2020/07/28 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 少女の呟き…その小さな声にまるでかぶさるように
藪をかき分けるような音がする。
そしてその後に続くのはゆっくりとした足跡。

草を踏み、枝を踏み、たまに立ち止まり。
しばらくすれば明かりも見えてくるだろう。
それに照らされた、フードの男のシルエットも。

その影は少女のテントを見つければ、歩み寄ってくるだろう。

エレミヤ > がさり、と音がした。
ビクッと分かりやすく体が跳ね、手に持った杖をぎゅう、と握り締めて音のする方向へと視線を向ける。

「ひえ…。」

喉から絞り出された情けない声は相手に届いているのかいないのか。
少しだけ不規則な足音は徐々にこちらの方へと近づいている。気がする。
何か起こっても大丈夫なように、頭の中で防護壁を展開させるための術式を組み立てていれば、やがて茂みの中から現れたシルエットにぶるりと体が震え。

「…………。」

余りの恐怖に防護壁を展開することも忘れてじっと相手を見つめてしまう始末であった。

ブレイド > フードの奥。
金色の瞳が少女の姿を確認すれば、少し歩調を速めて歩みやってくる。
恐怖していることに気づいているのか否かといった風情だが
逃げることもできなければすぐに眼前
少女を見下ろすフードの人影。

「おい」

すこしだけ低めの声。

「このへん、つかっていいか?」

言葉少ないが、自分もこのへんで野営をしていいかと
少女に声をかけたのだ。

エレミヤ > 「はっ、はい!」

声をかけられ、弾かれたように返事をする。
いきなり攻撃を仕掛けられる、と言う事はなかったけれど、
一体何の用だろうか、と杖を握る力が更に増し。

「………へ…?」

続けられたのは短い言葉で。
恐怖と緊張に満ちていた顔が、きょとん、と間の抜けた物へ。
数秒、意味を頭の中で反芻すれば勢いよく頭を上下に振った。

「ど、どうぞ…っ、あの、はい、…大丈夫です!」

ブレイド > 「ああ、わりぃな」

少し砕けた言葉。
少女の返事にうなずいてから返して
少女のテントから少し離れた場所で野営の準備を始める。
手慣れた様子であり、テントをすぐに設営してしまえば
短時間で彼女と似たような野営地の完成だ。

「どうせ野営するならまとまってたほうが安全だろ。
と、オレは強盗やらなんやらじゃねぇから安心しな」

食事の準備を進めつつ、少女に声をかける。

エレミヤ > どうやら野営地を探していただけらしい。
そうと分かれば無駄に入っていた体の力も抜けると言うもので。
手際よくテントが設営されていく様を感心した様子で眺めつつ、

「え、あ、全然、そんな風に思って…思って……今は、ないです…ハイ。」

さっきまでの自分のビビリ様を思い起こし、声が段々と小さくなっていく。
最終的には弱弱しい声で今は、と付け足した。
そうこうしている間にも、相手は食事の準備まで始めるものだから、
己も慌てて食事の準備に取り掛かり。

ブレイド > 今はない。
つまりさっきまではそう思っていたということだろう。
まぁ、無理もない。
気を悪くした様子も見せず、むしろ軽く笑って

「ははっ、まぁしかたねぇさ。
こんな夜にいきなり話しかけられたらビビっちまうだろ。
むしろ悪かったな」

芋とベーコンと調味料を合わせて炒める。
少女の様子を見れば…どうやら野営にはあまり慣れていないように見えるが…

「ま、場所借りて礼もなしってのもあれだな。
あんた、ベーコン使うか?」

などと、見た目に反して気さくに話しかけるフードの男。

エレミヤ > 言わなくても良い事を馬鹿正直に伝えたにも関わらず、
怒るでもなく軽快な調子で返してくれる相手に、じぃん、と胸が温かくなる。
や、優しい。

「あの、えっと、ちょっと一人で心細かったので…、過剰に反応してしまって、すみません…!」

勢いよく腰を折って頭を下げつつ、少女自身も料理を進める。
と、言ってもメインは出立前に包んだサンドイッチなのでスープを温める程度だが。
相手の申し出にはフードの下、大きく目を見開き。

