2020/03/22 のログ
■アルマ > 冒険の帰り道は何時もトラブル続きである。
今夜のトラブルはまた乗合馬車に置いていかれてしまった。
確かに途中で襲ってきた山賊相手に防衛を名乗り出たのだが、誰も1人で何とかするとは言っていない。
自分以外にも確りとした装備の冒険者は居たし、騎士っぽい人もいたのに結局自分だけが馬車から放り出されて、1対多数を強いられて、結局逃げた。
自分をおいていくような馬車は知ったことではない。
きっと自分を見失った山賊達は轍の痕跡を追って馬車を追うだろう、何せ馬に騎乗してたからねあの山賊。
――…あれは本当に山賊だったのだろうか?今となっては割りとどうでもいい……。
現状はメグメール街道を王都に向って灯りも持たずに歩いている、徒歩、歩みはだいぶ遅めの速度で周囲の音と香り、それに気配に細心の注意を払っての移動である。
「あとで絶対にギルドに報告してやる。あと店長にもだ。」
絶対にゆるさん、とは言わないが店長にチクるくらいは許されるだろう、店長は酒に弱いがアレで中々頼りになる魔女なのだ。
思わず歩きながら胸元で腕を組んでウンウンと何度か頷く、表情は明るくとはいかないが、沈んでいる程でもない、が口元は確りと苦いの交じりの笑みを浮べていた。
――…今夜は無事王都に帰れるだろうか、それとも。
■アルマ > 耳に聞えるは鳥獣の鳴声。
鼻に香は草木の香り、後は……獣の香り。
幸い、いや不幸にも、いやいや、まあ、その鉄錆の香りはしてこない。
風はいまだ危険を告げず、感覚的にも危険は遠ざかった山賊達は今夜の仕事を諦めたようであった、たぶん。
大きな溜息と共に胸を撫で下ろす。
安堵と共に歩む速度をあげ、歩きながら革のカバンからランタンを取り出して、軽くランタンを左右に揺すって中身の燃料が揺れる感覚を確認し、中身のオイルがなくなっていないか確認をする。
明るければ目視であるが、多少オイルが零れるかもしれないが目視が出来ない宵闇の中では仕方なく、揺すって揺らしてある程度入っているのを確認できれば、蓋をあけて逆の手でポケットから火種となる小さな赤い粒を取り出し、魔力を粒に込めて火種を生成する。
あとは放り込めばポッと火がつくはずであるが、なんだか魔力の流れが上手く行かない、何故だろうか。
ともかく、歩きながらである。
灯りも無く、月の輝きだけで道を進むには心が危険より離れた事で安堵し弛んだ分だけ不安が滑り込んでくるのである。
少年は歩く……1人で。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアルマさんが去りました。