2020/06/18 のログ
エゼル > 上げる速度は、ほんの僅か──でなくては、周囲の景色が見えなくなってしまうから。
早く走ればそれだけ早く目的地にたどり着ける仕事だが、今の仕事に就くより前に、それこそ物心つく前に得た教訓がある。
早く走ると、転ぶ……と云う事。
単純なだけに、真理の一端を突いている気がする。実際、幾らでもスピードを上げる事は出来るのだが、
早く走れば走るほどに視界は狭まり、周囲の音は遠くなる。いたずらに速さを求めるべきではない、というのも匙加減か。
それに、こうして夜だから映える風景の美しさを楽しめなくなるのも、勿体ない。
口元に微かな笑みを浮かべ。すると、少し体が軽くなった気さえして。

エゼル > もともと、今は空になっている背負子のお陰で、足取りは軽い。
その健脚ぶりたるや、本人が早めに歩いている、程度でも大人の小走り程度の速度が出ていた。
思っていたよりも早く、宿場町の門を潜れる気がする。そう想うと、到着までにかかる時間をもっと縮めたくなるのは、損得抜きの性分であった。
よーし、とひとつ気合を入れて。テンポを更に早め、軽やかに街道を往き──

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエゼルさんが去りました。