2019/05/05 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にエリーナさんが現れました。
エリーナ > 少女騎士が哨戒を行っているそこに ポン と絵本の中から抜け出てきたような魔女の格好の長身の女が出現した。

この女、移動手段に横着をして、精密瞬間移動の符を疲れない程度にバンバン使う。
雑に使えば範囲は視界内全域。
非常に広範囲で、お財布に優しいし時間も節約できる。

故に、たまにこういう風に「誰かの眼の前」に出現することもある。

マリサ・ブラックバーン > 不覚にも瞼が重く感じるようになった頃。
突然魔力の反応がし、その瞬間いかにもな魔女が姿を現す。

女性にしては背が高く、スラリとした体形。
おまけに眼鏡が知性を感じさせる。

「なんだ? いきなり美人が現れたぞ。」

左の手で両目を擦るマリサ。
敵意があるようには見えず、首を傾げた。

エリーナ > さてそろそろ王都か。というところで、女の子の声。
声の響きからするにちょっと背の高い細身の子かな?
なんて、学者ぶって分析して声の方を向いてみる。うむ。ビンゴだ。

「はっはっは。美人だなんてホントの事をいってくれても、今の私があげられるご褒美は、えーと」

大きなリュックサックに手を突っ込んでごそごそ。

「この魔力鉱石くらいしかないな。マジックユーザーならいざというときのお守りくらいにはなるだろ」

美人と言われてしまっては、これはもうお姉さんぶってご褒美をあげるしかない。
なのでホレとお近づきの印に渡そうと。

見た感じ、騎士団や軍隊に属する服装と装備。なるほど、悪くない装備。
練度も、ふむふむ、悪くはないだろう。底が見えるほど教導に秀でては居ないこの身だが。

「しかし、こんな普通の警邏隊に任せそうな任務を
ちゃんと出来る隊に任せるかねえ。ちょっとびっくりだ」

マリサ・ブラックバーン > 「おぉ?」

インテリ魔女のお出ましかと思いきや、口を開けば存外に気取らない女性。
紫の瞳がぱちぱちと瞬き。どうやら応援を呼ぶ必要はなさそうだ。

なので、目の前でリュックに手を入れると言う行為をされても咎めないで置いた。

「いいのか? 初めて会う相手だけど。」

ご機嫌のお姉さんから石を受け取り、ポケットに入れる。
鉱石には疎くても備わっている魔力は感じ取れる。
気前が良すぎて何を言うべきか言葉が出てこない。

「嬉しいこと言うなあ。 でもうちは団長の方針で危ない任務はあまりやらせないんだってよ。
俺は騎士のマリサ。 あんたは?」

つい最近まで見習いだっただけに、"騎士"の所はちょっと得意げに口にする。
いきなり石を貰ったし、何かお礼をしなければ。

とりあえず、カバンを吊るしてある樹の元へ近づいて。

「ワイン位しかないけど、飲むか?」

エリーナ > 驚かれている理由はイマイチわからないというのが、このボーイッシュというか蓮っ葉というか、外見と口調が一致しない魔女である。

警戒されていないのはなにより。あれやこれや取り調べになったら面倒くさいことこの上ないのだ。この国の現状的に。そういうときはまた転移するのだが。

「んー?初めてだからそれを喜んで渡すんだろ?
私は気前がいいのさ」

多くの収穫の一つだ。出会った喜びに1つわけるくらいなんてことない。
大きく魔力を消耗すれば、魔力が生物に移る。そういう性質。逃げ足くらいは確保してくれる。

「はは。だって、もう装備がいいしな。それに、私もちょっと使うほうだが……
装備に負けちゃいないと思う」

わざわざ弱兵に良いものを渡すなんて、道楽でしかない。
一人で夜番に立っていいレベル。ライフルにミスリルの剣。
これはちょっとした隊だろう。

「そっかあ。良い上司というべきか、強くなりたければすこしだけ物足りない、か?
ああ。私は薬屋のエリーナ。見ての通り魔女。お薬屋さんをやってる」

やはり叙勲を受けるレベル。うーん、初々しい。

「ん?いいのか?夜番の途中だろ?」

いたずら小僧のように、にっと笑う。八重歯が特徴的だ。

マリサ・ブラックバーン > 「いやあ、それにしては良い物を貰ってしまったよ。
これ冒険者に売ればそこそこ良い値で売れる品だろう?」

ポケットの中に入れた石をごそごそと、布カバンにしまうマリサ。
お高い消耗品なのは一目でわかったが、貰い物はなかなか使えない。
恐らく大事に家にしまうことだろう。

そして、この気前の良い魔女を信用したマリサは取り調べや尋問も必要を感じず。
今の所、急いで転移する必要はないはず。

「ま、うちの隊はお金持ちの貴族が道楽で始めた部隊だからな。支給品は割と贅沢させてもらってるな。
…どうだろうな。 以前、腕利きの格闘家とやりあった時は良い所で負けたからなあ。」

