2021/07/15 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアブドさんが現れました。
■アブド >
──喜びヶ原・街道
足が遅れたか、陽の落ちる時刻に差し掛かる刻
運悪く街道を通った馬車は、待ち伏せた盗賊の一味による略奪を受けていた
「……護衛の傭兵もナシか。不用心だからこういうコトになる」
盗賊たちが荷物を奪い、運び出す様を浅黒い肌の女が見ていた
「王族貴族の馬車なら尚良しだったが、まぁ贅沢は言うまい…」
積まれていたものは食料品と酒が殆ど、これでも当面の糧にはなる
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にイーヴィアさんが現れました。
■アブド >
手下の一人が、上等な香油らしき容器を手に女の元を訪れる
向かう先は王城、もしくは富裕層の区画だったか、貴族か王族への献上品か何かだろう
「お、これはいいじゃないか。売りさばけばそれなりの値になりそうだ」
自分で使うにはやや気品がありすぎる
こういものは売って金に変えるべきだ
「…だったら奪うなら根こそぎだ。そいつらは…まあ殺しておくか。
わざわざ生かして放って置いても私達の首にかかる金の金額が上がるだけだ」
くい、と顎先で促すと手下の数人が、縛られた馬車の乗り手数名を連れ、街道脇に広がる森へと移動してゆく
「ああ…どうせなら馬ももらっておくか」
奪うからには中途半端はナシだ、全て、頂いていこう
■イーヴィア > 「―――うっわ、マジかよ…。」
(其れは、少し離れた森の入り口付近より
妙に森の外が騒がしいなと思い、木陰から街道側の様子を眺めれば
案の定略奪を受けている真っ最中の荷馬車が見えた
まいったな、と、少しばかり渋い表情浮かべながら、暫し様子を窺うのは
其れがモノだけを奪っていく類の連中か如何かを見定める故の
何せ現在、背中に背負って居る荷物の中身は、掘り出した鉱石やら
或いは装飾に使う為の、一寸した宝石の原石やら、だ
出来る事ならば、こんなところでの面倒事は避けたい所、なのだが
――暫くして、人間が其の儘連れ去られて行くのを見ては
きっと、売るか殺されるか、どちらかなのだろうな、と。)
「―――――……げ、て言うか来るのこっちかよ…。」
(そうして、何処へ行こうと言うのか
運悪く、連中がやって来るのは、こちら側らしい
参ったな、と厄介そうに零した後、直ぐに場所を移動する
出来ればやり過ごせる位置まで、隠れ潜もうとはする、が
もし相手が明かりの一つでも持っていれば、森の入り口
移動の際、僅かに動く気配が見て取れるかもしれない)。
■アブド >
「───?」
野性的にも思える、女の勘は鋭かった
ただ、それだけでなくその闇を見透かす眼が、僅かな木々の揺れとその気配を見逃さなかったのだ
懐から二対のチャクラムを手に取り出し、口を開く
「馬車に乗ってアジトの麓に先に向かえ。
……ネズミを始末したら私も戻る」
盗賊の面々に背を向け、その背を低く、駆け出す
何人か連れるのも良いが既に日は沈んだ頃
夜闇を見通す自分以外がいても対して役には立たない上に、明かりが近づけばネズミも逃げる
女の音もなく駆けるその速度は凄まじく、
その接近に気づけなければあっさりと、男の向かう先を塞ぐように、女が立ちはだかることになるだろう
■イーヴィア > (普段の、せめて荷物の無い状態であったならマシで在ったろう
けれど今は、背中に荷物のバッグを背負った状態
見た目的にも、重さ的にも普段より重量感は拭えない
出来うる限り距離は離さねばと、気配を潜めるのと速足とは半々くらい
何事も無く撒ければ、其れが一番良かったのだが。)
「―――――マジかよ、来やがった。」
(チッ、と、小さい舌打ちを。
気付いた時にはもう遅く、駆け出すよりも先に
己が目前へと、影が飛び出してくる方が先だった
気配の消し方、移動の速さ、どれをとっても見事な物だ
盗賊にしては、随分と手練れだなぁ、なぞと冷静には考えつつ
緩く両掌を掲げて見せ。)
