2021/12/03 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にマディさんが現れました。
マディ > 宵闇の中、旅人の往来も絶えた街道を、疾駆する幌馬車が一台。
四頭立ての馬車を操る御者席には、僧衣の男が座っている。
そして、黒い幌で覆われた荷台に積み込まれているのは、
両手を黒鉄の枷に戒められ、腰縄を打たれた数人の『修道女』
―――――とは名ばかりの、体の良い娼婦たちであった。

ゴトゴト揺れる馬車の中、神聖都市から王都へ向かう道程にあって、
売られる我が身を嘆くほど、初心な女は一人も居ない。
皆、一様にぼんやりと、力無く座しているばかりだった。

そんな中に混じる『マディ』と呼ばれる女もまた、
本来ならば戒めの必要も無い、人形同然の生きた玩具である。
今も左手の薬指に嵌まる、細いリングさえ奪われなければ、
たとえ四肢が自由であろうとも、たった今馬車が立ち往生しようとも、
決して逃げない、大人しく扱いやすい『積み荷』であり続けるだろう。

そう、何事も起こらなければ。
暗い夜道を辿るこの旅が、無事に済む保証は何処にも無いが―――――。

マディ > どろりと澱む闇夜を縫って、馬車は走る。

向かう先が何処であろうとも、女たちにとって、未来は然して変わり映えせず、
ただ、昏く爛れた闇のなか―――――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からマディさんが去りました。