2020/06/09 のログ
■芒槌 > そのまま、最後の3匹目を食べ終えた。
木の枝は窓の隙間から外へ放り投げる。食後の愉しみは薬草に包んだ木の実の蒸し焼き。
薬草は焦げているが中の木の実は焦げてはいない。一粒一粒摘み、口の中に放り投げる。
クルミ、チェリーと味の一貫性はない。取り敢えず食べる事を目的に、クルミは渋抜きをしていない為に顔をしかめる程に酷い味。
薬草の香りが付いていなければとてもではないが食べられない物だった。
チェリーは酸味が強い、渋い、苦い、酸っぱい。この味の変化は嬉しくないが、まぁ食べることが出来るだけで有難い。
ぷっ、と口の中から種を吐き出し、ふと試してみる様に種をひとつ。
唇の内側で挟み、息を吸い込み――――深く、深く吸い込み。
一気に、爆発的に吐き出す事で種を弾の様にして飛ばして遊んだ。
木製の床や壁にめり込む種。
本場の技に比べれば劣る子供だましの様な手法。
薄い糸目の中、瞳が金色に輝いていたのは魔法で身体、心肺を強化していたことによるものだった。
「ヤッパ、無理だナ。咄嗟の技じゃねぇナ。」
けらり。薄く笑って残りの木の実を口の中に。
ボリ、ガリ、クチャ、と異なる音を口の中で幾つも立てながら嚥下していく。
焚火を消し、壁に背中を預ける様にしてゆっくりと呼吸を落ち着け。
暫くすると寝息と共に、糸目は完全に閉じられていく事になる。
明日は今日よりも月は満ちるだろう。――もう少しの間、野宿をして日数の経過を待つ。
昂る精神が落ち着く頃合いに、目的地に着く様に調整は必要だろう。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」から芒槌さんが去りました。