「――――――……盗賊なんて良く有る事さ。
別に暗がりで、他の連中の人相なんて見えちゃいないぜ。」
(だから、要するに。 すんなり通して貰えはしないか。
この期に及んで、念の為に、一応とばかりに、そんな要望を
十中八九却下されるだろうとは思っているが)。
■アブド >
「──こんな時間に森の中を移動している人間がいるとは思ってなかった」
両掌を揚げる男の前に踊りでた…少女と言っても差し支えないような様子の盗賊
遠目にも明らかに盗賊達を指揮していたのはこの女だった
手練だ、と感じた男の感性は、正しいのだろう
「手を揚げていても無駄だぞ」
くるん、と手元で円刃を踊らせる
「荷馬車を襲うついでに大体は数人殺す」
「無関係な通りかかりの死体が一つ増えるくらいは不思議じゃない──が」
暗闇の中に浮かぶ男の姿は…なかなかの体格、膂力も強そうだ
そしてどこか、雰囲気が普通の人間と異なる
更にその背負ったものを見れば、女はじっと赤い瞳で男を見上げた
「見逃されたいなら対価が要るな。お前の命と、同等の対価だ」
■イーヴィア > 「――――チャクラムか、面白いモン使うな。」
(――其れは、多分職業病であった。
相手の持つ円月輪、なぞとも呼ばれる武器は、扱いが難しい
無論その性能から、盗賊や暗殺者なんかが扱う事の多い物故、納得はするが
襲われている立場で、先んじて武器への興味が来るのは、鍛冶屋ならではか
とは言え、状況を忘れて居る訳でもなく、相手が余り"容赦の無い"盗賊と言うのも
先刻からの手際の良さを観察していれば、何となく理解している
――先の荷馬車の人間たちがせめて、売られる方であったなら良いのだが。)
「―――――……。 ……命に勝る宝なんてものはねぇって。
其れに、この荷物は俺様の仕事で使うもんだ。 持ってかれると困っちまう。」
(――同等、とは、少なくとも己の価値観では言えぬ。
この荷物をくれてやった所で、相手にとって満足の行く物で無ければ何の意味も無いだろう
故に、惜しむのではなく、吊り合わぬとして拒む。)
「第一、奪えば丸儲け…そう考えるから連中も殺すんだろ?」
(交渉なんて、幾らでも破棄出来るのだ
此処は森の中――誰も、証言なぞしてはくれぬ)
■アブド >
「…お前、武器屋か何かか
この状況で相手の武器に注目するのは戦う気があるヤツはそれを生業にしてるヤツくらいだ」
が、武器屋がこんな山の中を単独で移動するとも思えない
となればそれに携わるもの、仕事で使うという背負った荷物もそれに準ずるもの
森、ひいては山で得てきたものとするならば、ある程度は予測がつく
「刀鍛冶か。てことはその荷物は石ころだな。
……ただの石ころをもらっても換金効率が悪い」
盗賊に身を窶していても女はそれなりに頭が回るようだった
話が通じるだけ、マシな部類なのかもしれないが──
「死体が一つ増えれば私達を追うヤツが多少なり増える
街道近くで死体を隠しても、どうせいずれは見つかる
だから、お前の命を見逃す利益が私にあるかどうかだ」
■イーヴィア > (――片眉を跳ね上げた。
自分が鍛冶屋である事を、僅かな情報から言い当てた相手の
其の観察眼に、何処か感心する様に、へぇ、と声を響かせ
そうして肩を竦めて見せる、殆ど、肯定と同意義で。)
「――ご名答、俺は王都の鍛冶屋だ。
鍛冶屋にとっちゃ大事なもんだが、融かして金属にしなきゃ意味がない。
まぁ、其れでも関係ないって連中は居るから、お前さんはマシな方だな。」
(どうやら、話は通じるらしい。
……あくまで、らしい、と言う程度だが。
結局、相手にどんな価値を提供出来るか。 其れを僅かに考える。
とは言え、今現状で出来る事など高が知れている
肉体労働で、何て言った所で男手は十分に足りて居るだろうし。)
「鍛冶屋にパッと出来る事なんて、武器を見る事くらいだ。
まぁ、修理出来る奴が仲間に居るんなら用無しだろうけどよ…。
後は…、……お前さんが、何を求めてるか次第になっちまうぜ。」
(相手の利益になりそうな事で、かつ己が自信をもって提供出来るのは
勿論、自らの鍛冶の腕に他ならないが
