2021/02/19 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にナランさんが現れました。
■ナラン > 細い月が微かな月光を落とす夜。
風も無いその日は穏やかに暮れたけれども、陽が沈んでから空気はしんしんと冷えていく。
空には細い月を助けるように星々が瞬いて、左右に草原がひらけた街道を一人行く旅人の歩調も迷いがない。
「…――――」
ふと足を止めて、ほう、と吐息を空に向かってそっとこぼす。
少し白くけぶって闇に溶けていくのを、鳶色の瞳を細めて眺めて、旅人 ――――少し凝った刺繍の施された衣装の女は口元を綻ばせる。
昼間に王都で用事を済ませた後、ねぐらである自然地帯の森へと向かう途中。
久しぶりの街だったから、ついついいろんな店を覗いてしまって、すっかり遅くなってしまった。
それでも開けた場所で、ぴりっとした空気の中見上げる満天の星はその心を慰めるのに必要十分で、再び踏み出した歩調は急ぐともなく、鈍るでもなく。
背負った長弓を揺らし、密かに故郷の歌を口ずさみながら、女はひとり街道を歩いて行く。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 冬ともなれば、風がなくとも冷え込む。
天は高く、星も美しいが、野営をするものとしてはあまり喜ばしいことではない。
とはいえ、おこされた火にあたり、スープを啜っていれば、寒さも和らぐ。
街道を少し外れた場所、煌々と焚き火をともしテントを張り
野営をする冒険者。
街道そばであればいくらか安全とはいえ一人であれば危険であろう。
だが、仲間がいる様子もなく一人で食事にありついていた。
そして、遠くに人影が見えれば、少し訝しむ。
一人で歩く女の姿。
「おーい、アンタ。一人か?
女の独り歩きはあぶねーぞ」
少しおせっかいかも知れないが、ひと声かけてみた。
■ナラン > 路からそう遠くはない場所に灯り。
誰か、王都へ帰りそびれた冒険者が野営をしているのかもしれない。
こんな夜中に独り行く者に声をかけるものもいまい。
立ち昇っている炊煙も風景の一部として横目で眺めて通り過ぎようとして―――掛けられた揶揄でもない声につい、脚が止まる。
「―――わたし、ですか?」
振りむいて声を零すけれども、この距離ではそれも届くまい。
かといって大声で叫べば、他の何かも呼ぶかもしれず…
女は辺りを見回してから、その野営の灯りへと、街道を外れて足を踏み出す。
慎重に、気配を探りながら。
「…こんばんは。
―――大丈夫です。この、すぐ先が、住処なので…」
女は少し硬い表情でそういった後、貴方こそ?と少し首を傾げる。
ぱっと見、年端もいかない少年、のように見える。
ミレー族にはあまり馴染みが無いけれども、年の取り方はそうそう人とかけ離れたものでもないだろう。
■ブレイド > 声をかければ人影は足を止めて、周囲を見回した後に歩み寄ってくる。
自分が声をかけられたとは一瞬思わなかったようだ。
しかし、こんなところを一人で歩くものなどそうはいない。
日が沈んでそれなりに時間も過ぎようというのだから。
自分のような冒険者であっても夜間行軍などよほどでなければしない。
律儀に挨拶を返す女の姿。
狩人か何かか…背中に弓を背負っているが
その服は見慣れないもの。どこかの旅人か何かだろうか?
「こんばんは
ああ、そうだったか。わりぃな…余計な世話だったか」
すぐ先に住んでいると聞けば、少しバツが悪そうな表情で返事を返す。
とはいえ、この先には森くらいしかないが…森で暮らしているのだろうか?
■ナラン > 「いえ…気を遣わせてすみません」
謝罪の言葉を紡ぐ、どうやら食事中らしい相手にすこし眦を弱めてかぶりを振る。
心配をしてくれた相手がバツの悪そうな顔をするのは、こちらが悪い事をしてしまった気がして…傾げた首を戻すと、ぎこちなく口元に笑みを浮かべる。
「前にも不思議がられましたし…
声を掛けてもらうのは、嬉しいです。
…森は静かなので
この辺りは、森で暮らすのは、可笑しいんですか?
わたしには、貴方のような…子が、独りで旅をしているほうが心配ですけれど」
言葉の後半、相手を侮っているわけではないのを示すように
心底の心配と戸惑いを視線に乗せて問いかける。
■ブレイド > 「いいさ、こっちが勝手におせっかいしただけの話だ
気にすんなよ」
丁寧な謝罪に、笑ってひらひらと手をふる。
笑顔になれてないのか、表情がややぎこちない女性。
その口元、少しばかり違和感を感じる。八重歯か?
「まぁ、賊とか魔物とかな。
女が一人暮らしするにゃ不便かもなって思ったんだが
これまで暮らしてきたってならそうでもねぇみてえだな。
オレは…ぁー…一応18だし、そこまでガキってわけでもねぇつもりなんだが…
そんなにガキに見えるか?」
貴方のような子…などと言われると
不満、とは言わないものの、彼女にはそこまで幼くみられているのかと眉根を寄せる。
確かに身長はあまり高くない方ではあるが
顔の方も幼くみられているのだろうか?自分ではよくわからない。
■ナラン > 気にするな、という相手の言にすこしほっとした様にも笑う。
ゆらゆらと揺れる野営の灯りに、女の口元の牙は多少異様にも見えたろうか。
相手の視線に気づくと、すこしまた、表情を硬くして。
「…慣れると、それほどでも。
賊が潜むには不便な場所を選んでるんです。魔物なら、習性をしればそれほど怖くはないですから。
…18、でしたか」
軽く瞳を見開くとすみません、と言葉を付け足す。
「てっきり、14か、そこ辺りかと…
お独りで行動するのも、慣れているんですね?」
言いながら彼の装備と野営の備品を見る。
使い古されたものと見れば、感心したように彼に視線を戻すだろう。
とりもなおさず、相手を幼く見てしまっている事にはなるけれど。