2020/02/12 のログ
リムリア > 頭を下げ返してくれた相手に、どうやら悪い人ではなさそうだと少し安心する。
こんな天候だからできるだけ譲り合いたいところではあるけれど、こちらは女一人。
どれだけ警戒しておいても、警戒し過ぎということはない。

「この季節の雨は凍えちゃいますからね……大丈夫ですか?」

自分と同じく相手の吐く色は白い。
この雨の中をずっと歩いてきたのなら、相当に身体も冷えていることだろう。
温かいものでもあれば良いのだけれど、残念ながら手持ちにあるのは火の魔法石の欠片くらい。
火種代わりには重宝するのだけれど、燃やすものがなければあまり意味はなく。

「さすがにこのまま夜まで降り続けるってことはないと思うんですけど……」

見上げる先。早くどこかへ行ってくれないかと雨雲に念じてみるものの、
返ってくる返事は、雷神様の盛大な怒鳴り声くらいで。

ブレイド > 場所を空けてくれたことといい、寒さの心配をしてくれるあたり
心根の優しい少女なのだろうが…
まぁ、こちらは見た目怪しい男だ。あまり怯えさせるのも本意ではない。

「大丈夫…とはいえねぇかな。大丈夫だったらここに居座らなくていいんだろうが…
わりぃな、こんなところでやろうと二人きりなんざ不安だろ?」

できるだけ明るく振る舞いつつも、体温低下は隠せず身震いしてしまう。
少しばかり考えて荷物袋をガチャガチャと漁れば、奥の方には乾いた布。

「あー、あんた、拭くものは」

少女を見ればまぁ、自分ほどではなかろうが少しは濡れているだろう。
荷物袋から布を取り出せば差し出して

「ま、止むまではしかたねぇ、のんびり待つとしようぜ…っと」

空はだいぶ不機嫌な様子だが。
彼女の希望にそうかどうか…微妙なところだ。

リムリア > 相手の言うことは尤も。
けれども、ここまで歩いて来れたのだし、大きな怪我もしてはいなさそうなので、とりあえずは問題はなさそうだと判断する。
怪我でもしているようなら、手持ちの薬草か治癒の魔法が必要かとは思ったのだけれど。
ぶっきらぼうながら、こちらへの気遣いの言葉が向けられるとふるりと首を横に振る。

「冒険者の人には、慣れてますから。
 たまーに、乱暴な人もいますけどね。」

小さく苦笑を浮かべて答えると、布を差し出される。
少し面映ゆいような心遣いに「ありがとうございます」と素直に受け取って。
僅かに濡れた髪の水けを拭い取る。

「うーん……のんびり待つにしても…寒さだけでもどうにかならないかなぁ……」

そう言いながら、こちらも肩から掛けていた鞄の中をごそごそと漁ってみる。
何か役に立ちそうなものでも入れていなかったかと、そう思うのだけれど。

「あ……。お腹、空きません? 布の御礼に、クッキーがあったんですけど…」

鞄の中から小さな紙袋を取り出すと、いかがですかと借りた布と一緒に差し出してみる。
味はと言えば、疲労回復用にハチミツたっぷりのジンジャー風味。
たっぷり効かせた生姜のおかげで、多少は身体も温まるかもしれない。

ブレイド > 怪我はないが、問題は寒さで。
これ以上強行すれば、かぜっぴきは当然。
下手すれば寒さで動けなくなっていたかもしれない。
ここまで雨が強いと、奪われる体力も相当なのだから。

「ま、オレもお行儀いいほうじゃねぇしな。
へんなことはしねーよ。オレがいっても信用できねーかもだけど」

素直に受け取ってもらえれば笑って見せて。
こちらは強面ではあろうが、笑わないよりはマシだとは思う。
彼女が髪をふきはじめると、おもむろに腰からくの字型に曲がった大型のナイフを抜いて

「そーだな。んじゃーこういうのはどうかな…」

くるり手の中で反転させ、ナイフを地面に突き刺し
炎をまとわせるイメージ。
すると、魔力がめぐり、ナイフの刀身が炎を上げる。

「ふー、ま…こんなもんか。お、くれるのか?わりぃな。
ちょうど腹減ってたんだ」

差し出されたクッキーを空いた手で一つつまんで口へと放る。
ナイフの炎は手にしていなければ維持できない。薪がなければこのままだ。
だが、火があれば寒さもだいぶマシだろう。