おねえさんも、良い腕してそうだよなあと口の端を僅かに伸ばす。

「確かに、強敵とのやり取りが少ないのが悩みどころだな。
薬屋がワープで飛びまくるのか? いい趣味してるな。

酔いつぶれなければ問題ないだろ。
それにこれは石のお礼だ。」

適当な切り株の上にグラス…はないのでコップを2つ並べて。
常温の赤を注ぐ。

「良い顔するじゃねえか、飲もうぜ。」

そういうマリサの口元にも小さな牙が顔を見せていた。

エリーナ > 「ああ、ボられなきゃ……そうだな。平民が2ヶ月半くらいは生活できるくらいの値段……って感じだな」

そんな金額のを上げる理由は2つ。先に思ったとおりに多くの収穫の一つであり
……もう一つは、上位互換を大量に所持しているからだ。
祝いの品とはいえ、好きに扱ってもらっていい。そう。気前が良いのだから。

「はあん、なるほど。道楽とは言え、目はしっかりしてるんだな。
へえ。マリサくらいの子で腕利きにそこまでやれるなら……こりゃ、王都に何かあれば、対処に当たれるいい部隊だな。
私か?そりゃまあ、ハーフエルフだからな。生きてる分、しっかり強いさ」

また、少年のような笑顔。師匠に思いっきり叩き込まれて、年月の内に研ぎ澄まされて……
その上装備品が自作のエンチャントでちょっとすごいのだ。

「なるほどな。他の隊とやるのは揉め事になったりするのか?
はっはっは。そりゃ、歩いてあの山の向こうまで日帰りで往復は無理だろー

おう、そりゃ道理だ。
ふんふん。それも、道理だ」

どっかりと、切り株の傍に座って。

「ああ、呑もう。出会いに乾杯だ」

2人の、八重歯と小さな牙を見せ合うような笑顔で。月の下で。
いい夜だ。

マリサ・ブラックバーン > 「おおぅ…困った時にありがたく使わせてもらうぜ。」

貴族とはいえ、下から数えた方が早い家のマリサにとってもなかなか高価な金額であった。
目の前の魔女とは違い、こういう品にはまだ触れる機会が少ないマリサは思わず手汗を握る。
恐らく、金銭的に困った時に使うことになるだろう。

「城内でも有力者の地位を維持できてるから凄いんじゃないか?
今は連日お祭り騒ぎだけど、遠方では不穏な話も聴くからその備えだな。
あと、うちはマジックアイテムの試験運用なんかもしててな。
ハーフエルフか、となると年齢の話しはしない方が良いな。」

腕に自信があるからか、持って生まれた性質か。
おねえさんは気兼ねなく話せるので、ついつい仕事のことまで話してしまう。

「いやいや、他の隊からは相手にされてないから揉めるなんてことはねーな。
向こうの山から来たのか? 薬屋の仕事も大変なんだな。」

遥か遠くのシルエットだけが見える山を見上げては息を吐く。
転移の凄さに驚きながらもコップを差し出して。

「乾杯。」

マリサもコップを掲げ、酒を口にする。
星空の下で飲む酒もまた美味い。

「所で、エリーナは魔法の腕前はどれくらいなんだ?」

子供じみた笑みを浮かべては目を輝かせるマリサ。
久方ぶりに出会った強そうな相手に興味津々。

エリーナ > 「ああ。貨幣は国が潰れちゃただのゴミだけど、換金できるヤツは強いぞお」

それこそ、この国が帝国に併呑されたとしても
それがあれば2ヶ月は生活が保証されるわけだ。
実に、実に強み。そういうのを気まぐれでやってもいいのかという疑問には
祝い事に無粋をいうんじゃないという、とても商売人とは思えない思考でシャッターを下ろす。

「なるほどな。今時分の王侯貴族の地位なんてのはタイトロープの上だからなー。その辺、しっかりしてるんだな。
ああ、帝国の。上手い話はそうそうないってことだよな。笑顔の背中のナイフをいつだって警戒したほうがいい。
へえ、マジックアイテムの。私も趣味で色々いじくり回しちゃいるがね。制式採用に近いようなものがどれくらいかは気になるね。
ああ。そこら辺は秘密にしておく。秘密は女を綺麗にするからな」

