2021/09/23 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にサシャさんが現れました。
サシャ > 泉から少し離れた森。鬱蒼と生い茂る緑の中に、
薄汚れた鎧を血に染めた男達が事切れて倒れていた。
そして、木の枝の上から死体を見下ろすのは、
手の代わりに青い翼を持った魔族の少女。

彼女、サシャは魔族の国の斥候である。
喜びヶ原に隠れ家を置き偵察と攪乱工作に従事していたところ、
隠れ家の近くに現れたのがこの不幸な男達であった。
彼らが冒険者に追われた哀れな山賊だなどとは露知らず、
サシャは彼らをあっさりと皆殺しにした。

「ふん、ただの賊がこんな場所に何のようやら…。
こっちから来たみたいね。他に生き残りがいたら面倒ですわ」

サシャは枝からジャンプすると翼を広げ飛び立つ。
山賊達が来た道を、他に人間がいないか見張るために。


それからしばらく飛び、彼女もよく利用する泉に差し掛かったころ。

「……ん?」

微かな水音。サシャは地面に降り立つ。泉に誰かいるのか?
そちらに向かうと、素っ裸の少女が一人、泉で沐浴を楽しんでいた。
先ほどの賊とは違うようだ。冒険者か何かだろうか?
しかし全裸では警戒の必要もないだろう。
それに……先ほどのむさくるしい男どもと違い、美少女だ。

「あらあらまぁまぁ、不用心ですこと」

サシャは泉のほとりから、ニヤニヤと獰猛な笑みを浮かべながら彼女に声をかけた。

ステラ > 「あら……? ……えっ!? ……っ! 魔族ッ!」

突然の声かけ驚き胸元を片手で隠し、もう片方の手で下腹部の淫紋と秘所を覆いながら視線を泉のほとりに向ける。
泉のほとりで獰猛な笑みを浮かべる女に視線が向いて。
手の代わりに肩口から生える青く美しい翼を見れば少女の種族も理解し視線が鋭く変化する。

そして自分の浅はかさに奥歯を噛み、服の干されている木々に向ける。

「沐浴中に随分と無粋な真似をするのね。 魔族らしいといったところかしら」

剣は干された服の下に立てかけられて、それを取らなければまともな戦闘にもならないと悟る。
掛けられるだけの身体強化の術を掛けながら、せめてサーベルを取りに行こうとタイミングを見計らいながら相手を睨みつけて。

サシャ > 「無粋?無粋って…」

ハーピーの少女はけたけたと笑いだす。

「むしろ問答無用で襲い掛からず声を掛けてあげたのだから、
少しは優しさに感謝してくれてもいいのではなくて?」

やろうと思えば、水浴び中に空から近づき有無を言わさず制圧できただろう。
だが、サシャはそうはしなかった。

彼女はステラの視線の動きに気付き、ちらりとそちらを見る。

「なるほど…武器が無いと戦えない?哀れなものねぇ。
いいですわ、取りに行きなさい。それで勝てるならですけど」

挑発するように、サシャは言う。

ステラ > 「っ……」

ハーピーの少女が言うことは正鵠を得ていて、悔しさに唇を引き結び殺意を込めてにらみつける。
確かに少女は油断をしていて、やろうと思えばいくらでも制圧の手段はあったはずで。

「そう、ありがとう。 特別にあなたが負けた時に命乞いの時間くらいは待ってあげるわ……シッ!」

魔族に慈悲を掛けられる、騎士としてこれ以上ない恥辱に頭が煮えくり返りそうになりなる。
せめて少しばかりの嫌味を返し、すらっと伸びた足を振り上げ前方に水の弾幕を張って一瞬でも姿を隠して。

その隙に強化された脚力で瞬時に剣までの距離を潰して走る。
水の弾幕を避けるか、被るか、吹き飛ばすのか、ハーピーの少女が如何な行動を取るか。
その間に少女は外套を羽織り、銀のサーベルを抜いていて。

