2020/03/06 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアルマさんが現れました。
アルマ > ――…夜のメグメール街道。

陽が高い時間と違って静かなものである。
行き交う旅人の声も無く、忙しげに行き来する馬車の車輪が大地を蹴る音も無く、有るのは虫の鳴声と獣の遠吠えに鳥の囀りくらいか、後は……木々の葉が擦れあう音程度である。

でも今宵は其処に一つ音が加わる。
それは歌声のようで魔法の詠唱のようで、人の言葉でも獣の鳴声でもなく、精霊の言葉に近しい不思議な言葉での歌声、内容はもし精霊の言葉や魔術に精通している者なら多少理解出来るだろう、それは…闇を恐れ敬う唄。

「……帰るまでがクエストと言うけどさ。」

歌声の主、街道を独り歩く少年は唄うのを止めて愚痴を零す。

今夜は初心者用の採取のクエストを終えて、採取対象である薬草を肩掛け鞄にパンパンに詰め込んだのは良いのだが、薬草の群生地から街道方面にぬける途中でランプを岩にぶつけて割ってしまい、現在暗闇の中を灯りも持たず歩いている。

一応夜空に輝く星や月の光で何とか王都までの道は見えている、だからそこに加えて唱喚魔法を唄う事で身体を魔力を闇に馴染ませて、より宵闇の中で行動をしやすい様にしている。

パっとみたところ普段と何も変わらぬ姿であるが、その姿モシ光で照らすなら短い髪は途中から真っ黒に染まり地面を掠めるほどに長く、指先の爪もその闇色に染まる不気味な姿をみせてしまうことになるだろう。

でも、まあ人気の無い時間帯の街道。
誰かと遭遇するなんて有り得る筈も無く、普段なら見た目など等気にして人前ではあまり唱喚魔法を唄わないが、今夜は愚痴こそ挟みはするものの、クエスト達成の高揚感もあってか一人唄を唄いながら王都に向って歩いているのであった。

アルマ > 闇を纏う、と表現するのが似合うだろう。
唱喚魔法、その唄は高らかに夜の街道に響き渡る。
しっとりと、悲しげで、でもどこか甘い音色を含んだ唄を唄い続けると共に足はまようことなく王都の方へと。

初心者クエスト。
薬草の採取は無事クリア。
雀の涙ほどの報酬はきっと夜の食事代へと消えるのだろう。
少年はそんな未来の待ち受ける王都の方へと街道の闇へと消えていくのであった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアルマさんが去りました。