2019/11/30 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にギギさんが現れました。
ギギ > ぺったら、ぺったら、ぺったら、と夜の帳が落ちて真っ暗な闇に包まれた危い香りのする街道に響くコミカルで重たげな足音。

耳を澄まして音を良く聞けば何かの足音と言うよりかは泥沼を歩いているような音色、だがしかし今宵の街道は寒さこそあれすっきりと星空の輝く晴れである。

音は街道を王都の方面に向って響く。
ぺったらぺったらぺったら………。
音はリズムはとても遅く鈍重で、足音の主もまた鈍重なのである。

晴れた星空の下。
その輝きの下に姿を晒しているのはバケモノ。
無名遺跡にいてもおかしくないし、実際にコレの巣は無名遺跡を中心とした自然地帯である。

にも関わらず人通りのありそうな場所を歩いている真っ白い肉塊に手足と尻尾がついているようにしか見えない爬虫類にしても小柄ででっぷりとした白いバケモノ。

それは背中に自分よりも大きな風呂敷を背負い、それなのに少しも風呂敷を引き摺らず歩いていた。

行商人に見えるか、はたまた盗賊や山賊に見えるかはバケモノを何処まで嫌悪しているか、だろう。

白い皮膚をした爬虫亜人は行商人のつもりであるが遭遇した者に通じるかはわからない。
ともかくだ白いバケモノは尻尾を左右に揺らしながら、無名遺跡で拾い集めた宝を売るべく王都に向っていた。

――王都に入れないとは知らずに、である。

ギギ > 背中に背負っている風呂敷の中身は本人にはさっぱりわからない。
朽ちた冒険者の亡骸から剥ぎ取ったもの、モンスターが落とした爪や牙などの素材、それと宝箱を壊して集めた諸々。
中にはそれなりの価値がある物がありそうだがさっぱりわからない。

それでも売ろうとするのは王都に入ろうと考えているのは人との対話を渇望しているからである。

自分の巨大な拳で殴れば容易く死ぬ人間が自分以上に強いモンスターを対峙する姿は驚愕、複雑な罠をいとも容易く解除し瀕死の仲間を蘇生する、それも驚愕。

一度冒険者を捕まえて飽きるまで回復魔法を見せてもらったが、本当にすごかった。
あれだけ殴り倒した人間が回復する、何度殴っても回復する不思議で驚きで……だから人間に近づきたかった。

ある日無名遺跡で物を拾って一喜一憂している冒険者を見かけた。
若しかしたら自分も物を拾って集めたら彼らのようになれるのでは?
或いは拾った物をあげたら仲良く出来るのではないか?

ぺったらぺったらぺったらぺったら

足音を立てて街道を歩く。

もしヒトに出会えたら存分に相手のことを知ってみよう。
拾った物と交換したりあげたりしよう。

もごり、と想像するだけで嬉しくなってきてか、赤い亀裂の入った腹部をモゴモゴとおぞましく蠢かせて、それを沈めるために大きな掌でぽんと自分の腹部を叩くと、ニタァと頭部の大半を占める巨大な口を真っ赤な口内をあけて笑うのであった。

本人は友好的な顔のつもりである。
だがモンスターの顔には限度があるのだ。

ギギ > ――…疲れた。

荷物は軽くはない、絶対に軽いとは言い切れない。
でもしかし、この荷物は自分の世界を変えてくれる切っ掛けを作れるのだと信じて今夜は王都に辿り着く前にどこかで野宿することに。

右をみて
左をみて
程よく生い茂った茂みを見つけると荷物を両手で頭上にもちあげて、茂みの中へと飛び込むのであった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からギギさんが去りました。