リムリア > 「冒険者の人は、結構、律儀っていうか。
 そういうところ筋を通す人って多いですから。なので、信用してますよ。」

相手が冒険者なのかどうかは分からない。
けれども、見たところ似たような感じには違いない。

信用するとは言ったものの、急にナイフを出されるとさすがに瞳を見開いて。
次の瞬間には、別の意味でその瞳は更に大きく開かれる。

「魔法…ですか? それも無詠唱で、ナイフに……?」

凄いですね、と感心した声を上げる。
薄暗闇に灯る炎の温もりに、ほっとしてしまう。
けれども、赤々と燃える魔法の炎は、燃やすものがなければ維持するのも大変なはずで。
火に手を翳しながらも、心配そうに相手を見上げ。

「あまり無理しないでくださいね。
 魔力回復薬とか持ち合わせがあったら良かったんですけど……」

残念ながらそういう貴重な薬は、鞄の中には入っていない。
燃やせるものも見当たらないので、とりあえずはクッキーで空腹を凌ぎつつ。

「街に戻ったら、温泉に一直線かなぁー……」

と、どんよりしたままの空を見上げてぼやくのだった。

ブレイド > 「そりゃよかった。
まぁ、恩があるってのにいきなり襲いかかろうなんて気にはなんねーよ」

恩と言っても、雨宿りの場所を空けてもらったこととクッキーを貰ったことくらいだが
それでも十分。
これだけの雨だ。それをしのげるだけでもありがたい。

燃えるナイフをの柄を握ったままにうなずいて
炎で濡れた服を乾かし、体を温めるも…流石に髪はそうはいかない。ミレー故に。

「魔法…あー付与魔法ってやつ?詠唱ってのはよくわかんなくてな。
なんつーの?イメージ具現化?ってやつか。身体強化の延長とかの延長で万能ってわけじゃねーけど…」

この魔法も覚えてから結構たった。
おかげさまでだいぶなれたのだが…ずっと維持し続けるのは流石にきつい。
彼女と自分の体がある程度乾いたら一旦休憩したほうがいいだろう。

「いいって、気にすんな。クッキーの分くらいは頑張らねーとな」

だが、雨は止む気配はない。

「ま、そうだな…オレも…あんたの場合は着替えもあったほうがいいかもな…っきしっ!!」

くしゃみも一つ。流石に炎を強くすると消費も激しくなるし、何より彼女も自分も危ない。
雨宿りをする木陰だ。あまりスペースはとれない。

リムリア > 「恩って……私、何もしてませんけど……」

相手の物言いには、思わず苦笑い。
もうちょっと役に立てればいいのだけれど、駆け出し冒険者としてはクッキーくらいが関の山。
あとは体力の回復くらいのものだけれど……。
自分の手を閉じたり開いたり。こういう時に乾燥の魔法とかあったりしたら便利なのに、と思うわけで。

「他の人の魔法って、あんまり見る機会がなくて。
 でも、こういうの強そうですよね。火に弱い魔物とかなら一撃みたいな。」

温かいのはありがたいのだけれど、やっぱり消耗が気になってしまう。
どう見たって長時間維持をするタイプの魔法ではない。
大人しく火に当たりながらも、心配そうに相手の様子を見つめ。

「まぁ……着替えくらいは、どうにか。
 あっ、ほら、いくら暖かくしても体力残しておかないと風邪ひいちゃいますよ。」

くしゃみを漏らす相手に、いそいそと首に巻いていたストールを差し出した。
幸いにも濡れてはいないから、巻いておくだけでもかなり違うだろう。

ブレイド > 「オレって遠慮するほうだからな。あんたが場所空けてくれなきゃそのまま素通りしてたぜ。
それにクッキーもくれたしよ。腹二分ってとこだが、何も食わずに歩くのに比べりゃ億倍いいぜ」