すらりと色んなことを話してくれるマリサは気持ちがいい。
互いを知るためには、簡単なことだ。互いを話せばいい。

「あらら。道楽部隊って思われちゃうわけか。勿体無いな……。
ああ。今日は向こうの山まで行って材料の採取。
風邪のシーズンは終わったとはいえ、薬屋さんに休みは少ないんだ」

師匠から免許皆伝の証にもらった「つまらなく死なないための」この転移の符。
いやはや。人生楽させてもらってます。

コップと、其れに満ちた赤を受け取る。

「乾杯」

うん。美味い。
興味深い可愛い子がいて、良い夜で。いいじゃないか。

「私か?うーん、魔法単体だとちょっとなあ。魔法剣士だから。魔法だけだと……
んー。実績としては、オーガの群れ程度なら難はないな」

トラップで剣を封じられた上で、周囲を囲むオーガが転送させられたことがある。
華麗とは言わないが、命の危険は感じなかった。
一応失敗談なのだが、そこは省いてはなす…

マリサ・ブラックバーン > 「縁起悪い事言うなあ。 そうなると俺の家も喰いっぱぐれそうだ。」

満更ありえないことでもない話だけに眉尻が下がる。
帝国の他にも魔族やなんやと脅威は尽きない。
そして、国が崩壊すればその枠内で多少なりとも領地を有しているマリサの家は窮することだろう。

「ま、俺じゃなくて伯爵がだけどな。
そういう話しは良く聴くな。 実際、いきなり公主を大量に送るとか探ってるか時間稼ぎか何かに思えるよな。
俺はまだ使ったことないけど聖剣の量産品とか作ってるらしいぜ。 俺もそういうの手にして暴れまわりたいぜ。
いいなそれ。 今度俺もどこかで言ってみるか。」

年上の魔女は情勢にも詳しく、やはり眼鏡の奥から見えた知性は本物だった。
マリサは自然を気が良くなる。

「もともと道楽者で有名な伯爵だしな。
大変だな、この国だと薬はいくらあっても余らないだろうし。」

魔女さんの仕事っぷりを肴に酒を楽しむ。
マリサとしても綺麗なお姉さんとの酒はとても楽しい。
退屈な哨戒任務が充実した時間へと変わっていく。

「お、実は俺も魔法と武器両方使えるんだよな。
ちょっと一度やりあってみないか?」

魔法剣士であり、オーガの群れを単独で撃破したと認識したマリサは酒を注ぎながら
実に楽しげに腕試しを申し込む。
今なら大抵の条件を呑むだろう。

エリーナ > 「はは。すまんすまん。 国で少しでも領地をもつ貴族となると、平民のようにすたこら逃げるという訳にもいかないしな」

眉尻の下がるマリサに「そういうときは私も頑張るからさ」と。事実、頑張る。
国に義理も忠誠心もないが、其処に生きる人々に愛着と友情を持っているから。
だから、そういう状況になれば、やれることはなんだってやる。

「上司がしっかりしてるなんて、この国じゃそうそう無いことじゃないか。風を見ることができるのは才能だ。
融和ムードとみるか、毒を飲まされているととるか。その辺りは私にゃどうにもできんところだなあ……。
へえ。聖剣クラスの量産品。モノになるなら、見てみたいね。
ふふ。マリサは可愛いんだから、女の武器はちゃんと使えよ?」

少女なりにこの国を見た言葉を、少女なりに先を見ている言葉を聞く。
ああ。いい子だな。

「それが今はいい風が吹いてるな。もう少し後押しがあれば、ひょっとしたら色々変えるかもな?
そうだなあ。私がもう5人くらいいれば、戦傷者のための薬を作れるんだが。
現状じゃ、帰還兵が眠れるような、利益ゼロの眠り薬くらいだな」

