2019/08/11 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にシュバルトさんが現れました。
■シュバルト > 「迷子ではないよ?迷子ではないけど是は……。」
今宵王都への帰り道の途中の事である。
普段から行き来しなれているメグメール街道ということで、今夜も乗合馬車代をケチって徒歩で王都までの帰路を急いでいたのだが、馬車のチケット代をケチったとカンテラのオイルをケチっていたのが重なり――…誰が見てもわかるし想像つくような事態になっている。
真っ暗だよ!真っ暗、暗い……暗い………。
手詰まりである、もう暗闇に眼がなれて歩くに十分なレベルに達するまで、街道の脇の丸太に腰をかけて、手探りで革鞄を漁り、中より火種となる何かを探している、確かマッチがあったはずなのだ。
ゴソゴソゴソゴ
ゴソゴソゴソゴソゴソ
指先に当たるのは金平糖を詰めた小袋、こっちは果汁の練りこまれた飴玉、んで、こっちは……仕事用のオイル瓶でこっちは……硬貨入れ。
「あ、あれー?野営用ではないけど、ナイフと種火になるアレはいつも常備している筈なんだけど?けど?」
けど事実ないのである。
だからハイ諦めました、といえる状況でもない。
体感的に今王都まで残り2~3時間でつく距離、近隣に集落はなく、辛うじて安全圏内ではあるんだけども、丁度中途半端な距離で……どうしよう?
魔法は使えない、刃物はナイフしか持ち合わせていないけど、それもない、ないないないないない尽くし。
商品を幾つかその場で調合して狼煙くらいはあげられるけど、一体何の意味があろうかって事で……溜息を大きく吐き出して項垂れることしか出来ずにいた。
もちろん、片手は革鞄をぐるぐるごそごそ、と探り続けている。
■シュバルト > 「……あっ…………。」
思い出した火種は白衣のポケットの中で、革鞄から引っこ抜いた手で白衣のポケットを漁るとマッチ箱が一つ、ナイフは……右腕を軽く上下に揺するとナイフと言うより医療用に使う刃物に近い革の鞘に納まった鋭い刃物がスポっと掌に収まる。
「……カッコイイギミックとか思って、うん、反省しよう……。」
ある意味その年相応でもなく、もう少し若い段階で発祥する病に近しい何かの閃きで袖から掌に刃物を滑らせたらカッコイイのでは?と思いやらかしたのが是であった。
さて、火種も刃物も用意が出来た。
後は……腰にかけている丸太、とんっと足先から下りて丸太のほうを振り向くと刃物を鞘から引き抜いて、丸太の表面を刃物で軽く削って木片と木屑を上手い具合に作り出す、ザリ、ザリ、シャッ、シャッ……と、是を組み合わせて、後は周辺の木の枝を集めて、組み合わせたそれにマッチで着火し、木屑と木片が燃えているところに枝をくべれば焚火の完成……の筈。
冒険者ではない1医療者、医療者と言うよりは調律師。
魔力の流れを正常に戻し、身体の病と疲れを癒す、魔力を動力とする人形や道具を直す、それが仕事である。
さて、火は無事つくだろうか。