「えっ!? ぁ、…あの……あ、ありがとうございます。」

良い人だ!!!!
覗く顔が満面の笑みに崩れた。
ありがたくベーコンを頂戴し――

「良かったら、なんですけど…スープ飲みませんか?」

ブレイド > 少女一人での野営ではそれも仕方ないことだ。
魔物よけは貼ってあるようには見えるが
それも人間やそれらに近いものには通用しない。
街道近くとはいえ、賊が居ないとも限らない場所での野営。
心細さはちょっとどころではなかったのではないだろうか。

「気にすんなって。
オレだってこんなあやしいフードの男が寄ってきたら警戒するぜ。
まず近寄るなっていうくらいにゃぁな」

少女の方へと歩み寄り、ベーコンの塊を差し出す。
地理的に明日には王都へと到着できる。
惜しむ必要はないだろう。

「礼のつもりだったんだが…わりぃな。
んじゃ、オレのも食え。一緒にくおうぜ。
っと、オレはブレイド。冒険者だ」

少女に名前を明かし、フライパンごと少女の方へともって来れば
彼女と焚き火を囲むように腰を下ろして。

エレミヤ > 普段はよく依頼を共にするメンバーと野営をするか、
そもそも夜間に野営をする事になる日程を組まないのだ。
下手をすれば、恐怖と緊張で日が昇るまで寝れなかった可能性すらある。
彼の言葉に、警戒する事自体は間違っていなかったのだな、と
人心地付きつつベーコンをしっかりと受け取って。

「えっ、えっ、…わ、…豪華なご飯になっちゃった…。
―――あっ! えれみや、…えっと、エレミヤ、と言います…っ!」

まさか野営食がこんなに豪華になるとは。
この際、量は多くないがサンドイッチも分けてしまえれば
お互い良い食事が出来そうだ。そうしよう。
少しばかり回転のゆっくりした思考で、漸く自身も名乗りを上げる。
よろしくお願いします、と一言添えて頭を垂れた。

それから、受け取ったベーコンを風の魔導式を展開させ、
程良いサイズにカットして一人分にしては少し多めのスープに投入。

ブレイド > 「エレミヤね。
あんたも冒険者かなんかか?商人とかにゃ見えねぇが
それにしたって女一人で野営なんてよ」

侮っているわけではないが
こういうところで女が一人となると
野盗などからしてみれば恰好のカモなわけだ。
さっきの怯えた様子では、いかに実力者といえど
数人に囲まれてしまえば威圧され、十全に力を出すこともできないだろう。

フードの中身の彼女の顔は幼気な印象に思える。
不慣れな様子からも、少しばかり心配になるものだ。

「ふーん、あんた魔術師かなんかか?」

フライパンの中身を木皿に移し少女の方へ。

エレミヤ > 「まだまだ半人前ですけれど。
本当は、陽が落ちる前には王都に着いている予定だったんです。」

冒険者としても、魔導士としても。
素養はあってもそれを活かす能力がまだまだ未熟なのである。
故に、見通しの甘さもこう言った時に出てしまうのだろう。
先までの満面の笑みは刹那の内にしょんぼりとしたものへと変わって。

「はい! えっと、まだまだ未熟ですが、一応っ!
ブレイドさんは……ううん? 剣士さん、ですか?」

未熟だと宣う癖に、力説。
そうしてあてずっぽうに彼の得手武器を言ってみる。どうだろう。
ぺこ、と頭を垂れて木皿を受け取りつつ、ベーコンが増えた
スープをコトコトと煮込んで行き。