魔女として、そういうところは外せない。
魔女というのは、不思議な薬で人を助けないと。
このまま家に帰ると思っていたが、本当に嬉しい誤算。

「へえ。マリサもなのか。その年格好、どの種族でも若いだろうに、器用なんだな……
ん?私はかまわんけど……? どうする?このままちょっと暴れてみるか?」

赤を口に含み、たっぷりと味わい。そして、遊んでみようぜ程度の言葉。

マリサ・ブラックバーン > 「ま、上手くやればどさくさで色々手に入るかも知れないけどさ。
俺はそれでもこの便利な国を離れるのは嫌かな。」

魔女さんの返答に笑みを浮かべるマリサ。
近隣でも豊かで大抵の品が揃う国は貴重だし、やはり愛着もあった。

「他の組織も立派な将軍とか居るんじゃねえの?
雲の上過ぎて俺にはわかんねえけどさ。
帝国って底どころか中身見えない所あるだろ? ちょっと君が悪いよ。
オリジナルには負けるし、数も限りがあるみたいだからおいそれとは出てこないけどな。
あ~、まあそうなんだけどよ。」

女の武器と言われ、困ったように視線を逸らす。
見目形は立派に少女だが、立派なアレが生えているとは言い難く。

「あと5人って、弟子とか取る予定あるのか?
眠り薬だと利益取れないのか? ちゃんと薬なのに。」

頑丈な身体のおかげで薬の類に触れたこともなく。
利益がないとの言葉に素っ頓狂な声を出す。

「両親の素質を上手い事引き継いだからな。
じゃ、負けた方が一つ言う事聴くってことでいいか?」

コップの中身を空け、腰の剣を手にしつつ距離を取る。
エリーナから10メートル程度離れた位置で右手に剣を持ち、左手は雷の魔力が集まって。
ちなみに銃は切り株の側に立てかけることにした。

エリーナ > 「ああ。立場や責任っていうのは有事には結構邪魔くさいんだよな。
うん。今の国情はあんなだけど、マリサみたいに国が好きって感じの人がいるから、まだ大丈夫なんだな」

笑みをみて、微笑みを浮かべる。
自分だって、この国を離れるのは最後の最後の、最後の決断になるだろう。

「そりゃまあ、軍の統帥をするレベルのお偉方はそうかもしれないけども、直属の上だろ?そりゃやっぱ貴重だよ。
其処なんだよな。個人的に交友のある帝国の人も、そこらへんが解らないって言ってたしなあ。
量産がちゃんとできれば、伝説に及ばなくても強さは本物だろう。楽しみに待っておくよ。
ん~?」

この反応。女性性を出すことに照れがあるタイプか……
半陰陽故のどっちつかずか。
まあ、いい。可愛い子なんだから。

「いや、弟子をとるのはもっと老けてからでいいな。
見た目がきっちりとオバサンになってからだ。だいぶ先だぞー。
いや。利益を取らないのさ。取れないよ。
……地獄のような戦地から帰ってきて、悪夢にうなされる人に眠ってもらうのに、金なんてとれない」

あまちゃんである。あまちゃんだ。そこを金のなる木にしないといけないのが商売人だ。
だが自分は「魔女のお薬屋さん」だ。
少しだけ物憂げな、センチな顔と声。

「いいね。ちゃんと受け継げたってのは自慢だな。
ああ、それでいい。シンプルでいい」

リュックのサイドにつけていた剣を取る。鞘付きだ。
魔法剣士としての打ち合いなのだから、これでいいと。

あまり手の内を見せすぎるものではないと思い、自身の魔力から。
同じように雷を剣に、脚に纏わせる。
音もなく紫電が魔女を包む。

マリサ・ブラックバーン > 「俺もそう思うけど、ほっぽり出して逃げ出すわけにもいかねえだろ。
じゃあ、俺が困ってる時は手伝ってくれよな。」

人の良さそうな表情にマリサも心が温かくなる。
こちらのことを評価してくれると言う事は同じ価値観を有しているからで。

「じゃ、俺はもっと伯爵に感謝しねえといけないか。
てことは、向こうもこっちの事を気味悪く思ってたりしてな。
ああ、俺の手元に来るときが来たら一度見せに行くよ。
…ノーコメントだ。」

魔女は全てを御見通しの様だ。
マリサは見透かされたことを察し、頬を赤らめては口を噤む。

「それまでこの国が持てばいいけどな。
なんて言うか、ちょっと気前良すぎないか?
多分国庫から買ってもらえると思うぞ。」

良い人過ぎて少し心配になってくる。
他所の部隊の話しだけにこれといった介入もできないのが歯がゆい。

「今のところは活かせる機会がそうそうないけどな。
承諾だな?」

相手が剣を手にすると、マリサの顔色は艶が出てくる。

「じゃあ、いくぜ!」

雷を剣と足に帯びる姿に、向こうの方が魔力の使い方が上手であることを理解する。
早くも旗色が悪くなりそうな予感がするが、まずは先手必勝とばかりに左手の魔力を解放。
黄色い電撃が中空を駆け抜けると、エリーナの身体を貫こうと。