相手は少しおとなしそうな少女だ。
よけいな気遣いをさせないようにと冗談めかしてみせる。
確かに消耗はするものの、燃費は悪くないらしく、二時間くらい持つことは訓練中に明らかになっている。

「一撃とはいかねぇが、有効なのは確かだな。
でも、できるのは付与魔法ばっかでな。魔法の矢ーだとか回復ーだとかは全然だ。
だけどよ、この魔法ってのが相性いいみてーでな。割と長く使っても問題はねぇ」

相手の視線に心配の色が見え隠れしている。
その優しさに感謝しつつも強がって見せて。
が、思わずでてしまうくしゃみは仕方ない。ストールは暖かかったがこちらは少しかっこ悪いところを見せてしまったか。

「あー、わりぃな。借りる。
で…着替えか。濡れる心配はここにいりゃねーだろうが…
目ぇつぶって明後日の方向でも向いてるか?乾いた布もあるし…着替えても問題なさそうならだけどよ」

見ず知らずの男の前で着替えるのは抵抗があるだろうが、服が乾くまでそのままでは
いくら火があったとしてもしばらくは寒いだろう。

リムリア > 心配そうにじっと見つめる相手の顔色は、思ったよりは悪くなっていない。
どうやら強がりで言っているのではなさそうで、少し安心したように表情を和らげた。

ただ、さすがに相手が口にした言葉どおりに遠慮するような性質には見えない。
冗談めかして言ってくれているのが分かったから、こちらも笑みを浮かべて。
それでもこちらが嫌がる素振りを見せようものなら、確かにそのまま通り過ぎたかもしれないなとは思う。

「それで恩とか言われちゃうと、逆に困っちゃいます。
 そうですね……じゃあ街に着いたら、ご飯奢りますね。お酒の方が良かったらそれでも。」

火を熾してくれた御礼としてはこんなところが妥当だろうか。
それを素直に受けてくれるか分からないので、ついでにお願い事を付け加え。

「ついでに、お勧めの食堂とかあったら教えてください。
 それでどうです?」

にっこりと笑って提案できる程度には、緊張も解れてきたようで。
けれどそれも、着替えに言及されると、両手を目の前に突き出して、わたわたと振って見せることに。

「だ、大丈夫っ ほんとに、そこまで濡れてませんから。
 あっ、そうだ! 名前! 言い忘れてました。リムリアです。よろしくお願いしますね!」

ブレイド > 体力的には消耗していたが、歩いている間は魔法は全く使っていなかったため
まだ魔力の消費が体力に影響を与えていない。
かといって、ずっと火をともしていれば彼女の表情を曇らせるような顔色になってしまいそうだが。

話しているうちに少女の緊張もほぐれたようで、こちらも気分的には楽だ。
軽口に乗ってくれる気のいい少女で助かったというべきか。

「二食分のおごりかよ。そんじゃー火力もサービスしねーとな。
ああ、んじゃ…店はオレに任せてくれ。できりゃ懐に優しいとこにするからよ」

カラカラと笑いつつ。
とはいえ、着替えの心配をするのはいささかお節介がすぎたか。

「あー。オレはブレイド。冒険者だ。雨が止むまでよろしく頼む。えーとリムリアだっけ?」

リムリア > 「あー、やっぱり冒険者さんだったんですね。
 私も駆け出しですけど、ギルドに用があるときは言ってくださいね。」

そっちでもお世話になっていますので、と付け加える。
さすがに依頼料に色を付けるだとか、買取価格におまけするだとかはできないけれど、割の良い依頼を紹介するくらいの融通は効かせられるかもしれない。

「王都には越してきて、まだそんなに経っていないので。
 穴場的なお店はまだまだ知らないんです。
 なので、期待してますね?」

懐具合については、常識の範囲内でお願いしたいところ。
まぁ、目の前の相手――改めブレイドさんなら、その辺りの心配はしなくても済みそう。
雷神様は通り過ぎてくれたようだけれど、雨はまだ降り止まない。
それでも後ろ髪を引かれて戻ってくることがなければ、そう遅くないうちに帰途につけるだろう。
それまでの間は、美味しいお店情報でもやり取りしながら過ごすことで―――ー

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からリムリアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からブレイドさんが去りました。