2022/08/26 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にギニオルさんが現れました。
ギニオル > サーカスの深夜の部が終われば自由な時間である。
酒を飲みに行こうが、街中でケンカをしようが自由、自由であるが当然それは団員のみで、夜の街道を明かりも用意せず歩く青年には自由などなく、何故それでも自由なのかと言えば脱走したからであった――…勿論夜があける前に戻るので、サーカス団にとっては暗黙の了解の上に問題を起こせばそれはそれでサーカスの酷評含む評判が広がると言う事で見逃されている。

何なら暴力性をうりに貴族に護衛として期間限定で雇わないか?までサーカス団の団長はあの手この手で金を稼ごうとするだろう、が、今それは街道を歩く青年には関係ない話であった。

「……………………。」

街道というだけあって歩くには十分に整備された道を革サンダルの底で踏みしめながら、足裏にかえるその踏み心地を楽しみつつ、目的地も行く先も決めずただただ歩く、歩いて、歩いて歩き続ける。

空には太陽なんてなく、代わりに昇った月の光を浴びながら、それも見上げる事無く前を見て真っ直ぐに歩く、歩けば当然腰につけた財布代わりの皮袋が揺れてジャリジャリと音がする、するというよりわざと周囲に聞かせながらの散歩である。

財布の中身は食料である金属と財布が財布であるが為のお金が少量――…これは一応団長より団員や見世物に配られた小遣いで、それを使い道が無いがために溜め込んでおいたのを預けもせず全て持ち出している、で何のために鳴らしながら歩いているかというと……待っているのだ。

誰か?

それは特定の誰かではなく金に敏感な悪漢を。
音に敏感な人の気配に獣や魔物達を。

ある種の釣りに似た儀式。
自分の中の暴力性を満足させるためにこうして獲物を探し待ちながら歩いている、故に目的地などないのであった。

欠伸を噛み締めただただ歩く姿は傍から見ればどうみえるだろうか。

ギニオル > 光源は当然ゼロ。
自分を中心に周辺に広がっているのは闇と夜と虫の声、あとじっとりと重たく生ぬるい空気くらいである――…星と月明かりは一応あるが光源と言うには貧弱か。

「……面白い、匂い、無い……。」

鼻腔をくすぐるような鉄錆の匂いもなく、獣特有のあの悪臭もない、感じれるのは湿度で匂う草木の青臭い香りくらいで、その退屈さにまた欠伸を噛み締めてしまうのだった。

これならば得意ではないが酒場というところに…いや、その場合はサーカスの誰かを連れて行かなければ満足に買い物も…半分くらいが無意識に口をでているが、まあともかく出会い、敵か何がしかと運よく悪く遭遇するかを楽しみにして歩き続けている。

街道、だが流石にこんな時間に人ではない。
馬車も当然見かけない、が……テントで寝るよりはマシ、だと考え直せば歩き続ける足を止める事は無い、決して軽くない足取りでこれもわざと周囲に聞えるように足音をたて歩くのだ。