エリーナ > 「ああ。知己のピンチに駆けつけるかっこいい魔女でいるつもりだ」

真っ直ぐであること。それだけで、それは好意に値する。
きっと、この子と私は、そう遠くない考えと価値観。ならばそうあろう。

「まあ、たまにはありがとうの一つでもプライベートでいってもいいんじゃないか?たまにはな?たまに。
文化の違いってのは、得てしてそういうものだよ。オープンが過ぎるってびっくりしてたよ。
それは、今からウキウキしちゃうな。ほんと楽しみだな……!
ん。それならそれでいいよ」

どっちだって、私はいい。「どうでもいい」のではない。
「どっちであってもよし」なのだ。赤らめる頬。可愛いと思う。

「国の興亡なんて、50年単位でみたら儚いものだからなぁ。ま、王侯貴族の頑張りに期待だ。
気前がいいっていうか……街で薬買いに来る人たちは、なんていうかな。他に寄る辺がない人だっている。だから、まあ……な。
国に卸すのもいいかもしれないけどな。ツテがちょっとないんだ」

どこまでも甘い。そうでないと楽しく行きられない女だから。
誰かにも楽しく居てもらいたいから。

「もちろん。楽しそうだ」

顔に、酒気とは違う艶が。そう。楽しくあれ。
そして来ると良い。楽しさよ。

「おうさ。来なさい」

電撃を、体で受ける。そして、電撃を拡大させていなす。
いい魔力。良い属性変換。良い投射。この若さで。詠唱なしでこの電撃。

「マリサ。君は強いな!」

嘘偽りのない賛辞。
そして両足の紫電で飛ぶ。山なりの軌道ではなく直線に滑る。そして、鞘付きの剣を逆袈裟に振るう。

マリサ・ブラックバーン > 「凄いな。 魔女と言うか聖人みたいだ。」

初対面ながら意気投合する。
まるで鏡に映った姿のように性格も似ているように見える。
ただ、向こうの方が圧倒的に人として大きいと言えるだろう。

「あ~、それはいつも言ってるぜ。 どちらかと言うとプライベートの付き合いから入れてもらった職場でな。
帝国はこっちと違って固いのか? それならやっぱりこの国の方が良いな。
言ってもだいぶ先だろうから今から楽しみにされても困るぜ。」

赤い顔のマリサはそれ以上身体のことは口にしないが、向けられる視線から何を思われているのか見当がつく。
とても嬉しい事なのだが、少しばかりこしょばゆい。

「あっさり滅んでもらったら困るな。 俺はまだやったことない事だらけだってのに。
気持ちは分かるけど…まあ、エリーナならどうにかなるか。」

遥か遠くの山から一人で素材を集めて来れるならマリサが口を挟めることでもない。
だからこれ以上言及しないことにした。

「お、良いね良いね。」

こちらが喜ぶ姿に喜びを見出してくれている様子。
母親か姉の胸を借りるような気分になり、戦闘中にも関わらず気が緩んでしまう。

「そうか? 簡単に受け止めてるじゃねえか。」

雑兵なら一撃で動けなくなる程度の電撃を容易く受け流され、予想はしていたが苦笑い。
紫電を纏ったエリーナが中空を真っ直ぐに移動すると、逆袈裟の剣筋を右手の剣で受け止める。
怪力のマリサは片手だけで両手持ちの剣を受け止めることが出来た。

「鞘は抜いても良かったんじゃねえか?」

先程の雷撃は躱されたが、これならとマリサは左の手をエリーナの胴へと突き出す。
掌を広げると小さな竜巻がエリーナの身体を拘束せんと伸びてゆく。

エリーナ > 「魔女っていうのは、魔女と呼ばれるようになった人は、元々こういうものさ。異端たる自然の賢者。其処に損得はないんだ」

酒が入っているだけではない。もっと他の熱が2人の気持ちを同じにしている。
互いを善いと思う気持ち。綺麗だと思う気持ち。ああ。いいな、これは。

「ん。そうか、そういうとこか。いいなあ。連帯感の強い所ってかんじか。そのうえ実力もあるんだ。ほんといいな。
んー。硬い……というよりも?身分差が厳正……?そういう雰囲気を感じたな。ま、この国に来てしまえばそれもないけどな。
ちぇ。じゃあマリサが新装備受領したお祝いとかも気合い入れて作っておかないとな」

