2020/12/09 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアストールさんが現れました。
■アストール > 月明かりも見え隠れする、少々雲も流れる深夜の街道。
すっかり夜も深い時間となれば、吹き抜ける風もいつも以上に肌寒く。
行き交う人々も少なく、静まり返っているようである。
街道から大きく外れることがなければ、魔物に出会うことはあまりない。
そうはいっても、深夜に道から外れることはもちろん、わざわざ用もなく街道を不用心に歩き回るなんてことは、ないのは当然なのかもしれないが。
人気の街道の中ほど、少しそれた草原の中で、月明かりを浴びて静かにたたずむ人影は一人。
よく見れば周りに倒れている人々が何人か確認できるものの、動じずに静かに立っている女は、かえってその存在感を際立たせているだろう。
「襲ってきたのは貴女方なんですから…恨まないで頂戴ね」
気ままに人を襲うことはあっても、それは積極的に命を狙ってのことではないのである。
あくまで雌としての快楽の、悦楽の渦に包み込んで、堕落せしめるのが目的であり。
魔族ということだけで、いきなり襲ってこられたりすれば、当然女だって女なりの手段をもって、当然火の粉を振り払うのだ。
辺りに転がっている人々は、よく見ればそこそこちゃんと装備を整えており。
ちょっとした冒険者か何かといったところであることが伺えるが。
その全員が女、否、転がっている衣服を見れば男物もあるのだから、女になっており。
倒れたまま零れているうめき声を聞けば、一様にして快楽に喘いでいる、なんてことがさらにしっかりと見れば見て取れてしまうだろう。
「さて…ほかに…誰かまだいるかしらね…」
襲ってきた相手は、皆それなりに女の然るべき手段で無力化したのだろう。
他に潜んでいる者や、覗いている者、そんな者たちがいないかと伺うように、静かに耳を澄まし。
女はそのルビーのような瞳と、白と黒が反転した目を持って見渡していく。
近くに隠れている者がいれば当然、女は闇にその身を紛れ込ませるようにして近づき。
幻惑の霧で出れぬ迷路を作りながら、その中へと取り込み。
まずは何はともあれ、捕獲するように行動をする様子を見せるだろうが。
■アストール > 「これで終わりみたいね…」
しばらく辺りを探っていたものの、仲間らしきものや、事態を目撃してしまった不幸は人といったものは、いなかった様だ。
少しだけ残念そうに見える声色で、女はそうぽつりと零すと、静かにまた闇に溶けるように姿を消していくことになり。
霧の幻覚を流用するようにして、その場から消えてしまえば、後に残るのは返り討ちにあった者たちだけである。
静けさが戻り切った中、返り討ちにあった者たちだけの、喘ぎにも近いうめき声だけが、その場には響き続けることになった様だ。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアストールさんが去りました。