2019/06/06 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にカグラさんが現れました。
カグラ > 「これは困ったな……」

日も暮れた頃合いの王都へ続く街道。
ちょっとした荷運びの仕事を終えた帰りに突然の雨に襲われて駆け込んだのは大きめの木の下。
雨宿りには少々心ともないが濡れるのが少しでもマシになるならと妥協するしかなく。

ただ雨宿りをしている間に雨脚が強くなりどうにもできなくなってしまう。

「どうしたものか……」

最悪はここで野営しかないが雨の中で野営など風邪を引く未来しか見えない。
出来ればもっと遅くなるまでにはやんでほしい、そう願って雨が降る空を見上げる。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にルビィ・ガレットさんが現れました。
ルビィ・ガレット > 雨音の中、不意に人の気配。
荒い息遣いにうんざりした声。若い女の声だ。

「嫌だ。……もうっ。
 ――場所を確認したらすぐ戻るつもりだったのに」

どうやら予定より帰宅が遅くなった模様。そのせいで雨に降られてしまい。
一時の雨しのぎにと、めざとく大木を見つければ先客がいた。
小柄な人影。彼に向かって声をいささか張り上げる。

「おーい! そこの君! ……私も入れてー」

駆け寄る。

カグラ > 雨というのは気配も音もわかりにくいので好きではない。
そんな状態でもはっきりと感じることのできる人の気配。
荒い息使いと共にそれが近づいてくればつい視線を向けてしまう。

「こんな天気なのに元気なことだ」

雨の中を走るのは色々と危ないのにと見ていれば段々と近づいてくる。
そして大きいといえる声を掛けられると反射的にその人影、女性が入れるだけのスペースを開ける。

「む、かまわんぞ。入るといい」

一応と返事を返して女性が木の下に入ればついつい眺めてしまう。

ルビィ・ガレット > 「……ふぅ、ありがとう」

木の下に入ると同時にお礼の言葉を口にした。

雨水を吸って重たくなったフードにうんざりしたらしい。
彼女がそれを取り払うと、女の顔が露になる。

白い肌に紅茶色の双眸。髪は薄い金色だが、その一部が若草色に染まっている。
外套に隠れているせいで、髪の長さはよくわからないだろうが、
三つ編みの一部はフードを跳ね除けたことで見えるだろう。

視線を感じる。

「……なあに」

カグラ > 「気にするでない。困ったときはお互い様だ」

きっと逆の立場なら同じことを言って駆け込んでいた。
だからお礼を言われても首を左右に振って見せて。

己よりも雨に濡れた時間が長かったのか女性はよく濡れているように見える。
何か拭くものを渡すべきだろうかと見ているとフードが取り払われて顔があらわとなり。

この国の人は本当に肌が白くて髪色も綺麗なものだとつい見てしまう。
故郷では髪色といえば黒か濃茶だけだったので見慣れていないという事もあり。

「いや、綺麗なものだと見ていた。気を悪くしたのならば謝る」

言葉が足りないままに髪を見ていた理由を告げて。
じっと見るのは失礼だったと頭を下げる。

ルビィ・ガレット > 「……そうね、ありがとう」

古風なしゃべり方をする少年だと思った。
風貌から察するに、東のほうからやってきたのだろうか。
尊大な口調に聞こえなくもないが、彼にきっと他意はない。

見た目に反して老成しているのかも知れない。
……と、空想に近いことを雨宿りしながら考えていると。

「――ありがとう。気は悪くしてない。
 一緒に雨宿りしているんだもの。隣に立っている人がどんな人か。
 ……気になるのは自然なことよね」

思いがけず、綺麗と言われ。軽く目を見開くが……彼の場合、
お世辞や軽口の類いではなさそうだ。自分と違って裏表が無さそうだし。
子どもと言えるような年頃の者に言われたから、特に赤面も取り乱しもせず。

礼を言い、首を小さく横に振った。「気にしていない」と。
その証拠にと、少年に微笑みかけてみせる。

カグラ > こんな時間のこんな天気での出会いであったが危ない相手でなかった事に安堵する。
この国にきてまだ少ししか経っておらず、初めて会った相手が相手だったので警戒がなかったというわけではなく。

天気こそよくはないが今日の出会いは良い出会いだと思えば自然と笑みが浮かび。

「そう言ってくれると我も助かる。
こんな天気に出会うとどうしても警戒をしてしまってな。
それとお節介かもしれぬが拭くものを渡すべきかと迷ってな」

女性の言葉に何度か頷いて答え。
国では話し方が古臭いや色々と言われたが悪気は本人にはなく。
話しているのは素直に感じた感想だけ。

気にしていないと言ってくれ微笑む女性の姿に「感謝する」と告げ。
今更であるが荷物から乾いた手拭いを取り出して差し出していく。

ルビィ・ガレット > 正直、自然に浮かんだその笑みを見て「無防備だ」と思った。
相手の笑みに呼応するかのようにこちらも少し笑みを深くするが……、
それは含み笑いの類いだ。……微妙なニュアンスを含む表情。

「――雨で血の匂いを誤魔化している殺人鬼じゃないか、とか?」

だが、それは早合点だったかも知れない。彼はちゃんと警戒していた。
今は少し、それを緩めているが。試しに、自分を何と想定していたか問うてみる。
極端な例で。……反応を見るには、少し大げさに聞くのが一番だろう。

「あ。……大丈夫よ、私。寒いのには慣れているから」

彼は礼儀正しい人格の持ち主のようだ。律儀に謝意を示したかと思えば、
今度はこちらを気遣う言葉を言いながら手ぬぐいを取り出してくれて。
表面上は「悪いよ」と断るものの、どうしたものか。

――人の血が半分流れているが、風邪など引いたことがない。
そもそも日頃から低体温、彼に言った言葉は強がりではなく事実である。

ルビィ・ガレット > 結局、手ぬぐいは受け取ることにした。
――少年と他愛ない会話を続けながら、雨が止むのを待つ。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からルビィ・ガレットさんが去りました。