2020/10/01 のログ
メイラ・ダンタリオ > 季節も冷えてきた頃
遊び好きな貴族令嬢と言えど、素肌を晒す所も少なくなった

黒染めの姿はそのロングスカートにのみ、繊細な唐草模様の白抜きが片側に映えている
両手のみとブーツを覆う黒鉄の装甲
片手には身幅の広い、黒錆で覆われたような歪な大剣

「良い空気が流れていますわね、夜風が涼しいこと。」

冷えてきた空気の質を感じながら、長い黒髪が風で流れていく。
王都内ではなく、戦場でもなく、こんな街道でまるで散歩気分で夜の道を歩く
もう馬車すら通っていない いるとすれば潜む者か 魔物かだろうか?
夜の街道とは危ういものだった

火明かりでも手元に持っていれば、それこそ襲ってくれと言わんばかりな場面に見える
逆に、メイラはそんな場面でも構わないかのように、風が収まればまた歩き始める
片手でそれほど重く感じることなく肩に担いで運ぶ大剣を手にするまま、空は月が薄い雲に覆われてぼんやりとしたシルエットだ

それを見上げる口元は三日月型に笑み、精巧に整ったギザ歯が綺麗にジグザグを描いている
赤い瞳は眠気どころか、気に満ちた溌剌としたもの。
闘争か性欲か どちらかを満たすまでは帰るつもりもないケダモノの目だ。

「月がない夜は気をつけろ、とかよくチンピラの台詞ででてましわね。
 毟ろ存分に味わいたいものですわ。」

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアリエルさんが現れました。
アリエル > ふらりふらりと夜の街道を歩く影が一つ。
朧月の光に銀に輝く少女は、明かり一つ持っていないがそれでも若干目立っているだろう。

アリエル・ウォールウェンは、街道を行き、王都からダイアスを目指していた。
夜に移動するのは単に気分である。
夜の道は危ないが、それでもふらふら歩く程度には、腕に自信があった。

そうして歩いていくと、物陰に何か気配がある…… 気がする。
単に気がするだけである。
よくわからないので、そのまままっすぐ進んでいくだろう。

一応そちらに警戒しつつも、必ずしも気づいているそぶりも見せはしない。
よくわからないし、その程度の警戒だった。

メイラ・ダンタリオ > 治安は決してどこもいいとは言えない
地獄と聞こえるバフートやダイラスの大街に比べれば王都は騎士が腐っている程度だろう
裏路地に行けばそれこそトイレという言葉を知らないような場末さえあるかもしれない

然し、ならこの街道はむしろ自然なのではないだろうかと、メイラは思った
獣の魔物も、盗賊も、当たり前のように存在していそうな場所
街道の中心を歩き、散歩気分が続く中で、前方に人影発見

「あら、物好きもいたものですわね。」

一人夜道を散歩している者が他にもいたのかと思うと、その小柄な身体 銀鉄色のシルエット
朧な月しかない中でもぼんやり見えたことで一瞬顔を顰める

「……は?」

いや、そんなはずがない
メイラは一瞬頭に手を添え、左右へ振るう
相手があの将軍だとするのなら、それこそメイラのような戦場のみにしか用がないような自由人とは違う
しかし逆にあの将軍ならここにいてもおかしくはない
そんな現実感があった。

―――あの将軍何処向かってるんですの?馬も無し?
―――わたくしこんな出逢い想像してませんわよ。

心中は、近くで物騒事なら参加もいいと思ったものの、顎に手を添えて悩ましくする。
将軍と戦場狂いならば当然顔見知りでもあり、取りあえず歩みを止めた。

気づかれたら案件を伺ってどうするか決めよう
そうしましょう、と一人頷いて。

アリエル > 「…… むむ、こんばんは?」

どうも気配がつかみにくいが、知っている気配な気がするので声をかけてみた。

メイラとは知り合いであった。
男の時代は謎にバトルしたりして、武を競ったりした相手だ。
どちらかというと仲が良かった部類に入るとアリエルは思っている。
しかし、女になってからはあまり出会うこともなく、若干疎遠になっていた。
雌としてすることが多くなり、戦場から遠ざかっていたのも一つの理由だろう。

ここを歩いているのは、あまり理由はない。小柄になって足が早くなったのもあり、
馬を使うより小回りが利くので、馬を使わなくなったのが一つ。
あとは勘であった。何か面白いことに出会えそうという勘が働いただけであった。

そういったものもいろいろ混ざり、普段ならあまり気づきにくかった気配に気づいたのだろう。

メイラ・ダンタリオ > 暗い夜空と雲で遮られた月明り
火明かりもないままに、唐突に後ろを振り返り気づかれた。
ギザ歯の口元をへの字にしてみせ、瞳を細める

「あら、ごきげんよう 将軍。
 ふむ……気づかれましたわね。」

傍から見ればどう見えるだろうか
性転換し、且つ実績と肉欲に塗れた軍を抱える将軍に
背後から大剣を背負いながら街道で後ろを歩いていた構図の戦争狂い

他人から見られても痛くも痒くもないものの、嘗て男の時は王都内の訓練場では鍔競りあった知己
単に戦争狂いが闘争を求めて絡むことが多かっただけかもしれないがら、知らない仲では当然なかった

こうなったら、メイラも立ち止まるのもばかばかしいとズカズカ歩みを強く踏みしめ、目の前に。
見下ろす位置は赤い瞳が相変わらずも濡れ光り、肩に大剣を背負うまま。
黒く長い髪とスカートの端が夜風で揺らめいている。

「こんな夜更けにどこに行くおつもりですの?」

相手が将軍であろうとも、その頭は垂れることはない
忠誠は王にのみ 他は同等かそれ以下でしかない
例え、それが将軍であったとしてもだ。

狂人らしく、そんな無礼働きにも平然とした態度で。

アリエル > 「こんばんは、メイラ嬢。ダイアスに帰ろうと思ってね」

元平民なアリエルにとって相手はお貴族様だが、
平民のころからこんな口の利き方だった。

「それにしても、今日もきれいだねぇ」

ニヤッと笑いながら若干揶揄うようにそんなことを言う。
現に外見は非常に好みだった。
ただ、どうも応じてくれなかったので男時代は縁がなかった。

「君こそ、こんなところで何をしてたんだい?」

そんなことを尋ねるだろう。

そんなことを話しながら、二人は闇の中へと歩いて消えていく。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアリエルさんが去りました。