其処で、問う。 寧ろ、何か要求するものは無いのか、と
必要としている物、不足している物、そう言ったモノに価値は生まれ易い。)
「一晩酒に付き合ってくれ、とかなら喜んで付き合うんだがなァ。」
(けらり、そんな軽口を向けるくらいには、余裕があった)。
■アブド >
「金になるなら関係はある。
それでもどのみちインゴットにしたり宝石なら精製してなきゃロクに売れないか買い叩かれる
ただでさえ嵩張るものだからな。面倒だ」
王都の鍛冶屋だと男は名乗る
その屈強に見える体格も納得だろう
「生憎大掛かりな組織ってわけでもなくそんな人材はいない」
とりあえず話をする腹つもりらしい
しかしその指先に踊るチャクラムはまだ仕舞われていない
目の前の相手が組み付いてくれば、その胆力の差は明白、そう簡単には武器は下ろさないようだ
「ただし人数が少ないなりに武器の類なら盗品で事足りる、余るくらいだな」
「趣味嗜好品もこれといってお前にすぐ用意できるものもないだろう。
そして私達が求めるものは単純に金で説明がつく
まともに働くこともできないヤツが必要な生きる糧だ」
そして、男の軽口にはやや眉を顰め、その赤い瞳を細めた
「…盗賊相手に冗句とは、思ったよりも余裕だな。お前。
自分よりも小さい女だからといって見くびられているようにも思えないが?」
■イーヴィア > 「価値観は金、か。 判り易くて有難いね。
其のチャクラムも盗品か? 生憎、おいそれと代わりが見つかる様な物とも思えないぜ。」
(チャクラムは、戦争には向かない代物だ。
冒険者であるシーフや、アサシンが使う事は在るが、決して主流ではない
幾ら武器商を目当てに襲ったとしても、運良く手に入るかどうかでは当てには出来ない筈だ、と。
未だ武器を手放さない辺りは徹底して居る。 警戒心が強いのだろう。
そうで無ければ、盗賊など続けては居られない、か。)
「……なぁに、追いかけて来たのが随分と美人さんだったもんでね。
別に見くびっちゃいない、足の速さだけなら、御前さんから逃げ切れる気がしないしな。
ただ…、……言ったろ、見逃してくれるのが一番ってな。 面倒なんて無い方が良いに決まってる。」
(俺は別に、戦闘狂じゃないんでな。 ――そう、続ける軽口の類。
問答無用では無い相手と言うだけで、大分気楽になったのも在るが。)
「ちなみに、良い女だってのは別に軽口でもなんでもねぇ、ちゃんと本心だ。」
■アブド >
金があれば大体の些事は収まる
逆に金がなければ為せないことは余りにも多い
実に単純な価値観
ゆえに誤魔化しが効かないとも言うかもしれないが
「…幾らか前にシェンヤンの金持ち連中が王都に来ていた。その時に色々と、だ。
案外と使い勝手も良い。…簡単に隠し持てるしな」
買い付けたのか、あるいは珍しい武器として奪ったのか──
「山猿のような女盗賊に追われても死物狂いで逃げるだけだろう」
「多少の交渉をするにも容姿は整っていたほうが都合が良いし、部下にも慕われるというものだ」
淡々と言葉を返してゆく女だったが、容姿を美人と評されることを意外とは思っていなかった
しかし女はやや思慮するように眼を細め、男を再びマジマジと眺めた
「お前、一物は立派か」
そして素っ頓狂とも思えるような言葉を男へと向けた
■イーヴィア > 「――――……成程、向こうの連中は其れが主流か。
それか…、……丁度、襲ったのが"そう言う目的"の連中だったか。」
(買い付けた、とは微塵も考えていなかった。
チャクラムを十分に買い揃えて置けるだけの金が在るなら
不安定な盗賊と言う立場で、他に使うべき所は幾らでも在る筈だ
シェンヤンか、と、確かに文化圏の違う向こうならばと納得はしたが。
其れは其れで、今は重要でも無いが、気になる所はある。)
「……はっは…! なら俺は、思い切りその策略に引っかかってる訳か。
別に、筋骨隆々の山賊みたいな女でも、良い女だと思う時はあるからなァ
其の辺りは、好みの問題も在んだろうが…、……オイ、流石に待て。」
(基本的に、軽口の応酬は嫌いでは無く、何時もの調子
淡々とした相手に対して、別段必要も無い事を告げながら戯言を交わしていたが。
