2021/08/10 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアブドさんが現れました。
アブド >  
「大人しくしろ。危害は…まぁ気が向いたら加えない」

その荷馬車はやはり運の悪いことに、陽の沈んだ時刻まで道程が遅れてしまった

商団の雇った冒険者は暗闇に潜んだ一団に気づかず奇襲を受け、
麻痺毒によって浅黒い肌の女の足元に崩折れていた

盗賊達に刃物を突きつけられ、怯えた商団の人間はただただ女の言うことに従う他なかった

「さっさと運び出せ。量が多い」

ちらり、と馬車の向かう先だった方向を見る
あくまで此処は王都周辺
王城に向かう商団の荷馬車には良いモノも積まれているが
騎士団に感づかれると面倒なことには変わりなかった

女が声をかけ、盗賊の男達にその手を急がせる

アブド >  
幌の中にところ狭しと積み込まれたのは王城へ納める調度品
そして十分以上に用意された食料だった

商団だと目をつけて狙ったのは正解だったと、
女もまた金品の物色をはじめる

「どの品物もいい値がつきそうだな…」

「もう少しマシな傭兵を雇っておけば良かったな。
 肝心要で金を惜しむからこういうことになる」

ぐり、麻痺毒で動けなくなっている冒険者を踏みつけ、見下ろす
気の毒…という気持ちすらないが、この傭兵には消えてもらうことになる
生かしておくリスクが、商団の人間以上に高い

アブド >  
あらかた運び出し、仲間の馬が走り去ってゆくのを見届ける
最期の数人には縛り上げた冒険者を連れてゆくよう促し、その場には空っぽになった馬車と、商団の人間と
女…アブドのみが残される
首領ながら、夜眼の効く女が最後に残るのはいつものこと

騎士団が駆けつけてくることもなく仕事を終え、幌の中へと縛られた商団の人間達を追いやり…
思い切り、馬の尻を蹴り飛ばした

馬は王都とは逆の方向に向けて駆け出し、瞬く間に遠くなっていった

「…ん。いっそ馬ももらっておけば良かったか」

移動にも便利だしイザとなれば食える
遠ざかる空っぽの馬車をを見送りながらそんなことをボヤいていた

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアブドさんが去りました。