2021/03/30 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にガラティアさんが現れました。
ガラティア > 日暮れ間近な街道筋に、暗く影を落とす大木の麓。
張り出した根に浅く腰掛け、揃えた両脚を投げ出して、
俯き加減に緩く目を伏せ、女はそっと、何度目かの溜息を吐いた。

裾の長い修道衣姿、頭部は半ば以上ヴェールに覆われており、
口許へ片手を宛がう、その顔はいささか蒼白い。
傍らに置いた鞄にもう一方の手を掛けて、己の足許を眺めつつ、
さて、これからどうしようかと、思案に暮れてまたひとつ、
深い溜め息を洩らして瞬いた。

「折角、旦那様が乗合馬車を、手配してくださいましたのに……
 こんなに長い時間乗るものだとは、思っておりませんでしたもの……」

つまりは乗り物酔いである、どうにもならないと途中で降りたが、
ここから先、王都へ向かう手段にあては無く。
歩くべきだろうか、それとも通りがかった人に助けを求めるべきか。
人見知りの己に、見知らぬ人へ声を掛ける、などということが出来るだろうか、
悩むのはそんなところである辺り、やはり、世間知らずの田舎者だった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にデロスさんが現れました。
デロス > デロスは王都へと向かう乗合馬車に乗り、自らの欲望を満たすための獲物を探そうとしていた。
しかし食指の動く相手はおらず、今日はこのまま収穫なしかと思っていたところ、気になるものが目に止まった。
本来なら王都まで停車することのない乗合馬車が歩みを止めたのである。

聞こえてくる話からするに、一人の婦人が下車しようとしているとのことだ。
修道衣に身を包んでいるためどういった体型なのかは分かりづらいが、ヴェールから垣間見える容貌は非常に整ったものがあった。
デロスは下卑た笑いを浮かべ、彼女の後に続くようにして乗合馬車を降りる。
その後、すぐに接近することはせず、遠目から修道女と思しき女を眺めて。

「突然お言葉をかける非礼をお許しください。
 どうにも顔色がよろしくないようですが……いかがされましたか」

大木の根に腰掛ける女にデロスは近づき、人の良さそうな笑みを浮かべて話しかける。
おそらく乗り物酔いでもしたのだろうとデロスは推測する。
修道女はろくに修道院をでないことが容易に想像され、乗り物に慣れていないのだろうと、
優しげに声をかけつつも、その眼差しは彼女の顔や衣の下に注がれていて。

ガラティア > 正直、降りる際には背後の様子を、気に留めるゆとりなど無かった。
誰かが後から降りてくるのにも気づかず、ふらふらと数歩歩いて、
手ごろな木陰に辿り着くや否や、崩れ落ちるように座り込んだのだ。
それからはずっと俯いていて、見られているとも知らず――――だから。

「え、――――― ぁ、えっ、あの………、」

本気で、びっくりした。
振り仰いだ顔は蒼褪めたまま、零れ落ちそうに双眸を見開いて、
口許に掌を宛がった姿勢もそのままに、咄嗟に言葉も返せず。
いつからそこに居たのだろう、どこから見られていたのだろう。
数秒間を空けて、目許に微か、羞恥ゆえの赤みが差した。

「い……え、あの、ええ、実は、……お恥ずかしい話、なのですが、
 その、………田舎者な、もので、……すこし、馬車に……」

相手の推測は当たっている、ただし、女の本当の身分は修道女ではない。
もっと恵まれた栄養状態で、すくすくと育まれた豊かな起伏を保つ肢体が、
修道衣の上からでも窺えるほど、明らかな曲線を描いており。
遠慮がちに微笑む表情にも、今のところ、相手を警戒している様子は無く。

デロス > 「なるほど、乗り物酔いでしたか。それはお辛い。
 いえ、このような場所で修道女が俯いているというのは、何かただならぬことがあったのではと思いまして。
 しばらく様子を伺っておりました非礼をお許しください」

女の話を聞いて同情するようにデロスは頷き、驚いた様子でこちらを見る彼女に対し、眺めていたことを謝罪する。
実際にはどのような方法でこの女を辱め、衣の下に隠れた四肢を弄ぼうかと下衆な考えを巡らせている。
修道衣に隠れてはいるものの、明らかにその体は女のそれである。それを確認し、男の中で劣情がうずまき始める。

「でしたらしばらく私の旅籠で休みはしませんか。
 ……ああ、失礼しました。申し遅れましたが、私はデロスという者で、王都で偃月亭という旅籠をやっておりましてね。
 ちょうどこの街道沿いにも旅籠の支店を出しておりましてね。今日はそこで店の番をしていたのですが、ちょうど貴方の姿をお見かけして。
 場所が場所だけに冒険者や旅人を主な顧客としておりますので、貴方のような修道女が泊まるような場所ではないかとは思いますが……もしよろしければご案内致しますよ。
 そこでお休みになるといい。神に祈りを捧げる修道女をお助けするのは当然のことですので」

あくまで善意の人物を装い、どす黒い欲望に満ちた心根を隠すように穏やかな笑みを浮かべ、修道衣の女に手を差し伸べる。
近くにちょうど支店があったのは事実だが、実際には彼女と同じ乗合馬車に同乗していたのである。
そんな事実を隠蔽して、たまたま彼女を見つけて声をかけたのだと告げる。
今はまだ実際に修道女だとデロスは思っている。本当の身分に築いた素振りを感じることはできないだろう。