―――直後、間を置いて告げられた言葉に、流石に一瞬言葉が詰まった。
なぜそうなった、と、疑問符ばかりの視線を送った後で。
その視線が、相変わらず淡々とした、何処か真面目腐った其れで在るなら。
軽く首元を掻きつつ、肩を竦めて見せ。)
「……噛み切れねぇ程度には? 御前さんの身体じゃキツイかも知れない位にゃな。
……ちょん切ってコレクションに、とか言い出さねぇよな?」
■アブド >
「いや、随分と屈強な身体をしていると思ったから聞いてみただけだ。
うちの盗賊団にもそれなりに良いガタイの男は多いが、同じモノばかりというのも喰い飽きる」
小さく方を竦めるようにして、そう嘲るように言葉を続ける
どうやら、少女とも見れるこの女が彼らを指揮する…要するに盗賊のボスとして担がれている理由は
ただその実力だけ、というわけでもなさそうで──
「…そんなモノ。コレクションにしてどうする。
夜伽など所詮娯楽の一つでもあるが、男がデカいに越したことはナイ。
要するにお前の価値の一つだ」
さて、どうやらご立派らしいということはわかったが
口ぶりからするとかなりのモノなのだろう、こうなると少し、殺すのが惜しい
意外と少女にとってのうっとりサイズの持ち主は少ないのだ
「……ヨシ。今日は見逃してやろう…。
王都の鍛冶屋、だったな。名はなんだ。
お尋ね者の身で贔屓にはしてやれないが、覚えておいてやるぞ」
飽くまで軽口からの発展
男が、この盗賊女を美人と評したことなどがその関心に繋がった
…と考えればあるいは、処世術によって生き延びることが出来たのかもしれない
■イーヴィア > 「……あー、成程。 ……そりゃそうか、男所帯に放り込まれてる訳だしな。
いや、盗賊っつーからつい。 何か変な趣味の一つでも在るんかねと。」
(納得した、と同時に、この盗賊集団の状況も察せた。
ならず者集団の中では、そりゃあ重宝されるだろう、と…微妙な表情。
けれど、其れが一つの生き方であり、手段であり、何なら口ぶりからすると
恐らく好き好んで、なのだろうから、特段何も言う事は無く。)
「デカいから良いってモンでもないと思うが、まぁな。
……イーヴィアだ。 王都じゃヴァルケス武具店ってのをやってる。
て事は、今日は通行して良い訳か? てっきり、前払いで請求されると思ったけれどな。」
(盗賊の身で王都に這入り込む事自体が危険だろう、そういう意味では
客としての贔屓は期待できそうにない、が
其れは其れ、今重要なのは、面倒なく戻れること、だ。
相手から許しを得られるなら、其れに越した事は勿論ない
ただ、盗賊が後払いで良いのか、なぞと言う軽口は、忘れずに置くが)。
■アブド >
「生憎、生きるのにこういったコトしかしてこなかっただけだ」
赤い眼を閉じ、くるんと回した円刃を懐へと仕舞う
他に選べるモノがなかった、というコトモあったがそこまでは口にしない
「小さいよりは良い。踏み潰せそうなモノじゃロクな子種も吐けん」
明け透けに言葉を返すと、立ちはだかるような姿勢を半身に、近くの木へとその背を齎せて
「イーヴィア。ヴァルケス武具店、か。覚えておこう
……こんな場所で動物のようにヤる気もない」
片眼を開いて向け、軽口にはひらひらと手を振る
男の名乗りに対し、女は名乗らない。その首に賞金がかかっているのだろうから当然なのだろうが
「だがお前のことは利用させてもらう。
夜の王都でも盗みは働けそうだが潜む場所がない。
口の通る盗賊なら通じる貴族達もいるんだろうが生憎奴隷あがりばっかりでな」
つまり、王都で動く際に一時的に店を隠れ蓑にさせろと言っているのだ
■イーヴィア > 「……ウチにも、盗賊あがりの従業員は居るがよ。
ソイツは、他に選べる道も無かったって奴だった。
そういう意味じゃ、盗賊ってのも難儀なもんだ。」
(盗賊と言う立場を、蔑む事はしない。 かといって、過度に同情もしない。
理解はするが、人から奪う以上、結局は厄介な相手に違いはないのだから。
道を開ける様に、木へと凭れた相手を見ながら、僅か歩みを進める
