2021/09/22 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にステラさんが現れました。
ステラ > 王都と神聖都市を繋ぐ街道では戦いの音色が響いていた。
片方は泥土に汚れた揃いの鎧を着用した、敗残兵が転身したであろう山賊たち。
もう片方は装備もバラバラな冒険者の一党。

「っ……遅い! 剣を振るうなら、こうッ!」
その戦いの渦中に薄青髪の少女もいた。
山賊の剣を避け反撃の一撃を打ち込む様は剣舞のように軽やかで。
1人2人と鮮やかな手並みで打ち倒していけば周囲の山賊たちも及び腰となり。
どこからか山賊の親玉を捕らえたと声が上がれば、手下たちは背を向けて森の中を通る旧街道へと逃げ出してしまう。

「あっ、逃げるな! 私、逃げた山賊を捕らえてきます」

少女は他の冒険者に声を掛け、返事を待たずに森へ走り出す。
戦いで逸る気持ちのまま、逃げた山賊たちを追いかけて―――。

ステラ > 「おかしいです……音も気配もないですね
逃げ足だけは速い人たちだこと……はぁ、それにしても歩き難いですね」

山賊たちを追いかけたはいいものの、森は広く暗く鳥の鳴き声が聞こえる程度で。
足元を気にすれば、踏み固められていた街道も立ち並ぶ木の根が道を侵犯して歩きにくい。
様々な素材を集めに冒険者が頻繁に訪れるのだから整備をすればいいのに、等と文句を呟きながら奥へ奥へと進む。

「依頼前に見た地図では……この先に避難小屋があったはず
まずはそこを目指してみましょう」

朝方の記憶を手繰り寄せながら、脳内に周辺の地図を思い浮かべる。
草の上を歩けば音が立つと思い、道にはみ出た根の上を軽やかに飛び移りながら先へと進む。
まず目指すべき目的地は街道沿いの古びた避難小屋。
そこにも居なければ……それはその時に考えよう。
自身の能力に自信を持つ少女は楽観的に奥へ奥へと歩みを止めることもなく―――

ステラ > 森の中にある小さな避難小屋に剣戟の音と男の怒号が響く。
巨大な戦斧が先ほどまで少女が立っていた位置を通り過ぎ木床を破砕して地面へと突き刺さる。
舞い上がる埃に山賊の視界が奪われた瞬間、女性物のブーツが男の側頭部を蹴り飛ばす。
バランスを崩した男は棚を巻き込んで盛大に倒れ、舌を出して白目を向いて失神してしまう。

「ふぅ……やっぱりここに隠れていましたね
ここには二人ですか、ううん……ひとまず拘束して後で引取って貰いましょう」

男の様子を確認し、追撃のために振り上げていた足を下ろして少女は一呼吸を付く。
打ち破られた板窓の傍にも倒れているもう一人の山賊を棚の傍にまで引き摺り手足を拘束する。

「……ちょっとだけやりすぎてしまいましたけど大丈夫ですよね?
それにしても髪が埃だらけ……周辺の地図も見つかりましたし、川の方を探してみましょうか」

奇襲のために山賊ごと撃ち抜いた板窓、破砕された床や棚を眺めて。
いざとなれば盗賊のせいにしようと心に決めて1つ頷く。
壊れた棚から拾い上げた地図を確認しながら服の埃を払い。
身体強化魔術によって僅かに疲労が見え始めた体を軽く揉み解し、少女はさらに森の奥へと一人で歩んでいく。

ステラ > 道なき道を進めば小さな小川にへとたどり着く。

「ううん、こっちですね」

渓流にしゃがみ、川の中に手を入れて小さなものを取り上げる。
それは岩に引っかかっていた小さな木の皿で。
とすれば上に人の生活跡があるのだろうという考えで川を上る様に進路を取る。

「わっ……綺麗。 冷たい、ここから水が湧いていたのね。 んく、おいしいっ!
……誰もいないし、いいわよね」

少女の当てが外れたようで渓流を上った先には山賊が使っていたであろうキャンプ地などはなく。
代わりに小さく清浄な泉があった。
泉の近くには水が湧き出ており、長時間の移動に疲れていた少女はすぐさま近づいて水を掬い口を付ける。
喉を潤した少女が次に欲するのは土埃に塗れた服装で。

周囲に人がいないことを確認した少女はそっと服の留め具を外していく。
スカートから足を抜き、タイツ足首にまで下ろし座って片足ずつ引き抜いて。
脱いだ服を水の中に潜らせて、近くの枝木に吊るすように干す。

「ちょっと恥ずかしいけど、いいわよね
この天気ならすぐに乾くし、水浴びが終わるころには……♪」

一糸まとわぬ姿となった少女は髪をかき上げ水に濡らし、手で掬った水を体に掛けて心地よさそうに頬を緩める。
暫しの間、水しぶきを散らしながら泉の中で休息をとり―――。