「その油断が貴女の敗因だったかもしれないわね さようなら、ハーピーさん」

日の光を反射させた銀剣を手前に突き出し、まっすぐに貴女の元へ恐るべき速度で刺突を繰り出して―――

サシャ > 「まあ怖い!人間は野蛮ね!私なら貴女が負けても命までは取らないわ!」

赤い瞳を見開いて、翼を広げ、跳ね上げられた水の弾幕を吹き飛ばす。
その間に少女が剣を取るのを見届けて、逃げればいいのにと笑みを浮かべる。

「貴女みたいな可愛らしい子、何もせず殺しちゃうのは勿体ないもの?」

サシャに、少女の恐るべきサーベルの刃が向かう。常人なら反応も出来ないだろう。
だがそれが届こうとした瞬間、その姿は既に無かった。

「私、サシャって名前がありますのよ?」

右でもなく、左でもなく、その声は頭上からした。
一瞬で空に飛び立ったハーピーは、少女騎士に狙いを定め降下する。
鋭い足の爪を構え、風のような速度の蹴りが彼女を襲う!

ステラ > 「潔く命を取るほうがまだ穏当だわ。
貴方たち魔族が捕虜にどのような行いをしているのか知らないとでも思っているの?」

魔族は不退転の敵、人類の歴史に出てくる魔族はこの一言で表わせるように編纂されていて。
もちろん例外など探せばいくらでも見つかるのであろうが……。

少なくとも彼女があった魔族は碌でもないもので、対峙している少女にも同じような敵意を漲らせる。

「っ……やっぱり、魔族って最低だわ……ッ!」

憎しみと侮蔑で研ぎ澄ませた必殺を確信できる神速の刺突。
しかし手応えはなく虚しく空を切る音のみが森に響き渡る。
どちらに避けた?右か左か? 
即座に視線を巡らせる少女の頭上から掛けられる余裕を持った名乗り。
―――直上ッ!!
蹴り横っ飛びに飛び込むように動き中空で回転して体勢を立て直そうと、咄嗟に大地を蹴り上げて回避を試みて。

サシャ > 「あらあら、人間はそういうことをしないとでも?
いいのよ?貴女だってしても。貴女が勝ったら大人しく犯されてあげるわ?」

爪での攻撃を回避し、体勢を立て直したステラにサシャは笑いかける。
その豊かなボディラインを彼女の青い翼が誘うようになぞる。
顔立ちからすれば似たような年齢であろうが…。

「敵に最低なんて言われるの、褒め言葉だと思わない?
ところで人間の騎士は真剣な勝負でも名乗らないのかしら?礼儀がなってないわ、ね!」

今度はサシャから仕掛ける。彼女は再度空中高く飛び上がり距離を取ると、
その翼を大きく広げながら呪文を唱える。
そして、彼女が羽ばたいた瞬間、無数の風の刃がステラを襲う!

ステラ > 「汚らわしいっ……! その減らず口を叩く舌切り取ってあげましょうか?」

寸刻の差で頭上からの強襲を避ける少女。
水しぶきを上げながら後退しつつブレーキをかけて視線を上げる。

そこにはスレンダーな自身の肉体と反する豊かなボディラインを持つ、まさに魔性の魅力を持つ魔族。
笑いかけられれば同性の自分であっても頬が熱くなってしまう。
先ほどの攻撃を避けた際にできた肩口の傷を握り痛みで何とか正気を保ちつつ。

「ステラ……ステラ・ネーデルよ
魔族のサシャ、貴方が口だけでないことはよくわかったわ」

空中、自身の射程外にまで飛び上がられ身構える少女。
羽ばたきと共に不可視の斬撃が飛来することを予期する。
1つ、2つ、数えることもできない風の刃を避け切ることなど不可能で……。

寸刻の後に着弾、風圧が水しぶきを噴き上げて瀑布が視界を覆う僅かな間。
バキッ! バキッ! 
泉を囲む木々から響く破砕音。

「せっかく高い場所に移動したのに上を取られた気分はどう?
すぐにプライドごと地に落としてあげるけど」

三角跳びの要領で木を蹴り、さらに身体強化の妙技で大気すらも踏み台として貴方の上を取った少女。
太陽を背負い、上段に構えた銀剣を重力のままにあなたへ向かって振り下ろす……!