相手の目の前を通り過ぎようとする辺りで一度足を止め、相手の姿を見下ろせば
提示された条件に、少しばかり考えた上で。)
「――――……なら、俺からも条件がある。
一度足を洗ってる、ウチの奴は引き抜くな。 ……それなら別に良い。
其れと、さっきの連中全員は無理だからな、ンな部屋は無い。 あくまで緊急避難って時だけにしろ。
んで、最後に…俺の店は中立だ、店内で騒ぎを起こすな。 勿論俺の店からも盗むな。
それなら、大目に見てやる。」
(―――今、この場を抜けるにあたっては、下手に出るべきなのやも知れぬ
けれど、女が求めたのが、自らの店に関わる事であるなら
譲歩できぬこともある、と、真顔で条件を提示した。
面倒臭さは、信念を安易に曲げる理由にはならない
けれど、元より斧が店は、そう言った後ろ暗い連中も平等に利用する
訪れる分には、賓客として対応してやる、と、そう告げて)。
■アブド >
「不要だ。そいつが望まなければ、だが」
特に人数に不足を感じているわけでもない
元々、鼻つまみものが適当に知り合って集まっただけの一党なのである
小規模、というほどでもないが規模を大きくしたいつもりもなかった
「…王都に大勢で押しかけたりすれば目立つだけだろう。
夜に眼の効く、私だけで行くさ。…心配するな、武具の類は足りてる。
金も、余計に欲しけりゃお前の持ち金をここで全部奪ってるさ」
この状況下、あえて真剣な態度で命令口調による提示をした鍛冶屋を一瞥する
交渉には真摯、それでいてその話は、女には十分な話でもある
「王族貴族に諂う店でもなさそうだ。…蓑にはちょうど良い。
……なら、お前の命の保証と、此処を無事に通れるようにしておいてやる」
たまたま通った、というのならここは採石などに使っている獣道のようなものなのだろう
自分がいない時も、部下が襲わないようにと保証すう
そういった旨の言葉を残して…
「……月のない夜にでもお邪魔しよう。壮健でいろ、イーヴィア」
風切音と共に、足音すら残さず女は森の闇へと駆け、消える
最後まで名乗ることこそなかったが、顔さえ覚えていたならば王都のギルドなどですぐに
そのアブド・アルという、それなりに高額の賞金のかかった盗賊の名は判るだろう
「…なかなか具合の良さそうなネズミだったぞ」
仲間と合流した盗賊女は少々、上機嫌だったという───
■イーヴィア > 「望まないさ、けど脛に傷は在る。
声を掛ければ、色々考えちまうかも知れないからな。」
(要らん事を気にする奴でも在るから、と
従業員を守る、其れは店主として当然の事だと、主張しておきながら
相手が条件を受け入れるなら、頷こう。
女単独の隠れ家にするならば、恐らくは手軽な宿にもなるだろう
貴族達は客でも在るが、媚び諂う立場でもない
其の為の、店内中立、なのだ。)
「そりゃ良い、いちいち関所みたいに襲われてちゃ適わないからな
次に会う時は、うちの店だろうが…、……まぁ、酒と食い物くらいは用意してやるさ。
其れまでは、精々生き帯びるこった。」
(あくまで、他の"賓客"と同じ様に。
そう告げては、木から背を離した相手を見る
森を駆ける事に関しては、間違い無く相手の方が一日の長が在るのだろう
別れを告げるや否や、瞬く間に木々の合間へ消えて行く其の姿を、暫し目で追いかけた後
――やれやれ、と、小さく零しては。)
「――――――……さて、随分遅れちまったな…。
夜明けまでに着けりゃ良いんだが…、……まぁ、何とかなるか。」
(安全を取り戻した夜道、もうすぐ夜が明ける頃合い
急がなければな、と、急ぐでも無く呟けば、再び歩き出す
――後日、きっと気まぐれに顔を出した冒険者ギルドで
賞金首の欄に、見覚えのある顔として、その名前を見つけるのだろう
もし、また会う事が在るなら。 其の時は、名を呼ぶ事も出来るだろうか――)。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアブドさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からイーヴィアさんが去りました。