ブレイド > 「まー予定なんてなそういうもんだ。
オレだって予定より遅れるなんてことはままあるしな。
依頼の期限に遅れなきゃそれでいいんだよ」

とは言うものの、食事や水といった問題もあるだろう。
だが、予定通りにいかないというもの事実。
その点少女は、予定外の野営に耐える備えをしている。
落ち込んでるように見えるが、新人だと言うならよくやってる方だろう。

「オレはそうだな…そんなとこだ。
付与魔術…んー…魔術っていうかはよくわかんねぇが
そういうのも使うけどな」

さっき素早く火起こしできたのもこのおかげだ。
小さな短剣を取り出すと、その刃に炎を付与して見せて。
詠唱などは使わず、イメージにより魔力を変質させているので
厳密に魔術というのかあやしいが…

「未熟って言っても一人で依頼こなせはするんだろ?
大したもんじゃねーか」

パンを引きちぎりつつ食事をはじめて。

エレミヤ > 確かに、依頼自体は既に完了しているし、急ぎの依頼ではあるが、
報告の期限も過ぎてはいない。
予定外の野営となったが、念の為の備えは常にしている。
励ましの言葉に、しょんぼりとしていた顔もやや上向きに。
次はもっと段取り良く出来るようにしよう。

「付与魔術…ブレイドさんすごいです…!」

彼の言い様では、厳密には違うのかもしれないが
それはそれとして異なる技術を用いる相手に感嘆の声が上がる。
刃の上を踊る炎を見れば興奮に瞳も煌めくと言うもので。

「ぅ、そ、そうですかね…?」

褒められ慣れていないが故、照れにじわりと顔が熱くなる。
誤魔化すように自身の頬を手で擦り――湯気の立ち昇る
鍋の中へと視線を落とし、気泡が幾度か弾けるのを見届けて。
暫し、ベーコンとスープが馴染む程度に煮込めば
木の椀へと移して相手へと差し出して。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にブレイドさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にブレイドさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 「それはそれとして…
一人でいるってなら急ぐに越したことはねぇけどな。
さっきも言ったみてーに女一人じゃ街道付近でもあぶねーぜ?
みたところまだ子供だろうが…それでもそういうのが好みだってやつはいるだろうしな」

女性にはそういう危険もある。
男は殺されて終わりだろうが、女はそうはいかない。
それを思えば、少女のように未熟な冒険者が一人で野営というのは危険。
それは変わりない。
厳しく言うつもりはないし、予定通りにいかないのも仕方がないが
今後はもうちょっと身を守る手段を考えたほうがいいと助言をする。

「大したもんじゃ…ねえのかどうかもわかんねぇけどな。
ちょっと魔族に教わったもんで、ほとんど我流だ。
あんたも日常で魔術が使えるんだから、結構やると思うぜ?」

未熟なところはあるが、それはそれとして
光るところは確実にあるように思える。

「ま、くおうぜ。ありがとよ」

受け取ってスープを一口。
味わってから、ほほえみ、うなずいて見せて。

エレミヤ > 「確かに…そう、ですよね…。」

助言には素直に頷き、次に一人で依頼を受ける際の
対処方法も考えなければ、とすべき事を頭に刻む。
後半の言には、一瞬、何を言われたのか分からずきょとんとした顔を晒した。
数秒の間を開け、赤くなればいいのか青くなればいいのか、器用な顔色を露呈する。
自分で言っていて悲しくなるが、こんなちんちくりんでも危険は危険なのだ、
と以前とは違って理解しているのだ。

「我流でそこまで出来るならなおさらじゃないですか!」

お椀を持っていなければ盛大に拍手を送っていただろう。
興奮冷めやらずと言った様子。声も少々張ってしまった。
慌てて口を閉ざした後、周囲をきょろきょろと見渡し気配を探る。セーフ。
自分の分もお椀によそえば鍋はすっかり空になった。

