2020/04/11 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアルヴィンさんが現れました。
アルヴィン > 長閑な春の陽射しが降り注ぐ街道に、のんびりとした蹄の音が響いている。かっぽ、かっぽ、と、陽射しの温かさと相まって、その蹄の音もまたなんとも長閑なものだった。
呑気な歩調で歩まされている軍馬の方は、もっと速く走らせろと、いささか不満そうに逸っているが、ここまで十分駆けさせたと、騎士はその鬣を柔く叩いて何度か宥めてやらねばならなかった。
そして…

「…はあ」

長閑で温かい春の陽射しとは裏腹に。
馬上の騎士はどうにも物憂げという様子である。
昨夜、無事に依頼は果たし遂せた。街道に彷徨い出る不死者と化した戦死者達の討伐だった。
武の鍛錬にはならぬけれど、困っている人がいるとあっては断れぬ。そうして不死者を討伐し、野営を畳んだ後に騎士は、こうして長閑な街道筋に帰路をとったのだが…。

「なんとも、なあ…」

と、珍しいことに独り言を零しつつ、心ここにあらざる様子で道をゆく…。

アルヴィン > 風が吹き、街道脇に並ぶ木々から、白とも薄桃色ともつかぬあえかな色合いの花弁が無数に散ってゆく。
その一枚が、ぴたりと騎士の頬に張り付いた。が、それにも騎士は気づいていない様子。
戦乱や貧困とは無縁に、自然はあるがままに自然であると、そのあたりの賢者が口にしそうななんとも春めいて春らしい光景ではあるが。
騎士にとってはどうやら、長閑でうららかな春を愛でてもいられぬらしい。
かっぽかっぽと、やはり軍馬の道行は長閑だ。
しきりに黒鹿毛の耳をひくひくとさせるのは、先ほどから一匹の蝶が、何が気に入ったものか、黒鹿毛の悍馬の耳のあたりを、やたらとまとわりつくように飛ぶからだった。
それもまた、やはり呑気な旅姿…。

アルヴィン > 長閑な蹄はまだ続く。
うららかな春の昼下がり、頬に花弁をつけたまま、騎士は王都へ向かってゆるりと愛馬を進めてゆく。
無事に依頼を果たしたとは、到底思えぬような憂い顔で…。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアルヴィンさんが去りました。