その体は無数の風の刃を受けてボロボロで、この一撃に全てを、戦いの勝敗を賭けていることは明白で―――。

サシャ > 「舌がお好みかしら?いいですわ、戦いが終わったらたっぷり舐めて差し上げてよ」

挑発するように、ちろりと舌を出す。

「ステラね…いい名前ですこと。貴女に付ける首輪にもちゃんと書いておかないといけませんわね?」

風魔法の連撃が猛然と泉を打ち、水しぶきを上げて視界すら奪う。
そして、それを避け、あらぬ方向から突破して飛び上がるステラの姿。
しかし頭上に来た彼女を見るサシャの瞳は、笑っていた。

「気分はどうですって?笑いが止まりませんわ?」

渾身の一撃はしかし、ひらりと風に任せ舞うサシャを捉えることなくむなしく空振る。
そして、今度はサシャがステラの後ろを取った。

「明らかにこちらのほうが空中戦には分がありますのに…愚かですこと」

サシャはステラの背中にそっと足を置く。
一人分の重量を乗せ重力は無慈悲にステラを地に叩き付けるだろう。
そして……泉に、特大の水しぶきが上がった。

ステラ > 「だれが……お断り……よ!」

サシャの魔族らしい思考に悍ましさを覚えつつ。
相手に分がある空中戦での決着を望んだステラ。

戦いを急いていると思われても仕方がない愚策だが、ステラにとってサシャはあまりに相性が悪い相手だった。
遠距離魔術への対抗策を持たないステラにとって例え不利でも相手の懐に入り込まなければ正気を掴むことも難しく……。

「あぐ……うぅ……けほっ……」
起死回生を狙った一撃は容易くかわされ、勢いをそのままに地面へと落とされて。
盛大に上がった水しぶきの後には一人の少女が仰向けに横たわっていた。

身体強化の連続使用によって魔力も底を尽きたのか魔術で肉体を強化することもできず。
自分の非力さを悔やむ様に歯を食いしばり、気丈に中空から見下ろす魔族の少女を睨みつけて。

サシャ > 仰向けに倒れるステラの近くに、サシャは静かに降り立つ。

「捨て身の攻撃を仕掛けるぐらいなら、逃げればよろしいでしょうに」

その翼は、猛禽じみた脚は、いつの間にか人のそれと変わらぬ姿に転じていた。
サシャは自らの服のボタンに、手を伸ばす。

「相手の言葉を聞きすぎですわ…。
それで思考がかき乱されて、冷静に考えられなくなる。
知ってるかしら?ハーピーの声は人間の精神に影響を与えますのよ?
歌じゃないから、効果は微量でしょうけど」

脱いだ服を、帽子を、スカートを空中に放ると、
それは水面に落ちる前に風魔法に乗って、ステラの衣服があるあたりに運ばれていく。

そして、全裸になった彼女はステラの腹の上に馬乗りになった。

「では、約束通りいただきますわね♪」

サシャは悪戯気ににこりと笑う。姿形は人でも、その瞳は魔族のものだった。

サシャ > 【後日継続】
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からサシャさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からステラさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」に肉檻さんが現れました。
肉檻 > 王都から伸びる街道の途中。
馬も御者の姿も無く、まるで置き忘れたかの如く打ち捨てられた一台の幌馬車が其処にはあった。

元より盗賊や魔物の出没も少なくない街道では、決して珍しくは無い光景で。
ところが奇妙であったのは、そうした盗賊や魔物の類による襲撃を受けたにしては、荒らされた様子は一切無く。

幌の中にはつい先程まで誰かが乗っていたかの如く、幾つかの手荷物と積み荷の木箱、
そしてそれらに混じり、拳大程の大きさをした透き通った水晶玉がひとつ、物言わずに転がっていた。

肉檻 > それから、次にその場所を通りがかった誰かに発見されるまで、
打ち捨てられた幌馬車はその場に有り続ける。

その人物が生存者を探す善意の持ち主か、金目の品を探す悪意の持ち主かは定かでは無いが、
もしも"其れ"が獲物と判断し得る人物であったのならば、また違った命運が待ち受けていたであろう――

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」から肉檻さんが去りました。