大体の見当はつくけど、確定ではないし。
何より、この子が可愛い子である以上に、笑みでみる意味はないのだ。

「移り変わっても、滅ぶこと無くあることが理想だなあ。移住も楽じゃないだろうしな。まあ私はふらふらしてこの国きたの10年位前何だが。
ん……。ま、今の所経営に影響はでてないさ。大丈夫だ。ありがとうな」

これ以上は、もう、ただの意地っ張りで甘い女のことになってしまう。
年下に話してしまって、少し恥ずかしい。

「簡単?違う違う。対処法を知っていただけ。だいぶ難しいぞ?」

そう。あれは難しい。ただ魔力障壁を貼るほうがよほど簡単。だが消耗が大きく、この子の力量がわからない。
ただの兵ならそれで終わりになる電撃を簡単に投射できる。
その時点でこの子はベテラン以上。一流だ。
紫電をまとった逆袈裟が、ミスリルの両手剣に阻まれる。

「いや。切り合いが目的じゃないからな。これでいい」

極至近距離で言葉をかわす。そして、左手から発生する颶風。なんて、器用。
この距離でしかもまた無詠唱の、拘束術式。
大抵の決闘ならこれで終わってしまう。事実、これを準備なしでレジストは出来ない。
全身に魔力を満たして、颶風を引きちぎるしかない。しかしそれにどれだけの時間が必要か。
それを見逃してくれるマリサか?
至近距離で目を合わせていたマリサに、視線による魔力干渉を試みる。成功すれば、闇の属性により方向と位置が消え失せる。
夜故に無詠唱で使う気になった。さて、どうする。私は結構いっぱいいっぱいだ。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からマリサ・ブラックバーンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエリーナさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にタマモさんが現れました。
タマモ > ここは、マグメール街道から少し外れた場所。
流れる川の畔で、一人の少女が佇んでいた。

「やれやれ…宴が増えるのはありがたいが、耳と尾を隠さねばならんのが欠点じゃな。
かと言って、ややこしい話が増えても堪らんし…むむむ…」

その手には釣竿、伸びる糸の先を眺めながら、呟き唸る。
ゆらりゆらり、揺れる尻尾の動きは不規則だ。
まぁ、長ったるい話が嫌だから、任せる、そう言った手前、決まった事には愚痴るしか出来ない。
いっそ、話を付けた相手とやらのところに踏み込んで、直談判してやろうか、とも考えていた。
………まぁ、うん、止めよう、後が怖い。

ちなみに、今日は不調か、側のタライには満たした水しかない。

タマモ > 「………上流で、何かしておるんじゃろうか?
どうも、釣れる以前に、魚の気配と言うか何と言うか…」

時折、右に左にと、釣竿を揺らす。
水面を見詰める瞳に、先程から、魚影さえも見られない。
いや、何だろう、分かってるなら諦めろよ、とか言われそうだ。
しかし、釣れなければ、釣り糸を垂らすな、なんて事はない。
ただ静かに、雰囲気だけ楽しむ、と言うのもありなのだ。
………多分…きっと…そうだと良いな。

ともあれ、その理由が少々気になるところだ。
ちらり、と流れる川の上流へと視線を向ける。
場所的には、中流と下流の間くらいの位置、視線の先には上流に向けて、結構長い事川が続いているのが見えた。

タマモ > 「ふむ…」

気を取り直し、視線を川の水面へと戻す。
軽く首を傾けて、しばし考え込むような様子。

「………よし、上に行くのじゃ」

くいっ、と釣竿を上げ、釣針を回収。
どうせ行ってもやる事は同じと、釣竿を肩に掛けて、タライはざばーっと水を流し、空にして反対の手に持つ。
そうして、少女は上流へと歩き出した。
見た目がちょっとあれだ?うん、気にするな。

タマモ > とん、とん、と器用に、少し大き目の石の上を渡り歩く。
進む中、少し高めに位置する岩があれば、その上に飛びのり、先を見たりもして。
進めど進めど、何かがある、と言う感じでもなさそうか?

「何とも…大した変化は無し、みたいじゃのぅ」

はふん、と溜息を吐きながら、とんとんと、釣竿で肩を叩いて。
ちらりと川を見ても、先の場所と似たような感じだ。

今来た道を見遣り、もう一度先を見遣る。
後もう少し、そう思えば、再び少女は先へと進み始めた。
奥へ、奥へ、このまま先に進み、何かあるかどうかは…本人のみぞ知る。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からタマモさんが去りました。