ガラティア > 都会というのは恐ろしい所だと、幼い頃から聞かされていた。
王都には夫を陥れようとする程の、恐ろしい人が居るのだ、とも知っていた。
けれど、目の前の男性は、どうやら親切心で声を掛けてくれたらしい。
―――――世間知らずな田舎貴族の娘は、あっさりそう結論を出す。
顔色はまだ優れないながら、幾分、やわらかに表情を緩ませて。

「あ、ありがとうございます……見ず知らずのわたくしに、
 そんな、お気遣いくださるなんて……、
 デロスさま、……失礼いたしました、わたくし、は、」

そこで、はたと言葉に詰まる。
何と名乗るのが正解なのか、夫はとにかく、警戒しなさいと言ったけれども。
ほんの少し、迷うように視線を俯かせ、唇を軽く噛んでから、

「わたくし、ガラティア、とお呼びくださいませ。
 ――――…いえ、そこまでしていただく、のは、あの……でも、」

家名を名乗るよりは良かろうと、ファーストネームだけを。
相手の申し出は、こちらにとっても渡りに船ではある。
しかし、さすがに図々しいのでは――――――と、また、短い葛藤を経て。
口許に宛がっていた方の手を、そろり、差し伸べられた掌へ預けつつ、

「あの、……でしたら、ひと晩、だけ……、
 お部屋は、あの、一番、お安いところで結構です、から」

たった一人、慣れぬ土地で乗り物酔いと戦う心細さが、判断を鈍らせたか。
男の思惑に気づくこと無く、女はまんまと罠にかかり、自ら相手の領域へ入り込む愚を犯す。
鞄を携え、やや覚束ない足取りで、男の案内を受けようと――――――。

デロス > デロスは彼女の名乗りを受けて頷き、伸ばされた手を取って。

「承知しました、ガラティア様。それでは参りましょうか。
 街道沿いとは言え夜になると野盗や魔物も現れて危険も多いのでね。日が落ちる前に移動したほうがよさそうだ。
 何、気になさることはない。今日は客も少ないのでね。通常の料金で、良いお部屋を用意しますよ」

修道女にしては発育が豊かなように思われ、考えてみれば修道女が一人で乗合馬車に乗っているのも奇妙である。
無論その必要があれば修道女も乗るだろうが――その豊かな女の体の含めて、デロスは興味を抱く。
受け答えからしてもあまり人馴れもしておらず、辺境から来たというのは事実だろうも感じられ、この女に危険はないと判断した。
彼女の安全を気遣うような言葉を掛けるが、実際には野盗などにこの女を奪われないようにするために、自らの城ともいうべき場所に連れ込もうとしている。

優しげに声をかけるものの、ここにいては危険という事を匂わせて。
ごく自然な仕草で相手の腰を手をやり案内を始める。
乱暴なものではないが有無を言わせない強さがあり、腰に回していた手は徐々に下へと向かい、あろうことが衣越しに臀部をグッと掴んでしまう。
卑猥な手付きで手を上に引き上げ、衣の下の下着を上に引き上げるような動きを行う。
そんな非常識な事をしているにも関わらず、デロスは涼しい顔をしており悪びれた様子もなく、堂々とさえしている。
急いでいるためにわざわざこのような事をしているのだとでもいいたげに。

夜になると危ない、と急かすように早足で歩きながら、彼女が抵抗などしなければそのまま旅籠にたどり着くだろう。
そこは魔物よけの石造りの塀に囲まれた木造の旅籠で、デロスを見た雇われ門番二人は一礼を返す。
デロスが女を連れ込むのはそう珍しいことでもなく、門番たちも悪事に参加することも珍しくはない。
故に、彼らがガラティアを救おうとすることはなかった。

ガラティア > 「ええ、――――― え、夜盗……ま、魔物?」

男の手に委ねた白い手が、びくん、と小さく震えてしまう。
賊の類までは予想していたが、こんな街道沿いに、魔物まで現れるのだろうか。
男を見上げる眼差しが不安に揺らぎ、無意識に一歩、こちらからも距離を縮めた。
近づけば微かに漂うのは、修道女にはやや不似合いな、淡く上品な花の香り。
預けた掌も、指も、柔らかく、細く、労働とは無縁だと知れるだろう。

「いえ、本当に、お部屋は……わたくし、そんなに、持ち合わせも、
 ―――――― きゃ、……ぁ、あっ、も、申し訳、ありません、急ぎますわ、ね、」

腰を抱かれた程度ではさほどの動揺もみせないが、さすがに、
臀部を鷲掴みにするような手つきには、小さな悲鳴を上げてしまう。
けれど、その手が深く、下穿きを縒り上げるように食い込んだので、
こちらの歩みが遅いのを、遠回しに危険だと諭されたのだ、と誤解する。
あたふたと謝罪の言葉すら投げ掛けて、宵闇迫る道を辿る歩調を速め。

石造りの塀に囲まれたそこは、少なくとも、立派でまともな旅籠に見えた。
門番が居ることも、女にとっては安心材料にこそなれ、
警戒を抱く要素にはなり得ない。
彼らの視線がほんの少しねちっこく、こちらに向いた気もしたが、
――――――田舎者が珍しいのだろう、そんな風に思うだけで。
女が危険を回避するチャンスは、そうして、女自身の歩みによって喪われた。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からデロスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からガラティアさんが去りました。