「………、」

どきどきしながら相手の様子を伺い見る。
どうやら味に問題は無かったようだ。
ほっと一息吐けば自分もスープを飲み、食事の開始である。

ブレイド > 少女の顔色を見れば、少し不味ったという表情。

「わりぃな。脅しすぎたか。
けどまぁ…捕まっちまえばそうなるのは目に見えてる。
今回は縁もある。
せっかくだし、王都に帰り着くまでは付き合うぜ?
もちろん、エレミヤが良けりゃだがな」

初対面の男。
フードをかぶったあやしい冒険者。
警戒されても仕方がないが、少女の方はあまりそうは考えていないようだ。
警戒心が薄い…といってしまえばそれまでだが
こちらも騙す意思はない。

「おいおい、おちつけって…ま、褒めてくれるのはありがてーけどよ。
まーそうだな…ちょっと結界石でもそこらに置いとくか」

立ち上がって二人のテントの周辺に、魔道具店で買った石を配置していく。
これで多少の襲撃はやりすごせるはずだ。

「どうした?だまって。緊張してんのか?
別におまえをとってくおうなんざ思っちゃいねーから楽にしろよな」

エレミヤ > 「え……い、いいんですか…?」

顔色はやや悪い儘ではあるものの、相手の申し出に
不安が滲んだ表情が救いを見つけたそれになる。
確かに出合い頭の印象は心細さもあって、決して良いとは言い難い。
然し、自身を陥れようとしている人間は丁寧に気を付けろとは促さないだろう。
元より他者に対する警戒心が薄いと言うのもあるけれど。

「あわわわ…何から何まで…! ありがとうございます…っ」

本来であれば純然たる魔導士である自身が寝ている間も
防御壁を展開出来れば良いのだろうが、そこまでの技術はまだ無い。
次いだ言葉にはふるふると頭を左右に揺らし、

「いえ、あの、スープが不味くなくって良かったな、って…。」

そう思って気が抜けていただけであった。
良かったらこれも食べて下さいね、とサンドイッチも木皿に並べて。

ブレイド > 「いいよ。
オレだって一人よりは二人のほうが心強えしな。
なんかあったとしても、魔術師だってならオレが前に出てフォローもできる」

予想外の出会いであったし、驚かせてしまった感は否めないが
それでも素直に礼を良い頭を下げる少女。
少しばかり素直過ぎる辺りが心配ではある。
しかし、彼女に言うように、二人であれば危険は減る。

「場所の礼にベーコンをと思ったんだが、メシももらっちゃな。
これくらいは奢らせてくれよ」

石の設置を終えれば彼女のもとへ戻ってくる。
差し出されたサンドイッチも手にとって

「いちおう、防壁ははったけどな…
しばらくは見張っとくんで先に寝ていいからな。
寝てる間になにかされるか心配かもしれねぇが…」

少し冗談めかしつつも、信用してくれと笑って。

エレミヤ > 「わっ、私も…! あの、攻撃は苦手ですけど、補助や防御は任せて下さい…!」

援護であれば胸を張って任せろ、と言えるのだ。
初めて会ったばかりの相手にこんなにも心配して
貰っているとは気付かぬ儘、ふんす、と鼻息荒く自信満々である。

「あああ…そんなつもりはなかったんですけれどっ!
でも、…はい、ありがとうございます。」

場所はまだしも、ご飯は己がしたくてした事である。
焦った調子で言葉を紡ぐものの、有難い事に違いはないのだ。
気の抜けた笑みを零しつつ、

「そっ!? そんな心配してないですよお…!」

何てこと言うんですか、と表情が変わる。
然しながら、依頼を熟してから予期せぬ出来事を
解決し、テントを設営するまで殆ど休みなく
来たものだから疲れているのも事実で。
最終的には「お言葉に甘えて先に休みますね」と
テントの中へと潜って十数秒後には就寝するのだろう。

翌朝、快眠を経て元気溌剌な様子で相手と共に王都への帰途に就くことと――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエレミヤさんが去りました。