2020/01/30 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にシスター・マルレーンさんが現れました。
■シスター・マルレーン > 「…………ふう。」
穏やかに吐息を漏らして一人、町の外に出る女。
ずっしりとした分厚い修道服とチェインメイルは、まあ用心のためというものだけれど。
今日も今日とて、魔物が出現している地区の見回りと、街道破損の修繕と。
地味ーな任務をいくつか与えられての一人旅だ。
普段なら、汗だくになって荷物を運んで、脚が攣りそうになるところだが、今日はちょっと様子が違う。
「………あー。」
憂鬱そうな声が漏れる。 目の前には、しんしんと降り積もる雪。
クッソ寒い。
■シスター・マルレーン > 「……寒さって一番堪えるんですよねー。」
思わず本音が漏れる。暑過ぎるのも問題だが、それでも疲弊していること以外は、身体は動く。
自分が疲れていることを認識していれば然程問題にならない。
寒い場合は、「思ったよりも」身体が動かない、ということがある。
この思ったよりも、がクセモノだ。自分の現在の実力を見誤れば、それは即判断ミスに繋がる。
と、それっぽいことを考えつつ。
結局は寒いのが割と苦手な女であるだけだった。
手をこすり合わせつつ、魔物が見られ、街道が破損しているというその場所へとひたすら歩みを進める女。
濃紺の修道服とベールは雪の中で割と目立つ。
身長を超えるような棍を抱えていれば、猶更だ。
■シスター・マルレーン > 出発は朝。 そして到着は昼前だ。
それでも、まだまだしんしんと雪は降り積もる。
目的地に到着。
そして同時にああもう、と頭をベールごしに掻いてしまう。
職業柄、また本人の気質的に、汚い言葉を吠えるようなことはしないまでも。
こんにゃろ、と本心が吠える。
確かに街道が破損している。
川にかけられた丸太橋がズレて川に落ちているのだ。
■シスター・マルレーン > 「この雪の中で川に入って丸太を持ち上げて元の場所に戻して固定しろと。」
神よ、ちょっと試練が急すぎやしませんか。
胸の前で手を合わせて祈りを捧げつつ、そのまま帰りたくなる気持ちをぐっとこらえる。
どうせ一人だ。 はーっと溜息をいいだけ吐き出して、がっくりと頭を垂れ、肩を落とす女。
露骨にやる気を失いつつも、とりあえずチェインメイルは脱いで置いておくことにする。
少しでも体を軽くしつつ、土手を滑り降りて。
貧相な橋だ。丸太を三本渡して、その上に板をかけて固定してあっただけらしい。
「お日様が出てればもうちょっと暖かいんでしょうけどねー。」
とほほ、と悲しみを背負いつつ、丸太の端をよいしょ、と抱えて。
まずは川に入らなくて済むように、なんとか引きずり出すことを試みる。
■シスター・マルレーン > 神よ、お力をお借りしますね。
祈りを捧げつつ精神を集中させれば、丸太そのものが僅かに光り始めて。
聖なる力をエンチャントさせれば、どんなものでも彼女にとって使いやすいものへと変わる。
木の枝は剣を受け止められるようになり、鎧は槍を受け止め、羽のように軽くなる。
戦闘能力特化の能力ではあるが、こうやって活用すれば………。
「ふん、りゃぁっ!!」
ざばあ、っと川から丸太を引っ張りあげる修道女。
一部の(闘技場観戦者)人間からは鮮血の修道女と呼ばれ、人間を超えた力を持っているとか言われる噂話の原因はここにある。
■シスター・マルレーン > 「せいっ!」 「ええい!」 「んぐ……りゃああっ!」
裂帛の気合が落ちてくる雪を震わせる。
ひたすらに気合を入れる理由は、重いからでは無くて寒いから。
むしろ冷たい。
ざばんざばんと川に足を踏み入れて、濡れて重くなった丸太を抱え。
牛か馬か何かかな、と僅かに自分の存在に疑問を覚えながらも。
その疑問ごと丸太を投げ飛ばす。
「これは風邪を引く奴ですね………」
あはは、と笑って遠い目をする雪を頭に積もらせたシスター。
まあ、引きそうで引かずに健康を維持して明日も働くんですけど。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からシスター・マルレーンさんが去りました。