2019/10/08 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にローズマリーさんが現れました。
ローズマリー > ゴト、ゴト……ゴト、ゴトリ……

自室のベッドにしては硬い感触、断続的に響く振動に覚醒を促され、
ふ、と目を開けてみれば、其処は薄暗い馬車の中だった。

王侯貴族が移動に使うものとは違う、多少小綺麗ではあるものの荷馬車の類だ。
がらんとした四角い箱状の空間に、大小さまざまな木箱や樽が並んでいて、
己は蓋のあいた長持から、敷き布ごと転げ落ちてしまったと思しき体勢。

どうしてそんな所に、そもそもこの馬車は一体何処から何処へ。
次々と疑問は沸くけれど、ともかく一番の問題は、馬車が今も移動中であることだ。

揺れる箱の中で、這いずるようにして壁面へとりつく。
扉のようなものの感触はあれど、ぐっと押してもビクともしない。
焦って振り仰いだ視線の先、格子の嵌った小窓越しに、御者らしき人物の後頭部が見えた。

「あの、すみません、すみ、ません……!
 止めて、……お願い、止めて、止めて下さい……!」

振り絞った震え声は、御者の耳に届いただろうか。
届いたからといって、聞いてくれるかどうかは解らないが――――。

ローズマリー > 無情にも止まることの無い馬車に揺られて、女は何処かへ運ばれていく。
生家からも、或いは王都からも離れて、何処へ向かうのか。
恐らくはもう一人の己の仕業であろうけれども――――――

その先に待つ未来を知る者は、今は未だ、誰も居ない。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からローズマリーさんが去りました。