2022/09/03 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にジュリーノさんが現れました。
ジュリーノ > 長々しい余韻を残して鴉の声が茜色の空に溶けていく。夕刻の街道は人の気配がほぼなく。
聞こえるものといったら鴉か、急かすように吹く風が草鳴りを響きくらい。
「急いだ方が良さそうだね」
身の丈以上に大きな麻袋が背中からずり落ちそうに……渾身の力で持ち上げ直し、ゆっくりと足を進めていく。
重々しく足を踏ん張り、額に珠の汗粒が滲むが、拭うための二の腕は麻袋の紐をきつく握りしめてるしかできない。
「……。 …っ、は。  …ふふ。これ、キツい。欲張るんじゃなかった」
独り言つも肺が酸素を要求して動悸して途切れ途切れ。
忙しなく息を零し乍、 …それでも笑みを浮かべて帰路を目指して脚を進めた。
黒い眸が向く先にはまだ街の影はない……。

ジュリーノ > 麻袋の重みに体が大きく揺れ、踏ん張る脚も震え始めた。
汗粒が滴る顎をふっと持ち上げた直後に、重い音を立てて麻袋を地べたに置いて。
やっと腕で顎先の汗を拭うと痛みに眉間に皺を深めた。
開いた掌は皮が擦り切れて赤々としている。
「これ、日暮れまでに運ぶの無理だ……どうしよ」
石畳み敷かれた街道から麻袋を引きずり、ほんの少し横に外れた芝に腰を下ろしてかっくりと頭を下げる。
疲労にぐったりとした体には夕方のほんのり冷たい風が肌を優しく冷やしてくれたから。
考えようと座ったハズなのにすっかりと休んでしまう。
帰宅を促す宵のさやかな大気が心地好く、いつのまにか瞼を閉ざして街道の端にずっと座り込んでしまう。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にルイーザさんが現れました。
ルイーザ > 以前にやってしまった依頼の失敗を挽回するように依頼を受け。
その依頼の帰りに街道を歩き王都へと向かっていたがその途中、街道から少し外れた芝の上に人影を見つける。
そんな光景はよく見るのだが今の時間でそんな事していればどこかで宿を取れるようになる前に日が暮れてしまう。
そんな事を考えるとお節介と思いながらもつい街道を逸れて近づき。

「そこの君、お節介かもしれないけどこんな所で休んでいると日が暮れてしまうよ」

近づいていけば如何にも眠っているように見えてしまい。
起こすのは忍びないが放置をして野盗に襲われても事、文句を言われる事を覚悟で声をかけて。

ジュリーノ > 「良い風。」 
自然、人がいなければ独り言増える、その口許からは笑みが消えない。
漸うと息が整い肢体から疲労の重み退くと、漸くうつむいた顔をあげた。
声が聞こえたのはそんな時。
「ん?」
ゆっくりと周囲を巡らせる黒瞳に入ったのは同じ髪色の女の子。
体育座りで揺らす脚を、ぽん、脚の反動の利を借りてしなやかに腰を持ち上げて。
「あはは、そうだね。日が暮れる前に早く家に帰りたいんだけれど。
 コイツが重くてさ。途方にくれてたんだ」
長い指が指すのは半身ほどあるごつごつに膨れた麻袋。

ルイーザ > 「起こしちゃったかな?」

声をかけたタイミングで顔を上げた少年を見つめ。
起こしてしまったようで申し訳ないと軽く頭を下げて笑い。
脚の反動で腰を上げる姿を身軽だと見て。

「本当にそれがいいよ。この辺りも暗くなると危険だよ。
それ……?随分と大きな荷物だね。
お節介だったら申し訳ないけど運ぶのを手伝おうか?」

少年が指指した先には大きい、半身ほどの大きさの麻袋。
何が詰まっているのだろうと眺めて、声をかけて放っては置けないと手伝いを申し出る。

ジュリーノ > 「いやいや流石に眠ってないよ。
 ……眠りそうだったけれどさ。」
尻についた草を手で払い払いながら照れ臭そうに目元を掻いた。
照れくささは消えない。ましてや手伝うなどと言ってくれるのだから。
指の背でまた目元を掻きながら。
「気持ち嬉しいけれど……うーん。」
黒瞳を左右に彷徨わせた挙げ句。
相手を確りと見た瞳を人懐っこく細めて。
「一人で運んだら野党に襲われそうだし、お願いしようかな?
 ただ……中身、見ても大丈夫なら、だけれどさ。
 こっち来てくれるかな?」
ちょいちょいと手招きして麻袋の締めを緩める。
溢れるように飛び出す中身はマンドラゴラ。
巨大な大根思わす表面には断末魔を叫ぶ人面が睨みつける。

