2021/05/21 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にロクサーヌさんが現れました。
ロクサーヌ > 王都を日暮れ間近に発って、夕闇の中を駆ける一台の馬車。
黒々とした幌で、必要以上にぴったり覆われたその馬車の中に、
王都からの出奔をついに果たした小娘の姿はあった。

普通の乗合馬車である、と御者は請け合った。
コドモ料金だとか言って、料金は考えていたより安かったし、
馬車の中は想像していたよりゆったりしており、客は子供や女性が数人。
ほんのり香が焚かれているのには、さすがに少し首を捻ったが、
細かいことは気にするまい、と割り切った。

そうして、半時ほどが経った頃。
馬車の中は、先刻から焚き続けられている香の煙で翳むほど、
しかも、乗客は全員、深い眠りについていた。

明らかにおかしい、こんなに皆が皆、疲れていて眠ってしまう、
なんてことはないのでは、と思ったときには、既に遅く。
膝小僧をつねったり、頬っぺたを軽く叩いたり、
必死に起きていようと努力した小娘も、今は夢の中だ。
この夢が、どこへ続くものなのか。
良い夢にすり替わるとは、どうにも思えないけれど。

ロクサーヌ > 眠り込む乗客たちを乗せて、馬車は走る。
その行く先は深く、闇にのまれて見えなくなり―――――――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からロクサーヌさんが去りました。