2020/12/20 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にジェイクさんが現れました。
■ジェイク > 王都から離れる事、半日。昼下がりの近隣の村落に通じる街道。
普段から人の往来が多い、その道を遮るように柵が設けられ、
道の脇には幾つかの天幕が建てられ、簡易的な陣営の趣きを為していた。
街路に立ち、通行する馬車や通行人を差し止め、積み荷や身分の検査を行なっているのは、王都の兵士達。
曰く、此処最近、山賊や盗賊の類が近隣に出没するために検問を敷いているという名目であるが、
実際の所は隊商からは通行税をせしめ、見目の良い女がいれば取り調べの名を借りて、
天幕でしっぽりとお楽しみという不良兵士達の憂さ晴らしと私腹を凝らすための手段に他ならなかった。
「――――よし。次の奴、こっちに来い。」
でっぷりと肥った商人から受け取った賄賂を懐に入れて、彼の率いる隊商を通せば、
列をなしている次の通行人に声を掛けて近寄るように告げるのは一人の兵士。
何よりも厄介なのは、彼らが紛れもない王国の兵士であり、市井の民が逆らえない事だ。
そして、その事を理解している兵士達は、御国の為ではなく利己的に国民を食い物にしている最低最悪な屑揃いであった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にティカさんが現れました。
■ティカ > 「こんなん前までしてなかったじゃねぇか。なんなんだよもう面倒臭ぇな!」
ぶすむくれた気配を隠しもせず、気の強そうな紅色の猫目で検問役らしき兵士を睨みつけるのは、背丈だけで見れば10を越えたばかりと思しき、それでいて女らしく悩ましい曲線をコンパクトに凝縮した小躯だ。むっちむちという程に豊満ではないがむちっとした印象の小娘である。
狼の毛皮をマントがわりに羽織り、格子状の編み模様の目につくキルトアーマーとボアの物と思しき硬革のアームガードでその身を鎧い、括れた腰に巻いた太皮のベルトから下げた長剣で武装した冒険者と思しき姿。
しかし、街娘よりは鍛えられているようだが、見る者が見れば腕の細さや歩く際に見せる体重移動の杜撰さなどから大した腕前でない事は一目瞭然。
それこそ、腰の長剣を振るにしても武器に振り回されるレベルの素人と大差のない腕前だと気付いてしまうだろう。
■ジェイク > 商人からの賄賂を懐に収めた後、次いで列に並んできたのは小柄な娘。
その小柄な肉体を鎧に包み込み、腰に長剣を佩いている事から、冒険者なのであろう。
此方を睥睨する女の視線を受け止めながら、兵士は舌打ちを一つ零して、
「ちっ、冒険者風情が……、喚かずにさっさと荷物を見せろ。
お前らみたいな連中が余計な厄介事を持ち込まなければ検問なんて必要ないんだ」
そもそもが、見せ掛けの検問で大義名分はあるものの実態はなしに等しい。
商人達から通行料をせしめて、女達の身体をつまみ食いする為だけの検問。
彼女のような厄介事を持ち込みそうな輩に対しては早々にお引き取り願うのが筋であり、
そそくさと荷物を適当に検分すれば、顎をしゃくって出口の方を示して見せて、
「そら、行って良いぞ。そんな身体でまともに剣が振れるのかねぇ。――――次、」
彼女に先を促すようにその肉付きの良い尻を軽く叩いて検問から追い出せば、
行列に並んでいる次の人間へと声を掛ける。
より獲易い獲物を求めての兵士達の蛮行はいまだ留まる事を知らず――――。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からジェイクさんが去りました。
■ティカ > 「―――るせぇよ。厄介ごと引き起こすのは兵士のなりして山賊みてぇな真似ばっかしてるお前みたいな連中の方だろ」
口の悪さを繕う事なく吐き捨てつつも、ティカとて別に騒動を引き起こしたい訳ではない。言われるままに背負い袋の口を開け、不良兵士が満足するまで荷物の中身を漁らせる。
貨幣を始めとした貴重品はチュニック型のキルトアーマーの前垂れの内側に隠してあるので、背負い袋に入っているのは雑多な冒険道具くらい。
それでも下着を含んだ最低限の着替えを名も知らぬ異性に弄ばれるのは恥ずかしいらしく、膨れっ面に怒り以外の朱を滲ませて眉根の皴を深くした。
意外にも不良兵士の検問はあっさりとティカを開放したが
「―――ひぁっ!? て、てめぇ、どさくさにまぎれて何してやがるっ! くっそ……覚えてやがれっ!」
別れの際にキルトアーマーの短裾越しにもはっきりと膨らんだ尻の丸みをはたかれて、飛び上がった小躯が牙剥く仔犬の様にぎゃんぎゃんと吠えた。
とはいえ男が興味を失ったとばかりにその黒眼を次の旅人に向けたなら、舌打ち一つ漏らしながら踵を返し、こちらもまた本来の目的に向かって旅を再開するのだった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からティカさんが去りました。