ルイーザ > 「それは僕が声をかけていないと眠っていたっれ事じゃないかな?」

照れ臭そうに目元を掻く少年に小さく笑って告げ。
お節介だから断られれば無理強いはするつもりはなく、どうだろうと見返して。

「僕のお節介だからね、無理強いはしないよ」

困っているように瞳を左右に彷徨わせる少年。
その姿にそう告げては様子を見、人懐っこく瞳が細くなれば笑みを返し。

「僕が言ったんだし手伝うよ。
中身を見て?変な物じゃないよね?」

もしかして中身は危ないものなのだろうかと考え。
手招きをされて近づいていき、麻袋が緩められ飛び出した中身。
マンドラゴラを見れば驚きはするが断るものでもないと考え、大丈夫と頷いて。

ジュリーノ > 「汗臭い男が好きなホモ野郎でもなければ襲われないかな、って。」
眠ってたという言葉には中身覗きつつ冗談っぽく告げて。
冗談ではなく目を瞠って相手を見つめるのは。
「あら、案外平気なんだ。こういうの苦手だと思ったのに。
 なんか学園で使うらしいからバイトで集めてたんだよね。
 これだけあれば暫く飯代には困らなそうだから欲張った。
 いざとなったら半分捨てようと思ったけれど。
 その半分の代金払うからお手伝いお願い。」
連々と述べてから、ぁっと小さく声をあげた。
「自己紹介まだだったね。
 俺はジュリーノ。こう見えて王立コクマー・ラジエル学院の学生さ」
せわしなく今度は握手しようと手を伸ばすが。
「痛っ」
皮切れた赤手に顔を歪めて引っ込めてしまう。

ルイーザ > 「野盗には関係ないよ。身包みをはがされるだけだよ」

君の持ち物を全部持っていかれると真面目に返し。
麻袋の中身は驚くものではあるが違法ではないのでさほど気にしないでいて。

「驚きはするよ、けど嫌悪感は僕は無いよ。
学園で使うから集めたんだ、それは良いバイトだね。
運べなくなるまでは欲張りすぎだよ。
はは、僕が声をかけてよかったね。集めた苦労を捨てないで済むよ」

運が良かったねと少年に笑い、
半分の代金を払うと告げられるとそんなにいらない、もっと少なくていいと告げて。

「そう言えばそうだったね。
君も学生なんだ、僕と同じだよ。
僕はルイーザ、よろしく頼むよ」

そして伸ばされた手を握ろうとするがその前にっ引っ込められ。
痛みを訴える言葉にその手を取れば赤く皮切れしているのを見て。
「失礼」と一声をかけ回復魔法で傷を治そうとして。

ジュリーノ > 「身包み剥がされたって構わないさ。
 お財布の中身もほとんどないし。
 君だって街の外に出るときは最悪の事態を考えてお金は最低限に持つでしょ?」
痛みに顔を顰めながら剥がれそうな皮をそっと押して戻してゆく。
まるでぴたり、と糊で貼り付けられたように戻る掌に小首を傾げるが。
「ぁ……」
失礼、という言葉に気が付かずいつのまにか翳される小さな手と。
自分の皮剥がれた掌が少しずつ再生していってる光景に目を交互に配らせて。
「治った……ヒールの魔法?」
ゆっくりと指五本を動かしても痛みがないことに唖然と瞬きしながら見つめた。

ルイーザ > 「無事に済まないかもしれないんだよ?
僕は宿代とかは持ち歩いてるよ。
でもね、僕の場合。襲われたら死んだ方がいい目に合うからね…」

そこまで言っては何かを思いだしたように身震いをした後に頭を振り。
少年の手を見てはあの荷物を一人で運んでこうなったと判れば放っておけず。

「これで痛くはないと思うけど、突っ張ったような感じはないかい?」

許可は取っていないが一言謝って勝手に少年の手の怪我を癒してしまい。
綺麗に治った事に満足そうに頷いて。

「そうだよ、少し心得があってね」

手を動かしては唖然としている少年に笑顔を向けて頷き。
無事に治った様子によかったと笑って。