2022/09/18 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にクチナシさんが現れました。
クチナシ > ―――記録的な大雨。
ざぁざぁ。降りしきる音と、時折の雷鳴。
普通ならば、室内で暖を取り、雨風に濡れないようにするような日。
―――何故か外に居た。

「いやぁ……まさか此処まで酷くなるとはな。」

街道添いの東屋。其処に走る一人の影。
僅かに血の香りを漂わせているのは、雨の中に現れる魔物の討伐を請け負っていたため。
そう、朝はまだ雨がゆるやかだったので「よし!行くか!」と意気込んだはよかったのだが、昼を過ぎてから物凄い豪雨へと成り果て、今に至る。

東屋に到着すれば、ほっと一息。どうやら今、ここにいるのは自分だけの模様。

「予報の一つでも聞いておくべきだったな。
 ……まさか、台風とは。予想しておらんかった。
 ふいー……にしても、ぐしょぐしょだなぁ……。」

備え付けの木の長椅子に腰掛け、自身の惨状に目を向ける。
濃紫色の髪の毛は水をたっぷりと吸い、色濃くしながら目元を覆い、頭の結った房はしんなりと首に張り付いている。
羽織は水を吸い、重々しい。更に尻尾に関してはもう、言葉に出来ないほどに重たい。
とりあえず重たい羽織を脱ぎ、胸部と腰部を覆うサラシの格好になれば――。

「少し雨脚が止むまで、ゆっくりしていくか……。」

ふわり。と呪術を使い、刀を浮かせ――。羽織の水を絞るようにしてからひっかけ、乾かし準備完了。
後はこの間に、雨が落ち着くかどうか。

クチナシ > ――止む気配はない。降り頻る雨のカーテンは大地を泥濘ませ、泥水を跳ねさせ、今もなおその侵食を続けている。

はぁ。と溢れたのは溜息。
ある意味、此処で雨宿りをしたのは悪手だったかもしれない。暗くなり始める。それはこの闇と、匂いなどが途切れる豪雨の中でなにかしらと遭遇する可能性があるからこそ。

それならば。濡れ覚悟で帰宅した方が良い。そう、結論付ければ……。

「――準備をするか。」

生乾きの尻尾を腰に巻き、その上に同じく濡れたままの羽織を纏う。そして、其処を縛っている紐できっちりと固定すれば―― 自身の胸に一枚の札を貼る。
僅かな風の鎧を纏わせる呪符。これで数分、もしくは十数分はその雨風の中、濡れる事を阻止することが出来るだろう。
――雨の中では呪符が濡れるため、できなかった。此処が合ったからこそ出来たもの。

「よし……では、行くか!」

――準備は万端。そのまま、東屋から駆け抜けていくひとつの影。雨の中を全力疾走する。向かう先は――王都。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からクチナシさんが去りました。