2019/11/19 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」に春芳院さんが現れました。
■春芳院 > (季節柄、斜陽の頃合いも早く。幾ら旅人や商人等の為に開かれた街道とはいえ、日も暮れては街灯も無い辺りは辛うじて漆黒の中にぼんやりと風景が有るのが解る位に。そんな中、街道を通り抜けるは質素な駕籠。東方の国と思われるであろう動きやすい服装を纏った従者は一目で解る屈強な体躯をした男が前後に一人ずつ、駕籠を担いでせっせと駆け抜ける。それを補助するが如く、幾らか先を進む灯を持ち道標を照らす係の年若き青年。人力で運ばれる駕籠は、帰路を急ぐべく従者は早足だった。この辺りは整備されてはいるものの、一歩外れれば魔物が出ると聞く。従者達は、駕籠の中で整然と正座する女を守る使命が有る故の急ぎ足であった。───駕籠の中の女は、漆黒の高祖頭巾を深く被った儘、両手に数珠を握り締めては皆が無事に帰れる様に祈願していた。)
■春芳院 > (だが、帰路を急ぐとはいえ流石にペースを飛ばし過ぎたか。灯りを照らす為に数歩先を行く青年が、吐息荒くして立ち止まり屈み込んでしまう有り様。それに伴い成り行きで駕籠も一旦止まる。元々力に自信が有るだけで荒くれ者である従者の男二名は青年を叱責し罵倒し始める。急に駕籠が止まり降ろされたうえに、外から罵倒の声が聞こえたとあらば、駕籠の小窓から頭巾を深々と被った儘顔を覗かせ。)
「如何しはったんどす?‥……皆様方、少し一息着きましょ。」
(青年の吐息の荒い様子、従者の苛立ちを垣間見ては主人として彼等に取り敢えず一息を勧め。渋々ながらも従者二名は駕籠の傍に座り、青年は何処か挙動不審ながらも灯火を置いては、同じ様に腰を下ろし屈む。が人気がいないからこそ、街道の森側に堂々と一息着いているが、はたしてそれは吉と出るか凶と出るか。)
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアルファさんが現れました。
■アルファ > (今宵一段と寒気が迫る夜の街道には野党とて獲物を待ち伏せするには割が合わないと襲撃がない平穏なもの――それも人に限ればの話。開けた場所ならば襲撃も視覚に捕らえて備えることができるもの――それも人の世の理に限ればの話。赤みを帯びて輝きを増す異様な月、暗闇を晴らす昼夜の如き月光は従者の影を長く伸ばし、そして黒い実態を持ってゆく。音もなき気配もなき、それはレイス。淑女が抱擁するように背後から屈強なる男二人に被さり、溶けて混ざろうとする。従者に霊感や直感、或いは霊への耐性が無ければ胡乱げな目で立ち上がり、獣のごとき咆哮をあげて女性が鎮座する籠の中に太い腕を伸ばして引きずり出そうとしていく)
■春芳院 > (¨それ¨は、突如音も無く気配も無く蝕んできた。特殊能力等何も備わっていない鍛えられた体躯しか取り柄の無い人間の野郎二人に忍び寄る魔に抗う術も時間も無く。───直ぐ傍から聞こえる咆哮に何事かと駕籠の扉を開けようとするや否や勝手に開かれ。顔は頭巾で覆っているが、唯一覗かせる翡翠は見開き。そして、太い腕に捕まれ駕籠から引きずり出されるのは束の間で。)
「き、きゃあ‥…っ!‥…一体、如何しはって‥……!」
(状況を掴めず思わず声を上げてしまう。華奢な細く白い腕は腕力が強い為か少し赤くなっていた。従者を見上げれば、顔付きが明らかに何かに憑かれた様なもの。理由を問いながらも、捕まれた腕を振り払おうと動かすが男女の差は大きく成す術が無い。)
■アルファ > (引きずり出す女性に見せたのは生気というものが薄い死人のように動かぬ目の従者、その顔に破滅を来す紅月の光芒が逆光となりただ一色の紅蓮に染め上げていた。悲鳴に混ざるのは従者の声ではない、生者の声でもない、凄惨に歪みきった笑みのさざめき。クスクス…と闇に溶けいるナニカの声が聞こえる中で、屈強な腕に掴まれし細い足が大きく開かれ。腕は地に押さえつけられる。更にはその衣服を破こうと無骨な指が羽織りに掴みかかって)
「フッ」
(衣破かれる音の代わりに人為らざる絶叫が響き渡る。女と従者。3人の中にどこからともなく現れた影が組み敷く従者の背後から白刃を袈裟懸けに下ろしていた。血飛沫の代わりに火の粉のような輝く粒子を放ち、崩れ落ちるその者には刃傷はない。返す刃で切り上げてもうひとりの従者から粒子を巻き起こした後には――紅月は消え去り元の薄い闇へと戻ってゆく)
(そして乱入してきた影は闇を凝らせたようなフードを脱ぎ、紅い瞳を伏し気味に倒れた従者を見遣り。やがて額に浮いた汗を拭ったその腕を倒れた女性に差し出す)
「大丈夫?」
(相手が手を取るならば、腕を引いて立ち上がらせようとして)
「災難だったね。ここ。前に商団が野党に襲われた場所なんだ。金品略奪されて男はその場で皆殺し、女は犯され殺され。
……まぁ、ゴーストとかが湧きやすい場所だったんだ。」