年が道沿いの脇―――……蔦が絡む煉瓦塀の上に足を揺らし、腰掛けている。
頭上を漂う雲は鈍色。流れる雲の風足も速い。
もうじき、雨が降るのだろう。
「この道をまっすぐ歩いて行けば、街に着くのだって。合っているのかしら……?」
青年は頭上の流れる雲を眺めながら、そう呟きを零す。
服に編んだキンレンカの花が吹き込んだ湿った空気に揺れる。
■ユーダリル > 遠くから、雷の呻く声がした。
青年は煉瓦塀に腰掛けたまま、往来する人が居ないことに困り……。
このまま、山奥に戻るか、どうしようかと。
宥めるように、首元に編んだ橙の花に頬をすり寄せていく。
ふと、雨が一滴。青年の髪を掠める。
雨が降り始めた。
同時に街道から、花の香り。
大きな荷馬車が入って来る。
荷馬車に揺られ、舞い落ちていく白い花弁。
青年は言葉を紡がず、その様子を眺めて。
どこに行くの、と脳裏で尋ねた。
『街に行くよ』
……と。花々はくすくすと笑って答える。
■ユーダリル > ぽん、と。
青年は煉瓦塀から跳躍すると。
3m先の花が積まれた荷馬車の屋根に飛び移る。
不思議と荷馬車に人が飛び乗った衝撃は無く。
荷馬車を引く馬も、御者の男も表情ひとつ変えやしない。
青年は飛び乗ったと同時に、花が積まれた荷台へと入り込み……。
「内緒」
にっこりと頬を緩ませて、花々と共に荷馬車に揺られていく。
雨が本降りとなってきた。
雫が街道の地面に水溜まりを作っていく。
荷馬車の中、青年は波紋を描く不揃いな鏡を目に映し。
自身の姿が「人」に近い容姿であることに、ほっと胸を撫で下ろした。
■ユーダリル > 「街には、たくさん人が居る。
お喋りしてくれる相手が見つかるといいな……」
青年は雨粒の音に耳を傾けながら。
そう言葉を洩らし……。
静かに瞼を落とした。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) まれびとの道」からユーダリルさんが去りました。