2019/12/21 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にゼルベッダさんが現れました。
■ゼルベッダ > ふあぁ…………。
王都から各地へ、地方から王都へと伸びる街道の途中、思わず口からこぼれ出た欠伸をかみ締めもせず、鋭い歯の並ぶ口を大きくあけて間の抜けた声で欠伸をする少年が1人。
そんな欠伸を零し零し街道を歩く小さな人影は実は人ではなく、その証拠に彼の周囲だけは小動物から鳥の気配が全く無い、歩けば歩くだけ動物は逃げて鳥は羽ばたく始末である。
――…目立ってしょうがない。
「パン、は美味し、かった。是非、また、食べたい。」
一呼吸する度にオマケに欠伸をセットして、たどたどしく言葉を吐き、その言葉を白い湯気と同時に外へとブレスの様に吐き出す。
パンは美味しかった。
昼間街道を歩いていたら偶然斧や槍を持ったニンゲンが騒いでおり、久しぶりに本能が疼いて思わず殴り飛ばしたら何やらお礼と言われてパンを両腕で抱えるだけの量を押し付けられたのだ。
いや、確かにおなかを鳴らしていたけども正直パンより王都に連れて行って欲しかったし、護衛でもいいから仕事がほしかったのだが、何か言う前に押し付けられてしまったので、まあ食べたガッツリ食べた。
黒いパンではなく白いパンだった。
初めて見るあのふわふわとした触感と香ばしい香りが……。
考えるだけでお腹がすいてきて思わず両手を自分の腹部にそえながら、足を止めて一つ深呼吸をする。
そしてふにゃりと表情を緩めて笑みを浮べるのであった。
自分の故郷でもあんな美味しいパンはなく、きっと助けた者達は貴族かパンを焼く職人なのだろう、とか思ったのだった。
■ゼルベッダ > 何にせよ満足だった。
腹も膨れてストレスも発散できた。
しかし、そうなると甘い物が欲しくなるし人肌も恋しくなる。
昔みたいに召喚者に報酬として身体を要求なんて出来る筈もないし、と……一転軽かった足取りが少々重くなる。
冒険者であれば力試しに襲い掛かるのもいい、もし弱きモノであれば少し遊んでもらおう、殺しはしない何故ならもう獣ではなく、知恵あるモノだから。
「………にシテも、今夜は、人通りが、少ない。」
王都に向う街道を王都に向けて進んでいるのだから、旅人の一人や二人に遭遇したっておかしくない筈である。
ゆるい速度で歩きながらカクと小首をかしげ、不思議そうな表情で頭の中で苦手な考え事をして見せるが、ピンとくる答えは見つからない。
狩りの時期ではない?
家からでるには寒すぎる?
この辺りに危険な生物が現れたと言う話でもある?
などなど、人の生活というものを知らないのだから、そんな変な答えしか浮かばないのであった。
――…まあ確かに、少しばかり肌寒いので人間は寒さに弱いから家から出ない、のかもしれない。